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215回目 魔王討伐の褒美

 王都へと凱旋した俺達は、まずは王城へと向かった。伝令も出したし『フレンド・チャット』でも話したので今更感はあるが、元より報告には来るようにとジョゼルフ王には言われていたのでやって来たのだ。



「ねぇガモン。それで何を貰うかは決まったの? 魔王を倒すなんて偉業を達成したのだから、褒美は何でも好きな物を言えって言われたんでしょ? 今なら本当に何でも貰えるわよ?」



 カーネリアが言うように、ジョゼルフ王とのチャットで、褒美に好きな物をやるから何でも遠慮なく言えと言われている。


 そんなの無くてもいいよと、勇者ならば言うべきなのだろうが俺は貰う。王様から褒美を貰うなんて、凄くイイじゃないか。ついでに勲章の一つもくれないだろうかとも思うのだが、勲章を貰うとその国に従属している事になりかねないらしいので、欲しいと言えなくなった。…………憧れるんだけどな、勲章。



「褒美なぁ。…………ちょっと考えたんだけど、二つでもいいのかな?」


「物によると思うわよ? 何が欲しいの?」


「王都に俺達がクランとして使う拠点と、もう一つは『郷愁の禍津像・カエル』を破壊する権利」



 拠点は最初から手に入れようと思っていたので、後で買えるように誰かに相談するつもりだった。だからこの際、貰ってしまおうと思うのだ。


 そして『郷愁の禍津像・カエル』は、言わずもがな『禍津勾玉』が欲しいからだ。一応、この『禍津勾玉』についても『フレンド』で情報共有しておこうと思っている。


 ☆5アイテムは絶対に必要だ。魔王との戦いなんて起きない方がいいが、今回のアブクゼニスみたいなアホはこれからも現れるだろう。


 魔王と戦うはめになった時に、☆5アイテムが使えるかどうかってのはデカイ。正直☆5『時神の懐中時計』があれば負けないと思うが、いつも使える訳ではないし、あれは最大でも五分までしか遡れない。五分じゃどうにもならない事態なんていっぱいあるからな。



「拠点と破壊の権利ね。それなら絶対に問題ないわ。むしろ国としては足りないくらいになるから、他にも何か考えておきなさい。じゃないと拠点が無駄に豪華になって『お城』になるわよ?」


「…………城かぁ…………」


「…………何を満更でもない顔をしているのよ。一クランが城なんて持ったら面倒事しか起こらないわよ? お城の設備管理に、どれだけ人手がいると思ってるのよ。人を雇うだけで破産するわよ」


「確かにそうだな。…………じゃあ、…………金?」



 三方向から来る呆れた視線。いや確かに生々しいけど、一番必要なものだぞ? 俺のスキルがどんだけ金を使うと思ってるんだ。金が無いと何も出来ないんだぞ?



「…………確かにガモン殿のスキルにお金は必須の物ですが、あまり大量に保持するのはオススメしません。それでしたら、その褒美として貰うお金をジョルダン王国に預かって貰う形にするのが良いと思います」


「うーーん。まぁ確かにあまり大金を持つのは怖いけど、でも『◇キャンピングカー』で保有しておけば盗まれる心配はないだろ? キャンパーもドゥルクもいるし、この世で一番安全まであるぞ?」


「ガモン様、アレスが心配しているのは、お金を溜め込み過ぎて『魔物化』する事ですわ」


「…………なにそれ初耳なんですけど」



 この世界のお金はダンジョン産。それは前に聞いていたが、どうもこのお金、括りとしては『ミミック』や『宝虫』という宝を模したモンスターと同じなのだそうだ。



「モンスター…………。いや本当になんで流通してんのコレ?」


「便利だからだけど?」


「そうなんだろうけど…………!」



 もちろんこのダンジョン産のお金に害は無い。普通に持っている分にも問題ないし、勝手に消える事もない。


 ただし一定量を越えて一ヶ所に集まると『魔物化』すると言う。だからドゥルクも、金銭は白金板換算で三十枚程度に抑え、残りの遺産は宝物に変えて持っていたのだ。これはタミナルの街の大商人であるゲンゴウにも言える事で、基本この世界での財産は宝物という形になる。



「国の財政を預かる者が持つ『セクレタリー』というスキルがあれば『魔物化』なんてしないのですがね。そのスキル持ちをわざわざ雇わなくても、宝物で調整すれば問題ないですよ」


「そもそも普通ならそんな心配なんかしないんだけどね。ガモンの場合は国からの魔王討伐の報酬でしょ? そりゃ『魔物化』なんて滅多にするもんじゃないけど、覚えておいた方がいいわよ?」



 うん、まあ確かにそれは覚えておいた方がいい話だったな。溜め込んでいざ使うとなった時に『魔物化』して使えないとか笑えないもんな。



「…………よし、絶対に外では使わないだろう分は、予め『ガチャ・マイスター』に突っ込む事にしよう。それなら問題ないだろ」


「スキルの中ですか。…………なるほど確かにそうですね。俺は賛成です」



 俺達は王城に着いた後に、通された客室で褒美の希望を執事に伝えた。そして後々に俺がジョゼルフ王から貰った褒美は『貴族街の屋敷』と『禍津像・カエル破壊の権利』と『白金板三十枚』となった。


 ちなみに共に戦ったアルグレゴ小隊は、王様から勲章と爵位を貰うらしい。全員が興奮しながら喜んでいたのが印象的だった。

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