表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

213/607

213回目 『禍津勾玉』

「…………やった…………魔王が! 魔王が滅んだぞ!!」


「…………ま、まさか本当に…………! う、うおおぉぉーーーーっ!!」


「「「「おおおおおーーーーっ!!!!」」」」



 魔王『キツネ』の完全討伐。一般の人々は知る由もないが、これはこの世界初の快挙だ。


 どんな武力を集めても、どんな魔法を集めても、果ては勇者を集めても決して実現出来なかった『魔王討伐』。それが初めて成されたのだ。


 だからこそ、この『討伐』の意味を知る者は歓喜した。大きな勝鬨を上げるほどに。



「王都に! 王都に伝令に走ります!!」


「ターミナルス辺境伯様にも伝えましょう!!」


「お、俺はギルドに走ります!!」


「わかったわかった。まずは落ち着け」



 アルグレゴ小隊の騎士達が、伝令に走りたいとアルグレゴに詰め寄っている。アルグレゴ自身も伝令の必要は感じているので走らせるのは吝かではない。…………本当に走る必要があるのなら。


 そこでチラリと俺を見たと言う事は、アルグレゴはちゃんと気づいているようで安心した。どうも騒いでいる騎士達は、舞い上がるあまりに『フレンド・チャット』の存在を忘れているようだからな。


 でも、こういうのは口頭でも聞きたいものだろう。俺はアルグレゴに向かって頷き、俺の意を汲んだアルグレゴは伝令に走らせる騎士を選出して王都に向けて走らせた。



「…………それにしても、ガモンも結構エグいわね」


「エグいって言うなよ。…………まぁ改めて見れば、自分でも少しはそう思うけど」



 カーネリアがエグいと感想を口にしたのは、その視線の先にデデン! と構える☆4『ロードローラー(10t)』が原因である。


 魔王が滅ぶのと前後して轟音と地響きを響かせたこれを見て、「いったい何が?」と聞かれたので、☆5『時神の懐中時計』で時間を止めた上で、この☆4『ロードローラー(10t)』を使って『郷愁の禍津像』を押し潰したと説明したのだ。



「「「……………………(ドン引き)」」」



 …………そんなにドン引かれると思わなかったので、俺の心はちょっと傷ついた。


 これ以上出してると俺の心を更に傷つけそうなので『ロードローラー』を回収する。結構な高さから落としたのだが、上手いことローラー部分から着地したらしく、窓ガラスにヒビは走っていたが、ロードローラーは概ね無事である。あと数回は落とせそうだ。



「ん? …………何だこれは?」



 ロードローラーをスキル倉庫に回収すると、地面に敷いた鉄板の上に浮かび上がる物があった。すでにゴミとして処理されたのか、『郷愁の禍津像』を固定した粘土は消え失せているし、禍津像の欠片も存在していないが、それが浮いているのは明らかに『郷愁の禍津像』があった位置である。


 見た感じは水晶で作られた勾玉だ。紫色を基本に、青や赤や緑と、様々な色が中で渦巻いている。何か凄く格好いい勾玉だ。



「…………」


「ガモン殿、迂闊に触らない方が…………」


「いや大丈夫だ。これは俺のスキルに関係ある物だ。何故だか解る」



 光を放ちながら宙に浮かぶ勾玉を手に取る。するとその瞬間、『ガチャ・マイスター』が起動した。


 俺の目の前に浮かぶ画面に出て来たのは『魔王討伐ガチャ』と言う文字だ。…………魔王討伐ガチャと来たか。この勾玉を手にした瞬間に出たって事は、やはりこの勾玉は俺のスキルの影響で出て来たらしい。突然の起動は、この勾玉を手にするのがガチャ解放の条件だったのだろう。


 まあ、取り敢えず内容を見てみるかと色々見ていった結果、この『魔王討伐ガチャ』がとんでもない物であり、これが俺のスキル『ガチャ・マイスター』にあるガチャの、最高到達点である事が解った。



 《魔王討伐ガチャ》

 ・一回『禍津勾玉』一個。

 ・排出率 『☆5 100%』。

 ・『禍津勾玉』取得条件。スキル『ガチャ・マイスター』に関係の深い者による『郷愁の禍津像』の破壊。



「☆5確率100%!!??」



 俺は思わず大声をあげてしまった。


 いや、そりゃ確かに思ってたけど!? この排出率じゃ、魔王討伐が全部終わる頃になっても☆5はあんまり手に入らないだろうな、と。


 となると☆5にあまり意味は無いな、☆3☆4で頑張る感じになるんだろうな、と。


 まさかブッ壊れ性能の☆5専用ガチャがあるとは恐れいった。これはヤベェ、くそヤベェ。仮に☆5が魔王と同じ数手に入るとしたら、もう俺が魔王だろ。


 そりゃ☆5にどんなアイテムがあるのか分からんけど、『七星の盾』『霊酒の壺』『時神の懐中時計』などと、俺が持つ☆5アイテムの存在を考えると、世界中に命を狙われても納得できる。だって単独で世界を滅ぼせてもおかしくない戦力が手に入ると俺でも思うもの。



「……………………ん? ちょっと待てよ? って事は今回って、☆5のアイテムが三つ手に入るのか?」



 緊急クエスト報酬で☆5確定ガチャチケットが一枚。


 クエストの追加報酬で☆5確定ガチャチケットが一枚。


 そして☆5が確定で手に入るガチャが回せる『禍津勾玉』が一個だ。


 …………どう考えても☆5が三つ手に入るなぁ…………。と、俺は遠い空を眺めながら呆然とするのだった。

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ