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252回目 ドゥルクの考察

『……………………なるほどのぅ。となればやはり…………。ううむ、どうにも想像の域を出んな…………』



 タミナルの街から北に数十キロ程行った地点に停まっている『◇キャンピングカー』の中で、幽霊となった大魔導師『ドゥルク=マインド』がブツブツと呟いていた。


 床にでも座っている様な姿勢で宙を漂うドゥルクの側には、つい先程、我聞から送られて来た緑色に銀の装飾をされた一冊の本が浮いている。


 それは我聞とバルタが攻略したと言う、とある廃墟の街のダンジョンを攻略して手に入れた物だ。その内容についてドゥルクに調べて欲しいと言う依頼と共に渡された物である。


 我聞は手っ取り早く、自分のスキル内にある『マイスター・バー』に情報を買いに行ったが、『付属情報が多くなるね。白金板で四十枚だ』と言われて断念したのだ。


 そして『奥の手』として、自分のスキル倉庫から『遠距離偵察用ドローン』を取り出し、キャンパーに『フレンド・チャット』を通じて連絡を取った。


 そうして、そのドローンをキャンパーが起動させ、緑色の本、『名も無き屋敷の記憶書』をキャンパーの『倉庫』に回収し、倉庫経由でドゥルクの手元にやって来たのだ。


 ちなみに、我聞の所のドローンは既に電源を切ってある。キャンパーは優秀だが、あまり離れた所にあるドローンを同時に操作すると、情報処理に時間が掛かって動作が遅くなる。だから今のように、アレスチームと、ノーバスナイトチームに、タミナルの屋敷と、三ヶ所とも離れている場合には、同時に動かす台数を絞っているのだ。


 我聞もそれが解っているので、こうして必要な時以外にはドローンを出さない様にしている訳だ。


 付け加えるならば、ドゥルクはフレンドに登録出来ないので『フレンド・チャット』は使えず、キャンパーも我聞から権限の許可を貰わないと『フレンド・チャット』は使えない。今回は遠く離れる事もあってキャンパーは『フレンド・チャット』の権限も付けてもらっているが、それもあってキャンパーの使える容量は既に限界が近くなっているのだ。



 ・『スキル倉庫』の使用権限。

 ・『フレンド・チャット』の使用権限。

 ・タミナルの屋敷に常駐するドローン。

 ・アレスチームに付いているドローン。

 ・『◇キャンピングカー』と共にノーバスナイトに付いていく本体。

 ・緊急用として我聞が持つドローン。



 …………キャンパーはちょっと働き過ぎである。



『…………勇者『メイト=ノノムラ』じゃったな、『ヌヌメルメ家』の先祖は。『発明家』だの『娯楽王』だの呼ばれていた勇者だの。よもやこのような研究までしていたとは、知らなんだ』



 ドゥルクから見ても、その緑色の本から伝わる勇者の狙いは面白い。魔王が本当に消滅するかどうかは解らないが、肉体の無い魔王に肉体を与えて倒してしまう。と言うのは、確かに理に叶っている気がする。


 だが出来ていない。となれば、そういう結果だったのだろう。


 本当ならば、この可能性についてもシッカリと研究し直したい所なのだが、我聞の考える疑問はそこには無かった。



『…………なぜ、封印された魔王の内の一柱が『ダンジョン・コア』の作り方を知っただけで、その情報が他の魔王にまで伝わったのか…………。ふむ、それこそ眉唾に思えるが、確かにダンジョン・コアが悪さをしとる場所の近くには、魔王封印の地があるようだのぅ。それを作り出したのが魔王だと言うのならば、他の魔王もその方法を知っとる事になる…………か』



 ドゥルクの呟きに、近くで飛んでいたキャンパーが寄って来た。キャンパーはドゥルクに頼まれ、他の者と情報の交換や情報収集の依頼などをしていたのだ。



『ギルドマスターをしているモンテナとエルドルデにも『フレンド・チャット』で協力を要請しましたが、話を聞いた二人の反応は、『有り得る』という物でした』



 キャンパーから『フレンド・チャット』で説明を受けた二人は、ここ数年で増えている自然発生したダンジョン・コアによるモンスター災害と、その付近で魔王の封印に変化がないかを調べた。すると、確かに魔王の封印が一時揺らいだケースが幾つかあったのだ。


 それが本当に魔王が『人工ダンジョン・コア』を作った影響なのか確信は持てないが、人工ダンジョン・コアに関係するモンスターが、多少暴れた後に魔王封印の地へと向かって行った報告も含まれていたので、それが魔王に呼ばれた可能性を考えて、二人の見解は『有り得る』となった。



『人工のダンジョン・コアを、魔王が作れる…………か。様々な検証を重ねる必要があるが、ガモンの最大の疑問はそこでは無いのだな?』


『はい。マスターは、その封印されて個別には接点の無いはずの魔王が、情報を共有出来る理由を知りたい様ですね』


『…………それはやはり、『繋がっている』と言う事になるのぅ』


『繋がっている。ですか』


『ウム。簡単な話じゃ。ガモン達は今、遠く離れておるが、ガモンのスキルにある機能の一つ『フレンド・チャット』で繋がっておるじゃろ。同じでは無いにせよ、魔王にもそういう繋がりがあるのかも知れぬ』


『なるほど。十分に有り得る話ですね』


『何にせよ、自然発生したと思われていたダンジョン・コアが封印された魔王に作られていたとなれば、これは世界で共有しておくべき話じゃのう。それによって魔王の封印が複数の箇所で同時に破られたなら、世界が終わってしまうわい』



 …………数日後、このダンジョン・コアの話は各国の冒険者ギルドへと通達され、各国の冒険者ギルドでは、自然発生したダンジョン・コアの破壊を常設依頼として張り出した。

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[気になる点] ドゥルク老師をフレンド登録できない、してない話は初登場時にするべきでは?
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