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216回目 戦いが終わって

 魔王討伐の褒美として王都に屋敷と金を貰った。


 同時に『郷愁の禍津像・カエル』も、俺が破壊して良い事になり、俺はすぐに破壊した。『カエル』は『キツネ』に比べて大分脆く、アッサリと破壊できたのが驚きだった。


 王城の敷地内にある兵達の訓練所で破壊を行ったのだが、スキルの装着とガチャ装備で破壊力マシマシにして☆4『破壊の大鎚』を振り下ろしたら、勢いあまって床の石板を壊してしまった。…………ちょっと罪悪感。



「いや、もっと頑丈だと思ったんだけどな…………」


「うーーん。キツネの禍津像は迸る程の魔力がありましたが、このカエルには無かったですね」


「あの魔力って、魔王から流れて来てたでしょ? もしかして距離じゃないの? 魔王にどれだけ近いかで頑丈さが変わるんじゃない?」


「有り得る。魔王としては自分の本体である『郷愁の禍津像』の破壊は絶対に避けたいだろうしな。近くにあれば魔力を送って頑丈にするってのは考えられることだ。…………ガモン殿、『郷愁の禍津像』は封印の地まで持っていかない方が良さそうですね」



 シエラが疑問を持ち、カーネリアが推理してアレスが賛同した。その考えには俺も賛成。この事は『郷愁の禍津像・モグラ』を持って帰ったティムにも後で教えておこう。『禍津勾玉』の件もな。


 そしてその『禍津勾玉』も無事に手に入った。これで☆5が更に一つ手に入る。ちなみにこの『禍津勾玉』の効果と入手条件はジョゼルフ王やターミナルス辺境伯と、冒険者ギルドのギルドマスターであるエルドルデやモンテナにも伝えてある。


 とくにジョゼルフ王やターミナルス辺境伯だと、俺のフレンドになっていない部下に破壊させそうだから、それを食い止めるためである。フレンド以外に破壊されると『禍津勾玉』が手に入らないらしいからな。そんな勿体無い事はできないのだ。



 ◇



「お姉ちゃん!!」


「ダッカ!!」



 シエラとカーネリアに用意された部屋に俺達が集まって談笑していると、ノックの音とほぼ同時に扉が開かれ、扉を開いたダッカが大声を上げた。


 部屋に入るなり駆け寄るダッカと、それを受けて抱きしめるニッカ。二人とも涙を流しながら抱き合い、再会を喜んでいる。


 …………思わずもらい泣きしそうになり視線をそらすと、カーネリアはすでに泣いており、シエラが目を潤ませながらカーネリアにハンカチを差し出していた。


 この二人を奴隷として拐ったのは、アブクゼニスの手の者だった。


 俺達が魔王と戦っている間に、王都ではアブクゼニスやそれに連なる腐った貴族の一斉捕縛が行われており、その中でアブクゼニスの企てが次々と明らかになったようだ。


 俺達が聞いたアブクゼニスの目論見は、とても理解出来ないものだったが、取り敢えず一網打尽に出来たのは良かった。これでニッカとダッカのように拐われる子供はもう出ないだろう。



「…………じゃあシエラ、ニッカ達の準備は任せるぞ?」


「はい。お任せ下さい」



 本当ならターミナルス辺境伯家の屋敷に戻って二人を再会させるつもりだったのだが、ジョゼルフ王が俺達を労うためのパーティーを開いてくれると言うのでダッカも呼んで貰った。


 だから再会も早々に、二人にはパーティーに出る為の準備があるのだ。とは言え、パーティーには時間もあるし泣きながら抱き合う二人に水を差す事もないので、後はシエラとカーネリアに任せて俺達は自分達の部屋へと戻った。


 すると、俺達の部屋の前ではターミナルス辺境伯であるノルドとアルグレゴが待っていたので、二人も一緒に部屋へと入った。


 王城に用意された客室だけあって、部屋の中には常にメイドが一人常駐している。俺はそのメイドさんに人数分のお茶を頼むと、ノルドやアルグレゴとテーブルを挟んで向き合う形でソファーに座った。アレスは俺の隣である。



「ガモン、アレス。よくやってくれた。魔王の完全討伐など、私が生きている間に実現されるとは思っていなかった。この世界に住む一人として、礼を言う」


「いやいや、これが俺の役目みたいですからね。それに、魔王なら『カエル』もいなくなりましたよ」


「おお、そう言えばメッセージが来ていたな。『郷愁の禍津像』を破壊する度に、☆5のアイテムが手に入るのだったな」


「正確には、☆5のアイテムが必ず手に入るガチャを回せる『禍津勾玉』が手に入る。ですね」


「☆5と言えば、あの『七星の盾』がそうだな? いや、『◇キャンピングカー』もそうだったか?」


「いえ、『◇キャンピングカー』は☆4のクラッシュレアなので『☆5相当』ですね」


「何にせよ、あそこまでの性能の物が揃うとなると、責任が増すな。よいかガモン、もしもそのガチャアイテムが手に余るとなったなら、必ずドゥルク翁を頼れ。あの方なら、良い知恵も浮かぶだろう」



 そこで「私を頼れ」ではなく「ドゥルクを頼れ」と言ってしまう辺り、ノルドは正直だよな。


 その後、ノルド達と他愛ない話をしている内にパーティーの時間となり、俺達はジョルダン王国の美食や音楽を堪能した。


 料理も美味かったが、食事をしながら聞いたジョルダン王国の音楽隊による演奏も、とても素晴らしかった。あまりに良い演奏だったので、パーティーが終わった後、音楽隊に皆さんには生活ガチャから出てきた楽器をプレゼントした。


 普通なら手に取る事など有り得ない『異世界の楽器』なので、とても喜んで貰えたのが嬉しかった。

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  テンポ良く軽快な文章にイヤミの無い主人公。  登場するキャラクター達の、地に足が付いている感がいいですね。  程よく(?)やり過ぎな展開もステキです(笑)。  ワクワクしながら読み進めま…
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