284回目 アルジャーノンの実力
アルジャーノンを連れて、☆4のガチャアイテムを作れる様に設定した部屋に入る。
そこは広々とした真っ白な部屋の真ん中に、ポツンとデスクが一つあるだけの、殺風景な部屋だった。
これには流石に俺とアルジャーノンも視線を合わせて首を傾げた。
「えっと、何か話が違うような…………?」
「そんな筈は無いと思うんだけどな。…………取り敢えず、あのデスクまで行ってみようぜ。なんか、パネルも浮いてるし」
そんな訳で、とにかく中央のデスクまで移動してパネルを見てみた。
そのパネルには、他の部屋と同じように部屋に機材を設置する為のメニューや、素材を買うためのメニューなどもあったが、それより何より俺が一番気になったのは、そのさらに上段に輝く『所持アイテム一覧』の文字だ。さっそくタップしてみると、画面が切り替わり、俺の持つ☆3と☆4のアイテム及び装備が、カテゴリー別に別れて表示された。
「いっぱいありますね」
「そりゃなぁ。これまで、めちゃくちゃガチャを回しまくって来たからな」
これはその中でも、ここで製作可能な物だけが並んでいる筈なのだ。それにしても多いな…………。
アルジャーノンが恐る恐るパネルに触れ、画面をスクロールしていき、気になった物をタップした。
すると、そのタップされたアイテムの説明が並び、その下にはそのアイテムを作る為の素材や、その設計図が現れた。…………どうやら、マジで作る事が出来るらしい。
その後もアルジャーノンは、様々なアイテムを次々と見ていき、邪魔するのもあれかな? と思った俺は、少し離れた場所でうめぇ棒をかじりながら漫画を読んでいた。
そしてしばらく時間が過ぎた頃。
「取り敢えずひとつ作ってみますので、材料費に白金貨を一枚ください」
と、アルジャーノンに要求されたので、俺は素直にそれを支払った。
アルジャーノンはその白金貨をパネルに投入し、早速色々な素材を購入する。それと同時に機材も設置したのか、部屋を四分割した一画に、俺にはよく解らない設備が出来上がっていった。
そして全ての素材が揃ったのか、アルジャーノンはその一画へと移動すると、さっそく作業に入る。機材を使って素材を部品へと変えていき、それを組み立てていく。
そんな作業が数十分続き。
「できました! うん、これは面白い施設ですね! 僕は気に入りましたよ!!」
と、いい笑顔で俺の所まで来たアルジャーノンの手には、お手製の☆4『拠点ポータル』が載せられていた。
…………マジで? この子いきなり『拠点ポータル』を作ったの? チャレンジャー過ぎないか?
こういうのって、肩慣らしに簡単なアイテムか装備を作ってから難しいのに入るんじゃないの? そうじゃなくても、最初に作るんだから☆3とかじゃないの? いきなり☆4の、それも『拠点ポータル』とか、アルジャーノンの度胸は凄いと思う。
取り敢えず、達成感があるのかキラキラした笑顔で差し出してくるアルジャーノンから、『拠点ポータル』を受け取り、それをマジマジと見てみる。
「…………おお、凄いな。本当に『拠点ポータル』だ」
これは確かに☆4『拠点ポータル』だ。製作者としてアルジャーノンの名前が記されているのに、ちゃんと俺のスキル倉庫に入る。
「マジか…………。これ制作費が白金貨一枚だろ? 性能を考えると、ずいぶん安いよな?」
何せ距離関係なく拠点から拠点へと瞬間移動できる装置だ。俺のフレンドしか使えないらしいが、それにしたってその価値は計り知れない。
「あ、いえ。これの製作自体なら金貨三枚で済みます。今回は初めてだったので、少し素材を無駄にしてしまって金貨五枚掛かってしまいましたけどね」
そう言って恥ずかしそうにしているアルジャーノンだったが。え? 金貨? これ金貨三枚でいけんの? って言うか金貨五枚でも十分なんだけど。
「あ、でも、材料をもう少し工夫したらもっと効率よくなるかも知れませんね。さすがに金貨二枚とはいかないと思いますけどね?」
「お、おう」
はにかみつつそんな事を言うアルジャーノンを見て、俺はコイツやべぇな、と思っていた。
しかしだ。『拠点ポータル』が量産できるようになったのはデカイ。
俺は、「次は何を作ろうかなぁーー」なんて言いながらパネルを操作しているアルジャーノンに、取り敢えず十個ほど、拠点ポータルの量産を依頼した。
楽しい気分に水を差されたアルジャーノンは難色を示したが、余ったら好きに使って良いと、白金板を渡したら上機嫌になったので、まずはこれで良いだろう。
そして、アルジャーノンはしばらく『技巧神の大工房』で作業すると言うので、俺は一人屋敷へと戻った。
まぁ取り敢えずは好きに作らせておこう。
作って貰いたいガチャアイテムや装備は多いが、アルジャーノンが言うには、エルフやドワーフの中でも長く生きる『ハイエルフ』や『ハイドワーフ』ならアルジャーノンと同じように物を作れると言うので、アルジャーノンに紹介状を書いて貰って、早めに勧誘しに行きたいものだ。
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