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244回目 見捨てられた街

 ラグラフ王国からテルゲン王国へと入った…………はずだが、国境とされる川に架かる橋を超えただけで、風景などに変わりはない。


 いや、変わりはあるな。森から山に入った。何気にこの世界に来て初めての本格的な山である。


 一応、交易に使っていたからか馬車が通れる道があるので、俺の愛車『ランブルクルーザー』なら問題ない。ふふ、まったく頼もしい相棒である。


 山の頂上を超えた辺りで日が暮れたので☆4『コンテナハウス』を出して一泊し、次の日には山を越えて平地へと至った。


 その平地には壁に囲まれた街の姿があったのだが、その街に人は住んでいなかった。少し近づいてみれば街を護る外壁が壊れているのにも気づく。あの街は、既に見捨てられた街なのだ。



「うっわ! 本当にモンスターだらけじゃん、あの街!」


「まぁ何年も放置されてやすからね。あの街はガンガルド王国が滅びる少し前に、ガンガルドの一件とは別枠のスタンピードにさらされてやしてね。ガンガルドでの騒動に恐れをなした住人が、ほとんど逃げちまったんですよ」


「それからずっと廃墟か?」


「ええ。運悪く、その大移動に興味を持ったモンスターが集まっちまいやしてね。領主の判断も遅く、騎士団が駆けつけた時にはもう残った住人は殺されて街は占領されていやした。不幸中の幸いは、ちょうどその時にガンガルド王国から流れて来た難民が発見されやしてね、騎士団に保護されてやす」


「へぇ…………」



 騎士団としても、街の救援に間に合わなかったから難民を保護したのかもな。領主の命令を受けた以上、手ぶらでは帰れなかっただろうしな。


 まあ何にせよ、モンスターの巣窟になっている街に寄る必要性などない。ここはスルーだなと遠目に街を見ながら車を走らせていると、バルタが俺に車を止めるように言った。



「…………んん? 旦那、ちょっと止まってくだせぇ」


「え? おう、わかった」



 俺が車を止めると、バルタは車の外に出て廃墟となった街を観察し始めた。



「…………何だよ。どうしたんだ、バルタ?」


「……………………あの街、ダンジョン化してやすぜ」


「はぁ?」



 バルタがそう言うので、俺も目を凝らして廃墟の街を見てみるが、特に何も解らない。ただの廃墟に見える。



「モンスターが住み着いた街がダンジョン化するってのは聞いた事がありやしたが、見るのは初めてですぜ」


「ふーーん。でもほら、ドゥルクのいた墓地はダンジョン化していたぞ?」


「そりゃ墓地は元々『瘴気』が溜まりやすい場所ですからね。ただの街とは訳が違いまさぁ」


「…………そんなもんか」



 街のダンジョン化ねぇ。モンスターが住み着いた所に『ダンジョン・コア』が発生して…………。なんて感じで出来るんだろうか。


 …………だとすると、住み着いたモンスターが『ダンジョンマスター』になっているんだろうか? 今までの事を考えると、悪い予感しかしないな。



「旦那、念のため調べてみやしょう」


「え? あそこ行くの? …………いや、行くにしても目的のダンジョンをクリアしてからでいいだろ。今は先を急ぐ方がいいと思うぞ? この辺りは人もいないし、仮にスタンピードが起きたとしても被害は出ないだろ?」


「そうじゃありやせんよ。『禍津像探知機』を使ってみてくだせぇ。あそこに『郷愁の禍津像』があるなら、話は変わるでしょう?」


「…………だな。ありがとうバルタ。あれでもダンジョンだもんな、可能性はあるよな」



 おっと、見捨てられた廃墟の街とかダンジョンとか色々出てきたもんだから『郷愁の禍津像』の事まで頭が回ってなかった。バルタが気づかなかったら普通にスルーしてた所だ。


 で、結果を言うと禍津像はあった。どうやらあの場所には一個だが『郷愁の禍津像』があるらしい。


 考えてみれば、ダンジョンじゃなくても貴族か商人が持っていたヤツって可能性もある訳だ。



「どうです、ありやすか?」


「あるなぁ…………。これは流石に後回しには出来ないな、あるのを確認しちゃったもんな。無いとは思うが、後回しにして誰かに先を越されたら最悪だもんな」



 その先を越したヤツが、アブクゼニスみたいな奴である可能性もあるのだ。



「じゃあ、しょうがありやせんね。サクッと回収してしまいやしょう。この場所なら、別にダンジョンマスターまで倒す必要はねぇでしょうからね」


「いやいや、どうせなら倒してしまおうぜ。万が一が起きた時に寝覚めが悪いからな」


「旦那がそう言うなら、仕方ありやせんね」



 そんな訳で、俺達はまた足止めをくらうハメになった。


 とは言えだ、これはすぐに終わるだろう。


 何せ俺もステータスはかなり上がっているし、ガチャ装備だって、☆5とまでは言わないが良い物を着けている。


 そして、当然のように三度の食事はガチャ食材を使った物でバフが付いている。これは旅に出る前に、アレスの母親で、タミナルの拠点の管理をしてくれているアレマーさんに作って貰った物だ。


 食材の大半にガチャ食材を使っていれば、俺のスキル倉庫に入るからな。それを利用してシチューやカレーなんかは大鍋で入れてある程だ。


 あとはこっちの世界の家庭料理を、ガチャ食材を使って作った物とかだな。これがな、実は地味に嬉しかったりするのだ。この世界の『お袋の味』だからな。


 さぁそれはともかくとして、あのダンジョンとなった街を攻略してしまうとしようか。

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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