285回目 『トゥルー・フレンド』
アレマーが作ってくれた夕食を、屋敷で手の空いてる皆で食べた後、俺は自分の部屋へと戻って来た。
そして、自分のベッドで寝られるのは久し振りだとばかりにベッドに飛び込み、意味もなくゴロゴロと転がっていると、俺の部屋に来客があった。
「おう、バルタ。どうしたんだ?」
「旦那、お疲れの事とは思いやすが、一杯つきあっちゃくれやせんか?」
来客の正体はバルタだった。バルタの妹達は、受け止め切れない現実に気疲れして寝てしまったらしく、バルタは今回の礼と打ち上げも兼ねて一緒に飲みに来たのだ。
俺の返事? そんなのは決まってるさ。俺はバルタを部屋に招き入れて、酒を飲む用意をした。もちろん、ガチャで出て来た酒だ。
俺達はまずは缶ビールを開けて、軽く乾杯をして飲み始めた。
「っぷはーー、…………改めて、ありがとうごぜぇやした。旦那のおかげで、妹達を助けてやれやした」
「俺はついて行っただけだったけどな」
「それが何より大事だったじゃねぇですか。あっしひとりだったら、あの女神は認めちゃくれやせんでしたぜ。旦那のおかげで、何もかも上手くいきやした。…………本当にありがとうごぜぇやした!!」
「どういたしまして、だな。それに、俺としても女神とフレンドになれた上に、アルジャーノンという得難い人材もフレンドに出来たから、得るものは大きかったんだ。俺こそ、連れて行ってくれた事に礼を言うよ。…………さぁ飲もうぜ」
「へい!」
俺達は半分ほど中身が残っている缶ビールでもう一度乾杯をして、それを一気に飲み干した。
そして中身が無くなった缶を同時にテーブルに置いた瞬間、俺は心の中でバルタと確かな繋がりが出来たのを感じた。
「旦那、本当に世話になりやした。あっしで力になれる事なら何でも言ってくだせぇ! 全力を持って、応えさせて貰いやすぜ!!」
「おう! 頼りにしてるよ、バルタ!!」
新しい缶ビールを開けて、三度目の乾杯をする俺の目の前に、『ガチャ・マイスター』の画面が現れた。
そこに表示されたのは、『フレンドクエスト・バルタを達成しました。バルタが『トゥルー・フレンド』として登録されました』と言うものだった。
「…………なぁバルタ。なんかお前、俺の『トゥルー・フレンド』ってのになったらしいぞ?」
「とぅる…………? なんですかい、そりゃ?」
「えっと…………。おぉ、マジか。なんか、俺のスキルの一部を使える様になるみたいだ。俺の許可がいるみたいだから、キャンパーみたいにって事だな。俺の許可があれば、バルタもスキル倉庫とか使えるし、俺の代わりにガチャを回したり出来るみたいだ」
「お、そりゃすげぇや。旦那のスキルが使えるってのは有用ですぜ」
それと同時に、『『フレンドクエスト』をひとつクリアする』という『ストーリークエスト』もクリアとなった。報酬は☆4『絆の証』。その能力もまた、ブッ飛んだ物だった。
☆4『絆の証』
・『トゥルー・フレンド』となっている者だけが身に付ける事の出来るピンバッチ。アクセサリー装備だが、装備の枠とは別に身に付ける事ができる。
・全ての状態異常に掛かり難くなり、状態異常になったとしても、自然に治癒するようになる。
・一日に一度だけ、『絆の証』を持つ者がいる場所へと瞬間移動ができる。
…………手に入った『絆の証』は、二個セットだったので、取り敢えずは俺とバルタで身に付ける。
ストーリークエストの次は、『エルフ、もしくはドワーフの里を訪ね、ひとり以上をフレンドにする』で、報酬は『『ガチャアイテム製作所』の解放』だった。
…………これってアレだよな? ☆5『技巧神の大工房』の下位互換だろ? …………ほーん、なるほど。ガチャアイテムを増やす方法は最初から用意されていた訳か。これを使って『拠点ポータル』とか『絆の証』を増やすのが正規のルートって事だな。
…………正直、もういらない気もするけど。
だがしかし、エルフとドワーフをフレンドにするのは大賛成だ。『ガチャアイテム製作所』の為ではなく、主に☆5『技巧神の大工房』の為ではあるけどな!
そんな訳で、次の方針も決まった事もあり、俺はバルタとの飲み会を再開した。
「よーーし! 今日は飲むぞーー!! 高い酒も行っちゃおうか! ヴィンテージ物とか結構あるんだよ、もったいなくてあんまり飲んでないけど!!」
「いいでやすね! どんどん行きやしょうぜ!! あっしも今日は、とことん付き合いやすぜ!!」
こうして、俺とバルタはどんどんと酒を空けていく。
いやこれがさ、『絆の証』の状態異常耐性があるからか、中々酔わなくて。もう本当にとことん行けちゃったんですよ。
ええ、全ては『絆の証』に責任があるんです。それを越えて、酷い二日酔いにはなりましたけども、祝いの席だったし、しょうがないと思うんですよ。
いえ、流石に調子にのって朝まで飲み続けた事は反省しております。だから使用人の皆さん。酒瓶を片付けながら、そんなゴミを見るような目を向けて来ないでください。心が折れるから。
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