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290回目 あと三年

 俺は『◇キャンピングカー』に集まった仲間達に、女神ヴァティーから聞いた、この世界の未来に関わる話を語った。


 たった一柱の『神』の死から、この世界を含む数多くの世界が滅びかけた話から、『神々』がそれらの世界の救済に動いた話。


 多種多様な動物を乗せて、多くの世界に旅立った『方舟』の話はもちろん、ヴァティーが新天地を求めて方舟に潜り込んだ話。


 そして、ヴァティーが乗った方舟を襲った事故と、それによって捻じ曲げられた、この世界が辿る運命の話。


 そして突き付けられた、『三年』という期限。


 それらの話は多岐にわたり、アレス達からの質問には、答えるのが難しい物もあった。しかしそこはアルジャーノンがフォローしてくれたので、話は概ねスムーズに進んだ。



「「……………………」」



 仲間達の反応は、やはり重苦しいものだった。それはそうだろう。彼らは勇者()が現れた時点で、世界の危機は感知している。


 だが、事は世界の危機ではなく『終わり』だ。それも期限が切られている厄介なヤツなのだ。


 仲間達からは、各国へ報せるべきだとか、それよりも禍津像の確保を優先すべき等の、様々な意見が飛び交った。


 ただしドゥルクだけは、やはりと言うか女神ヴァティーが俺のフレンドになった経緯に、大きく食いついた。



『…………ふぅむ。そのような簡単な話じゃったのか。と言うかガモンよ。お主、儂の事を人間だと思っておらんかったのか…………?』


「いや、そりゃそうでしょう。だって幽霊だもの」


『それは確かにそうなんじゃが。ちゃんとこうして意思の疎通もとれておるし、同じ釜の飯も食っておるじゃろ』


「同じ釜の飯は食ってるけど、ドゥルクは向こう側が透けて見えてるじゃないか。無理だって。人間は向こう側が透けたりしないもの。壁抜けとかして移動しないもの」


『むむぅ…………。まぁともかくじゃ。この『方舟』の件は各国へ通達しない訳にはいかん。その『高性能天体望遠鏡』とやらは数はあるのかの? そして、それを使えばいつでも方舟を見れるのか?』


「☆4だからな、数は二つだけだ。それと、移動してるから何時でもは見れないな」


「方舟はこの星の周回軌道に乗っていますから、一定のスピードで同じ位置を通ります。まあこの星の自転もあるので、全く同じ時間、同じ位置とはなりませんけど、それらは計算できます。なので観測はそう難しくはありませんよ」



 要は地球上から国際宇宙ステーションを見るのと同じ感覚だ。見る相手はこちらの方がよほど禍々しいけどな。



『ふむ。それならば儂でもなんとかなるのぅ。…………アルジャーノンよ、儂の『ホムンクルス』を作ってくれんか? 各国への使者には、儂が行くのが最も良いじゃろうからな』


「行ってくれるのか、ドゥルク!」


『体が作れるのならばな。流石に幽霊の姿では、各国の重鎮に会うのは難しいじゃろうからな。それで、いけるかの?』


「『ホムンクルス』自体は作れますけど、ドゥルクくんの専用となると肉体の情報が必要です。何か残ってますか? 多ければ多いほど良いのですが…………」



 ドゥルクの情報か。…………遺体は無いんだよな。髪の一部とかなら、『ドゥルクの書庫』を探せばなんとかなるかも知れないけど、ホムンクルスを作れる程ちゃんとした情報になるかは解らないな。


 などと俺は考えていたのだが、どうやらその心配は無用だった。



『それならば、儂の血と髪と爪が残っておる。それで良いかの?』


「いや何でそんな物があるんだよ!?」


『そりゃ触媒にするためじゃよ。新たな魔術の研究には必要な事が多くての。たまに採取しておった。時を止めるマジックバッグに保存しておるし、新鮮な状態で残っておるぞ?』



 マジかよ。いや、残っていたのは良かったんだろうけど、ちょっと引くわーー。



「それがあるなら十分ですね。わかりました、ドゥルクくん専用の『ホムンクルス』は、僕が作りますよ。あとで年齢何かの希望を聞いておきますね」


『む、それなら出来れば二体分頼みたい。若い体も魅力的じゃが、各国への使者ならばこの年齢の方が都合が良いからの。その他の事であれば任せるわい。儂がゴチャゴチャ口を出すより、その方が作り易かろう。…………頼めるかの?』


「なるほど、それもそうですね。解りました。僕に任せておいてください!」



 そう言って、アルジャーノンはドゥルクに血や髪が入ったマジックバッグを持って来させると、早速とばかりに『技巧神の大工房』へと走っていった。


 あれだけはりきっているのだから、ドゥルクの『ホムンクルス』はすぐに出来るだろう。あとはその『ホムンクルス』に憑依したドゥルクを俺が人間だと認識すれば、晴れてドゥルクもフレンドの仲間入りである。


 ドゥルクがフレンドになれば、今以上に頼りになる事は間違いない。何せフレンドになると言う事は、俺のガチャ装備が使えるようになるし、ともすれば『技巧神の大工房』も使えるようになるかも知れない。


 ただでさえ頼もしかったドゥルクが、さらに頼もしくなるな!

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