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208回目 ニッカ救出

「頼むぞキャンパー。最優先はニッカの居場所、次が『郷愁の禍津像』だ。敵の配置は、ここで映像を見る」


『かしこまりました。お任せください』



 そう言ってキャンパーは、偵察用のドローン(一号)で飛んで行った。そしてこの場に残った同型のドローン(二号)が、その飛んで行った一号の見ている映像をホログラムで空中に映し出した。


 ちなみにこの一号と二号は、今までのドローンとは訳が違う。性能も違うが値段も違う。そして何より格好いい。フォルムが鋭角になって色は漆黒なのだ。


 これはつい先日、『経験を積みましたので機能のバージョンアップを行います』とかキャンパーが言い出して、それで新たに交換できるようになった新型ドローンである。


 前の偵察用ドローンは300ガチャポイントだった。


 今回の『ステルス機能付き偵察用ドローン』は、その十倍の3000ガチャポイントである。…………それを二機交換し、更にはドゥルクが『ちょっと国境周辺を探ってくれんか?』とか言い出して『遠距離偵察用ドローン』も三機交換している。合わせて15000ガチャポイントである。


 ガチャが一回10万円として、☆3一個交換して100ポイント。つまり☆3を150個分として1500万円。


 こうして見ると、「あれ? 大した事ないな」なんて思ってしまう辺り俺はもうダメだ。もう普通の暮らしが出来る体には戻れないだろう。



「…………なるほど、これは神社だな。それに。思ったよりも広い」



 社へと飛んでいったドローンが見ている映像が、ホログラムに映しだされる。


 白い土壁を越えていくと、そこには紅い社が建っている。『キツネ』の社と聞いていたので、小さいお稲荷さんを想像していたのだが、中の建物は結構大きい。


 どうやら中には和風の神社っぽい建物が半円を描くように五つ並んでおり、その中央にお稲荷さんを模した物があるようだ。


 カーネリアから聞いてはいたが、本当に鳥居や狛犬がある。魔王が封印されているのは、考えるまでもなく中央にあるお稲荷さんだ。



『……………………』



 キャンパーは中にある建物の間を通り抜ける。


 敷地内にはアブクゼニスの騎士達も歩き回っているが、誰もキャンパーには気づかない。


 ステルス機能のある偵察用ドローンは、光学迷彩で周囲の景色を自らに投影しながら飛び回り、建物の中を覗いていく。


 まず一番左端の建物には何も無い。だがその次の建物には、騎士が数名とアブクゼニスと思われる男が酒盛りをしていた。



「…………おい。酒飲んでるぞコイツら」


「いやまあ、戦場に出た貴族にはよくある事です」



 アルグレゴの応えに溜め息で返し、俺は少し呆れながら映像に眼を戻した。


 アブクゼニスについては随分と油断が過ぎるようにも思い腹も立つが、敵が油断しているのは良い事だと気持ちを切り替える。それにアブクゼニスが飲んでいる脇には、『郷愁の禍津像』もあった。あれを破壊出来ればクエストは終わりだが、まずはニッカの救出を優先する。戦闘が起きた時に一番危険なのはニッカだからな。


 順番に建物を覗いていくキャンパーだが、真ん中にあるお稲荷さんは、取り敢えず諦める。やはり魔王が封印されている場所らしく、ここに一番騎士が集まって警戒していたからだ。


 そしてその裏手には数人分の遺体があり、俺は顔をしかめた。どうやらここに詰めていた兵士達の遺体であるようだ。



「先程の酒盛りの場に、二人ほど小さくなっている魔道士がいましたが、おそらくそれが不測の事態に再封印をするための人員でしょう」


「そっちは生かしている訳か」



 やはりアブクゼニスとしても不測の事態には備えておきたい訳だ。それは俺達にとっても好都合だな。


 次いでお稲荷さんの右側にある建物をキャンパーが覗くと、そこにも数人の騎士がおり、壁際で体育座りで俯いているニッカの姿も発見した。



「見つけたぞ! キャンパー、ここに一番近い壁まで案内してくれ!」


『はい。コチラです』



 俺達はなるべく音をたてないように移動する。中に残っているキャンパーはその間に残り一つの建物を偵察したが、そこではアブクゼニスが連れて来た騎士達が休んでいた。俺達がニッカの救出に動けば、まずコイツらとの戦闘になるだろう。そこはアルグレゴ小隊が引き受けてくれるそうなので、お任せだ。



「キャンパー、作戦開始と同時にニッカと接触して、俺達の方に誘導してくれ」


『接触は今していますので、大丈夫です』


「よし! なら派手に行こうか。やれ! カーネリア!!」


「いくわよ!!」



 カーネリアの気合いと共に、巨大な火の玉が現れると、それは渦を巻くように槍へと変化した。そして撃ち出されたそれは轟音を立てて壁を大きく破壊した!!



「突撃ーーーーっ!!」


「「おおぉーーーーっ!!!!」」



 カーネリアの爆撃によって開いた穴に、舞い上がる粉塵や煙をものともせずにアルグレゴ小隊が突入し、粉塵の向こうですぐに戦闘の音が鳴り響いた。



「俺達も行くぞ! キャンパー!!」


『ワタクシについて来てください!』



 煙の中に突入してそれを抜けた俺達は、目の前の建物を右側から回り込んだ。するとすぐにニッカがおり、その前には敵の騎士と牽制しあうキャンパーの姿があった。



「『雷撃』!!」


「ぐぎゃっ!?」



 すぐさまキャンパーと向き合う敵に雷撃を撃ち込んで、アレスが戦闘に参加する。



「ニッカ!!」


「カーネリアお姉ちゃん!!」



 そしてそのすぐ側では、たまらずに飛び出したカーネリアと抱き合うニッカの姿があった。

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