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261回目 最下層へ至る道

ちょっとだけ、書き忘れていた部分を付け足しました。

 ◇邪眼族の螺旋迷宮・九日目


 六十五階層からスタート。


 そう言えば昨日の夜、仲間達からの報告でアレス達とザッパ達のパーティーが、次のダンジョンに目星をつけたから攻略に向かうと言っていた。


 仲間達も頑張っているかと思うと、俺も気の引き締まる思いがする。…………まあ、歩いてるだけだけど。



 ◇バルタ

 《止まってくだせぇ》



 六十五階層に入ってすぐに、バルタからフレンド・チャットが入った。



 ◇ガモン

 《どうかしたのか?》


 ◇バルタ

 《あっしの索敵に敵が引っ掛かりやせん。こりゃあスキル持ちでやすね。旦那は、あっしが呼ぶまでここで待っていてくだせぇ》



 どうやら相手が、自分の気配を完全に消すスキルを持っているらしい。


 そしてバルタは、俺を足手まといと判断し、目の前にいるにも関わらず見失うほどの気配の消し方を披露して、一人で行ってしまった。


 うん。俺にアレは無理ですよ。だって音どころか空気の揺らぎも感じなかったもの。アレに着いていくのが無理過ぎて思わず笑いそうになり、口を押さえたもの。



 ◇バルタ

 《終わりやしたぜ》



 しばらくして、バルタから邪眼族を気絶させたというチャットが入ったので、俺も先へ進んだ。


 バルタの側に倒れていた邪眼族は、立派な鎧と装飾のされたマントを身に付けた、いかにも『騎士』という姿をしていた。馬はいないけど。


 そして手に入ったレリーフメダルの素材は、やはりと言うか、待望の『オリハルコン』だった! 絶対に来ると思っていたんだ!!


 大量の『オリハルコン』のレリーフメダルを手に入れて、俺もバルタもホクホクですよ。


 金色に輝くオリハルコン。普通の金とは違って常に輝きを放つその姿は、本当に神々しい。オリハルコンってこんな金属だったんだな。ミスリルもそうだけど、これが実際にこの眼で見られたのは、普通に嬉しいよ。


 この日は七十二階層終わりの安全地帯で終了。とうとうレリーフメダルはオリハルコンまでいってしまった。しかし、この先まだダンジョンは続くみたいだけど、次は一体何が出て来るのだろうか? 楽しみである。



 ◇邪眼族の螺旋迷宮・十日目


 ついにダンジョンの攻略を始めて、十日目になってしまった。この日は七十三階層からスタートだ。


 まぁとは言え、邪眼族がスキルを持ってる以上、俺に出来るのは昨日と同じく待つことだけなんだけどな。


 そんな感じで本当にやる事がなくなった。俺に出来るのは、安全地帯で☆4『隠れ蓑コテージ』を出し、バフの付く飯を作る事くらい。


 …………いや、このダンジョンならそれでも十分働いている気がして来たな。もの凄く神経を使う長丁場のダンジョンだし、リフレッシュして挑めるなら、それが一番良いだろう。


 ちなみに今日は、バルタが身体を動かしたいというので、空いている部屋に筋トレ用のランニングマシーンやらを出した。この十日間、潜伏して狙撃してばかりだから、いくらバルタと言えどストレスが溜まっていたらしい。


 うん。俺、わりと役に立ってるな。


 それと、この日はじめて、俺は読書中にふと見た窓で外から中を覗いていた小さな蛇と目が合った。小さな蛇は、『ヤベッ!』って感じで頭を引っ込めていた。


 …………初めてちゃんと見たけど、アイツが視線の主なのだろう。


 しかしあれだな。やっぱりこう、悪い視線じゃない気がする。アレだ、親戚の子供が向けてくる興味の視線に近い。


 問題は相手が『蛇』だって言う一点にだな。なんなんだろうな。邪眼族が飼ってる蛇だろうか。それにしては、バルタが敵意を感知していないんだよな。邪眼族からしてみれば、俺達は明確な敵だと思うんだけど。


 あ、ちなみに七十三階層から八十階層までの邪眼族が持っていたレリーフメダルは『アダマンタイト』でした。


 真っ黒なメダルに、彫刻をされた中部分だけはダイヤモンドみたいに輝きつつも透明感のある不思議な形をしていた。『アダマンタイト』はダイヤモンドみたいな中身と金属の外殻を持つ不思議な鉱石だった。


 加工すると、必ず中が宝石で外側は金属になるらしい。ちなみに外側さえ金属であれば、このレリーフメダルの様に彫り込んだ所は宝石のままになる性質らしい。魔法金属は、なんでも有りである。



 ◇邪眼族の螺旋迷宮・十一日目


 正直に言うと予感はあった。昨日八十階層に到達した時に、これまで八の倍数で区切られていたのだから、八十まで行けば何かありそうだと。


 多分だが、バルタもそれを感じていて、昨日はトレーニング機器を俺に出させて身体をほぐしていたのだろう。


 ただ、八十一階層は最下層ではなかった。雰囲気も待ち構えている奴も、普通では無かったけどな。


 八十一階層は一本道ではなく、例えるなら体育館程度の広さを持つ一フロアだった。


 まず短い階段があり、そこから下の広場に下りると、フロアの中心には装飾の多い鎧とマントを身に付けた邪眼族が一人待ち構えていた。



『安心せよ。ここからの我らは『邪眼』を使わぬ。ただ、お主らの力を試すだけだ。我らを倒して先に進む事に、変わりはない』


「…………喋れるのかよ」


「邪眼族に話し掛けられたのは初めてでやすね。話せるって事実も、いま初めて知りやしたぜ」



 邪眼族の騎士に促され、俺達はフロアの真ん中で邪眼族と対峙した。


 すると邪眼族は一度振り向いて背後を見た。その装飾のされた緑のマントには、金の刺繍で首が八本ある蛇、すなわち『ヤマタノオロチ』が描かれていた。


 マントの装飾を見せた邪眼族の騎士は再び俺達と対面して、剣を一度カシャン! と鳴らしてから誇らしく名乗った。



『我が名は『レフ』! 『大蛇八首オロチはっしゅ』が一首なり!! いざ尋常に、勝負!!』


「あっしはバルタでさぁ。あっしには譲れないもんがあるんで、押し通りやすぜ!!」



 レフと名乗った邪眼族と、バルタの戦いが始まった。

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