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278回目 対策を考える

 衛星軌道上にある『方舟』は、いずれ落ちて来る。それは約三年後に必ず起きる事だ。あの方舟をなんとかしない限り、この世界は救われない。


 例え地上の魔王を全て倒したとしても、方舟の中で甦り、また落ちて来るからだ。まあ現状、魔王よりも先に方舟が落ちて来るみたいだけどな。


 取り敢えず方舟の現状を観察した俺達は、ダンジョンの最下層にあるヴァティーの部屋まで戻って来た。



「えっと、まず聞きたいんだけど、アレが落ちてきたら、どうなると思います?」


『大惨事よな』


「大惨事です」


「大惨事でやすね」


「…………それは知ってる。…………いや、そうじゃなくて」



 大惨事になる事は解りきってるんだよ。そうじゃなくてもっと具体的な所を聞きたいんだ俺は。…………って言うか、アルジャーノンとバルタは分かってて乗っかっただろ絶対。



『わかっとるよ。…………そうよなぁ。現状で方舟に残っとる奴は暴走確定じゃろうな。もはや自我などあるまい。方舟が何を目指しとるかにもよるが、もし方舟が、世界との融合を目指しとったらマズイ。既に世界と融合を果たしておる方舟を消すべく、世界を滅ぼしに走るかも知れぬ』


「それと同時に、封印されている魔王は全て目覚めるでしょうね。いま魔王を封印している結界は、勇者ではなく普通の人間が張った結界ですからね。方舟が近くに来たら、抑えられていた力が一気に爆発して、あっと言う間に破られるでしょう。そうなったら再封印は多分無理です」


『あとは落ちた場所の汚染かの。ここから見ても瘴気が凄まじい事になっとったからのぅ。あれに汚染されたら、そこいら一帯の土地や海は死ぬじゃろうな』



 …………ふむ。つまり落としたらダメって事だな。まぁ解ってたけど。



「…………そうなると宇宙で処理する事になるのか?」


『それはオススメせんのぅ。宇宙には空気はないが魔力はあるぞ? お主らは、空気が無ければ死ぬじゃろうが、あの方舟に張り付いておった連中は元気いっぱいで襲って来るぞ? 見えていただけで巨大な『幻獣』が三体じゃ、お主らで勝てるかのぅ』


「そう言えば、その『幻獣』ってなんですか? 『霊獣』ってのは聞いた事があるけど…………」


『基本は似たようなもんじゃな。その本質が自然界に近いものが『霊獣』、魔力に近いものが『幻獣』よ。霊獣は自然エネルギーを取り込み循環させる事で世界に良い影響を与えるが、幻獣は魔力を吸い尽くす存在なので自然との相性は悪い。地上に現れれば周辺の魔力は枯渇して荒野となるじゃろうな』



 魔力を吸って魔力に生きるヤツが、魔力で溢れた宇宙にいるの? そりゃ元気いっぱいだろうな。



「落とすのもダメ、宇宙で戦うのもダメか。地上からの総攻撃で破壊…………は無理にしても、彼方に吹っ飛ばすくらいはできるかな…………?」


「そりゃいいでやすね。宇宙ってのがどんだけ広いのか知りやせんが、遠く離れちまえば何もできねぇでしょうからね」


「うーーん、それは僕も考えた事がありますが、例えばエルフの魔力を総動員しても無理だと結論づけました。あの方舟には防衛機能もついているらしいですし、幻獣も当然反撃してくるでしょうからね。幻獣の反撃を撃ち破って結界を貫いて、更に方舟を攻撃すると言うのは、いくらなんでもコチラの魔力が持ちません」


「エルフの魔力で無理ですかい? そりゃとんでもねぇな」



 エルフの魔力総動員で吹っ飛ばすのもダメか。あ! でもそれを複数重ねればいけんじゃね? そう言う装備、俺もってる!



「俺の持っている☆5装備に『七星の盾』ってのがあるんだけど、強力なエネルギーを込めれば星ですら消し去れるらしいぞ? それならいけるだろ」


「ちょっと見せて貰えますか?」



 俺が『七星の盾』を取り出すと、アルジャーノンは当然の様に装備して見せた。☆5だろうが問題なく装備出来るとは、アルジャーノンのステータスはやはり高いらしい。まぁ、当然か。



「…………なるほど。でも、これを使う為には強力なエネルギーをどこからか調達しないといけませんね。極大魔法を七つで足りるかな? …………いや、少し足りない気がしますね」


『どっちにしろ魔法攻撃になるのであろ? 魔法は反射が恐いのぅ。そんなもんが跳ね返って来たら、この星が壊れるわ』


「…………ダメか。となるとあとは、ダンジョンとかドゥルクの作る異世界に隔離、とか?」


『どうやって宇宙で入口を開くんじゃ? それもあのデカさじゃぞ、妾には無理よな。よしんば開けたとしても、幻獣どもの抵抗も加味すれば、確実に失敗するじゃろ』


「なら、こう地上に落とした時に穴に誘導する感じならどうでやすかね。こう、ゴミ箱にでも投げ入れるようにスポッって感じで」


『誘導など出来ると思うか? 少しでも外れたら終わりじゃぞ?』



 …………これは参ったな。対策が見つからない。


 宇宙で戦うのもダメ、地上で戦うのもダメ、吹っ飛ばすのもダメで隔離もダメか。…………あれ? 本当に詰んでね?


…………いや、まだあったな、最後の手段が。



「…………☆5『◇天空城レナスティア』」


『なんじゃそれは?』


「…………そうか。ありやしたね、空飛ぶ大陸が」



 宇宙から落としたら方舟を『◇天空城レナスティア』でキャッチして、そこで最終決戦。


 …………それなら、最後の手段として『◇天空城レナスティア』に乗せて、そのまま宇宙に放流も出来る。これは俺が道連れになるから、マジで最後の手段だけどな。


 だってクラッシュレアは手放す事が出来ないし、俺だけ『拠点ポータル』で戻ったら、レナスティアも一緒に戻って来ちゃうからな。道連れ確定の、最後の手段だ。…………バレるまで黙っとくけど。

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