228回目 二つの☆5アイテム
☆5『モンスター・チェス』を手に入れて、その説明を読んでホクホクしている俺は、次なる☆5を手に入れる為に『禍津勾玉』を手に取った。
確かに『モンスター・チェス』は面白い。そういうの俺は大好きだ。…………が、正直なところを言えば装備が欲しい。もっと言えば、俺が使える装備が欲しい。
どんな物っていう具体的なのがある訳ではないが、凄いのが欲しい。こう、勇者的な? 伝説的な何かが欲しい。
そんな願いを込めて回した二つ目の☆5は、…………装備だった! 俺の願いが通じたのだ!! …………片方だけは。
二つ目の☆5は、アクセサリー装備だった。☆5のアクセサリー装備は熟練度が最初からMAXになっているのが嬉しいんだけど、これは何と言うか、お洒落なブローチだった。
☆5『虹色魔晶石のブローチ』。それは虹色に輝くダイヤモンドのような大きな宝石を中心に、赤・青・緑・茶・黄・白・黒の七つの宝石を花弁の様にあしらった宝石のブローチで、縁取りは金の豪華使用だった。
そして、その能力は魔法特化。魔法が使えるシエラ、もしくはカーネリアが扱う装備と言った感じの物だった。
☆5『虹色魔晶石のブローチ』
・《虹色の系譜》全ての魔法属性に連なる魔道士の才能。このスキルを持つ者は、全属性魔法に適性を持つようになる。全属性の中級魔法までなら、無条件で使えるようになる。
・《魔道覚醒》魔法に魔力を付加できる様になる。付加する魔力量によっては、初級魔法ですら上級魔法を凌駕するだろう。
・《魔力吸収》様々な物から魔力を吸収する事が出来る。それは敵が放った魔法ですら例外ではない。ただしその魔法によって地形にもたらされた影響は受けてしまう。
・《魔道の極意》全魔力と引き換えに、神域に達した魔法を使う事が出来る。これによって使用された魔力は自然にしか回復しない。クールタイムは丸一日。
…………これは、完全にカーネリアの専用装備だな。魔法を使える者、それも魔道士が使うべく作られた装備だ。
だが、有用な装備である事は疑いようもない。俺も全ての魔法属性の才能を手に出来るみたいだしな。…………中級までの魔法を無条件に使えるとあったな。これってスキルとかで覚える必要も無いって事だよな? …………本当に使えるか、後でドゥルクに相談するとしよう。
「もう次で最後か。マジで頼むぞ…………!」
ついに最後の☆5確定ガチャだ。
今度こそ! 俺の装備よ出てくれ!! これからヤバイダンジョンに行くんだから、マジでお願いします!!
祈る気持ちを込めて、俺は最後の『禍津勾玉』を弾いた。そして出て来た最後の☆5アイテムは…………!!
☆5『ワールドニュース・クラシック』と言う名の、新聞紙だった。
「……………………いやいや、どういう事だよ」
虹色のカプセルから出て来たのは、どう見ても『新聞紙』。そんなバカな、と思ってよく見てみたが、やはりどう見ても新聞紙だ。
いや☆5だぞ? 新聞紙は無いだろ。たぶん生活ガチャの区分なのだろうけど、何がどうなったら新聞紙がブッ壊れ性能になるのかと問い詰めたい。
「…………はぁ、まずは説明を見てみるか…………」
せっかくの☆5なのに最後はハズレかと、ガッカリしながら、俺は説明文を読んでみた。
☆5『ワールドニュース・クラシック』
・現時点までの世界中のニュースを可視化できる新聞紙。たとえそれが星の裏側でも、外部との接触を一切断っていても、その場所を知ってさえいれば、その場所で起きた代表的なニュースを知る事が出来る。
・その日の出来事・主な行事・大きな事故・その日の天候・冠婚葬祭・軍事情報・王城内の情報と、様々な情報を網羅! 流行り物や求人情報、売りに出されている物件情報など、その国に住んでいる者すら知らない情報までがアナタの手に!!
・過去のニュースも、五年前まで遡れます!!
「…………うーーん、本当に新聞だな。まぁ、世界中の情報を知れるってのはいいかも知れないけど、よく知らない国の情報なんてなぁ? あんまり知っていても…………って、どうしたバルタ?」
☆5『ワールドニュース・クラシック』の説明文を口に出して読んでいると、近くにいてそれを聞いていたバルタの顔色がどんどん青くなっていった。
「ち、ちょっと待ってくだせぇ…………。い、今のは、その手に持ってる紙束の話ですかい? どの国の情報でも、最新の物をこの場で知る事ができる? そ、そりゃ本当ですかい!?」
「え? う、うん。…………何て言うか、ちょっと凄い新聞紙…………? って言うか…………」
「…………貸してくだせぇ」
「ど、どうぞ」
俺が渡した☆5『ワールドニュース・クラシック』を広げたり捲ったりしながら、しばらく読んだバルタは、おもむろに立ち上がるとドゥルクの所にいって『ワールドニュース・クラシック』をドゥルクにも読ませ、二人そろって天を仰いだ。
そして、バルタはドゥルクを連れて俺の所までやって来ると、引きつった笑顔で俺に新聞紙の束を返して言った。
「いいですかい、ガモンの旦那。これは本っっっ当に軽々しく人に見せてはいけませんぜ?」
『平和な世界から来たお主にはピンと来ぬかも知れんが、こんな紙束ひとつで自国の情報を丸裸にされると知れば、世界中の国がまとめてお主を殺しに来るぞ?』
「……………………え、マジで? そ、そんなに?」
ただの新聞紙かとガッカリしましたが、『ワールドニュース・クラシック』は、☆5の格付けに相応しいブッ壊れ性能のアイテムだったようです。
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