203回目 敵の狙い
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「…………私…………? …………ハッ!? ニッカ!! ダッカはどこ!?」
来客用の部屋でベッドに寝かされていたカーネリアが目を覚ました。それと同時に騒ぎ始めたので、ベッドの横で控えていたシエラが、カーネリアを落ち着かせようと宥めている。
ちなみにこの部屋にいるのは、俺のパーティーメンバーである四人だけだ。
カーネリアは死にかけた。いやもう、俺の認識だと一度は死んでいた身だ。これだけ騒げる元気があるなら何よりとも言えるか。
「落ち着いてくださいカーネリア。ダッカは無事です、貴女が護ったんですから」
「ダッカは…………? ならニッカは拐われたのね!? アイツら、最初からニッカとダッカの二人を狙って来てたのよ!!」
「だからまずは落ち着けよカーネリア。ニッカを拐った連中は、いまキャンパーが後を追っている。お前は死にかけたんだからな? まずは自分の身体を確認しろ。どっか異常はないか?」
俺達の顔を見て少しだけ落ち着いたのか、カーネリアは自分の身体を確認しだした。
「…………大丈夫みたいね。私、確かにお腹に穴を開けられた筈なんだけど…………?」
「塞がってるから安心しろ」
「…………あんなの、治癒魔法で何とかなると思えないんだけど…………」
「俺って『エリクサー』とかも出せるからな」
「なるほどね」
流石に目覚めたばかりのカーネリアに、あの時の状況を詳しく話す気にはなれないので、俺はエリクサーで誤魔化した。実際、あそこまで危ない状況でなければ、エリクサーは欠損部分も治せるのだ。
俺はスキルの倉庫から出した電気ケトルでお湯を沸かすと、お湯を注ぐだけで出来るカップスープを作ってカーネリアに渡した。
「あ、これ美味しいわね」
「気にいったなら良かった。まあ、ゆっくり飲め」
カーネリアに渡した後、俺達もカップスープを作って飲んだ。カーネリアはこのカップスープが気に入ったようで、もうひとつ飲んでいた。
そうして落ち着いた所で、俺達は本題に入った。
「…………少し落ち着いたな。なら、お前には何があったのかをちゃんと聞きたい」
「いいわ。最初から話すわね」
カーネリアの話によると、襲撃は俺達が城に向かった二時間後に起きたらしい。突然、屋敷の周囲を囲む塀の一部に魔法を撃ち込まれ、その直後には屋敷全体を聖なる結界が覆った。
敵に真っ先に気がついたのはモンテナで、モンテナは直ぐにフレンド・チャットを使って襲撃を伝えると、敵の姿を確認し、更に屋敷にいるメンバーのフレンド・チャットに指示を出した。
モンテナは当初、敵の狙いはドゥルクだと思ったらしい。聖属性の結界を張られ、敵に死霊使いや神官の姿を見たのだからそれは仕方のない事だ。
『◇キャンピングカー』には、近くにいたアルグレゴ小隊の兵士が駆け込み、これによってまずドゥルクは封じられてしまったが、キャンパーがドローンを展開した事で人数の不利は抑えられた。
ドローンを展開し、防衛用ドローンで足止めをしつつ攻撃用ドローンの銃器を使い敵を無力化していくキャンパーは、「戦わなくていい! 奴隷のガキを探せ!!」と言う敵の言葉を聞いてそれをドローンの通信網でモンテナ達にも伝えた。
「私はその時、ちょうどニッカとダッカの二人と一緒だったの。だから二人を護るために色んな手を打ったんだけど…………」
敵の中に三人程、かなりの強者が紛れていたらしく、カーネリアの近くにいたドローン達も破壊され、カーネリアの魔法は逸らされた。
だが、敵としてもカーネリアの存在は厄介だったらしく、敵は拐うのを一人に絞り、ダッカに向かって強力な魔法を放った。
カーネリアはそれを相殺しようとしたが力が足りず、最後は自分の身体を盾にしてダッカを護ったらしい。
そして、敵がニッカと共にダッカをも拐おうとしたその時に、アレスが到着した。
アレスが来た事により、敵は俺達も来ると予想して撤退。アレスの足止めに一人残して去っていった。この後に、俺達も現着したわけだ。
「敵の狙いはニッカとダッカだった。…………って事は、間違いなく二人を拐わせた奴だろうな。何か目的があって拐わせていたのか…………」
「それに、この国の上位貴族が犯人ですね。俺も実際に剣を交えましたが、あの強さの刺客をあれだけ揃えるのにはかなりの金が掛かります。それに、ドゥルク翁の事も知っていたとなれば、間違いないでしょう」
「ガモン様。陛下や宰相様に伝えておいた方が良いのではないですか? 誰が犯人か解りませんから、フレンド・チャットを使うのがよろしいかと」
「そうだな。あぁそうだ、カーネリア」
「なに?」
「ダッカを護ってくれてありがとう。もし嫌になってなければ、改めて仲間としてよろしく頼む」
「もちろんよ。ニッカも取り返さないといけないし、ガモンが嫌だと言ってもついていくわよ」
俺はカーネリアと向き合って握手を交わすと、カーネリアをフレンドとして登録した。カーネリアは命がけでダッカを護ってくれたんだ、これで信用しないなんて事は、あり得ない。
俺に頼もしい仲間が、また一人増えた。
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