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248回目 屋敷の記憶

「でりゃあっ!!」


「よっ! っと、コイツは良いですね、気に入りやしたぜ!」



 普通の屋敷に見えた外観とは裏腹に、中は様々な装飾品がキンキラに輝く悪趣味な作りをしていた。


 その中ではオーガを中心として『動く甲冑』や『空飛ぶ剣』なんかも襲って来たので、俺とバルタも武器を持ち変えた。


 俺は☆4『グラビティブレイド(+3)』、バルタは前にチラッと見て興味を持っていたと言う☆3『鎖鎌(+4)』を使っている。


 俺の『グラビティブレイド』は☆4だけあって動く甲冑でも斬り裂けるし、弾いたとしても重力効果で動きを鈍く出来る。


 バルタの『鎖鎌』は分銅の一撃がとにかく強いし、分銅を振り回すと相手を引き寄せる効果があるのだ。


 バルタはこの武器をかなり気に入り、欲しいと言ったので普通にあげた。☆3の武器だからな、いっぱいあるんだ、コレ。



「調子が上がって来やしたね、どんどん行きやすぜ!!」


「おう!!」



 俺達はダンジョンマスターである屋敷の中を探索していく。


 屋敷の中にはモンスターはもちろん徘徊しているのだが、宝箱もあるし罠もあるし、先に進ませまいとするギミックもあるしで、俺は完全にロールプレイングをやっている感覚で楽しんでいた。


 ガチャ書籍やガチャ装備のスキルのおかげで、俺のステータスが思った以上に伸びていたのも、俺のテンションが高い要因である。


 強くなってる。いや、強くなってた! 俺! かなり強くなってた!!


 と、有頂天で敵に斬り掛かり、見事なカウンターを貰って吹っ飛ばされた時には、バルタにガチで説教されたが、多少浮かれるのはしょうがないと思うんだ。


 いや、気は引き締めましたよ? 物量防御+100があったから死ななかったけど、あの喰らったカウンター、普通に剣が俺の首を叩いてたからね。本気で油断して死ぬ所だったんだよ。マジで反省しましたよ。死にたくないもの。



「む、見つけやしたぜ」


「おっ、あったか!」



 俺達が探していた物、それは言わずもがな『郷愁の禍津像』だ。それを確保せずにダンジョンマスターを倒して行方不明になられるとキツイので、まずはそれの確保に動いていたのだ。


 そしてそれは、屋敷の中でも豪華な作りになっている部屋に設置された宝箱に入っていた。


 新たな禍津像は、『郷愁の禍津像・マントヒヒ』。おそらくこの街の代官が入手して飾っていた物なのだろうと、予想できた。



「割と簡単に見つかって良かったですぜ。これで後は、この屋敷の『核』でもあるダンジョン・コアを破壊するだけですぜ」


「おう!」



 そんな事を言いながら。空になった宝箱から離れた瞬間、唐突に俺達を取り囲みながらモンスターが出現した!



「うおっ!? なんだコイツらは!?」


「どうやら、宝を入手すると発動するタイプの罠だったようですぜ! よほどコイツを取られたく無かったみたいでやすね!」



 バルタの解説を聞きながら武器を構えると、俺達を囲むモンスターの中から、やたらと豪華な、しかし、ずんぐりとしたシルエットの『動く甲冑』が現れた。



『それはワシのだ! ワシの大切な宝を戻せ!!』


「…………おい、喋ったぞ?」


「コイツは驚きやしたね。別に代官本人って訳じゃ無さそうでやすが。…………あぁなるほど。どうやらコイツは、この屋敷の持つ記憶でやすね。ホラ、あそこにコイツと同じ鎧が飾ってありやすぜ」



 周囲を警戒しながらバルタが示した先には、確かに目の前の『動く甲冑』とソックリな甲冑が飾られていた。



『ワシの城で暴れおって! 生かしては返さんぞ! 八つ裂きにしてくれるわ!!』



 代官の動く甲冑が、空っぽの甲冑を大きく動かしながら叫ぶと、その周囲に新たに『空飛ぶ剣』や『空飛ぶ盾』が出現した。



「来やすぜ!!」


「おう! 片付けるぞ!!」



 俺達に向かって、代官の動く甲冑が剣を振り下ろすのを合図として、モンスターが一斉に動き出した!


 一気に飛んでくる剣と盾。それはバルタが自分の頭の上で『鎖鎌』の分銅を大きく回す事で発生する引き寄せる力でバルタの方向へと引き寄せられていくので、全てをバルタに丸投げし、俺は一番近くにいるオーガへと走った。


 すでにこのダンジョンの中で、オーガとは何十回と戦っている。ダンジョンのモンスターだからか、その動きにはパターンのような物もあり、すでに予測も出来ている。



「フン! せりゃあっ!!」



 俺はグラビティブレイドを振るい、オーガを次々と倒していく。これだけ敵がいると俺だって攻撃は喰らうが、ガチャ装備のおかげで高くなった俺の防御力は抜けない。


 衝撃はあるので躱せるものは躱すが、簡単な横薙ぎなんかは手甲の付いた腕で払い、体勢の崩れた所を一刀両断にした。


 横目で様子を見れば、バルタの方も、鎖鎌の分銅と鎌を上手く使い、次々と敵を屠っていく。


 そしてある程度片付いた所で、バルタの投げた分銅が代官の動く甲冑の冑を掠めた。



『ヒ、ヒイィィッ!?』



 分銅が掠めて、装飾を抉られながら回った冑を正面になおし、ずんぐりとした代官の動く甲冑は背中を向けて逃げ出した。



「追いかけやすぜ、旦那!」


「おう! 行こう!!」



 近くにいたオーガを斬り捨てて返事をし、俺達は残るモンスター達を無視して部屋を飛び出し、逃げていった代官の動く甲冑を追い掛けた。

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