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201回目 襲撃される辺境伯家

 ターミナルス辺境伯家襲撃の報を聞いた俺達は、直ぐに王城を飛び出して屋敷へと向かった。ジョゼルフ王は馬車を出すと言ってくれたのだが、車の方が速いので丁重にお断りをしたのだが、王城敷地内の坂を車で走り下りて外に出ると、そこはとても車で走れるような状態じゃなかった。


 さっきの爆発音が気になって外に出た人も大勢いるが、爆発音とその後の喧騒で馬が歩かなくなったらしく、多くの馬車が所々道を塞いでいるのだ。



「クソッ! 車はダメだな!」


「ガモン殿、俺は走れるので先に行きます!」



 言うが早いか、アレスは☆4『白雷獣の剣』を鞘から少しだけ抜くと、剣から迸る白い稲妻を体に纏い、光りもかくやという物凄いスピードで走って行った。


 アレスのあれは、アレス自身の『剣聖』のスキルと『白雷獣の剣』の力を合わせて発動している物らしいが、白い稲妻を纏った金髪のイケメン剣士って、もう本当にアイツが勇者だよね。めっちゃカッコイイもの。


 そして俺はと言うと、スキルの倉庫からスクーターを出して後ろにシエラを乗せてのスタートです。


 え? ここは大型バイクだろって? しょうがねぇだろ乗れねぇんだもの!! ギリスクーターしか乗った事ねぇよ!!


 しかしまぁ、スクーターと言えども走るよりは速い。俺達は人々の間を縫うように走り抜けてターミナルス辺境伯家の屋敷へと辿り着いた。



「遠くから煙は見えていたけど、かなり大事になってるな…………!」


「ガモン様、私からあまり離れないようにお願いします!」



 ターミナルス辺境伯家の屋敷からは少し煙が上がっており、屋敷の門を潜ると金属がぶつかる音が響いてきた。音のする方を見ると、何人かの兵士が襲撃者と思われる男達と剣を交えていた。


 今日はターミナルス辺境伯は懇意にしている貴族の所に出掛けており、アルグレゴ小隊もそちらに同行しているのだが、数人は留守を託されて残っていたのだ。


 本来ならば敵の方が数が多い為に勝つのは難しいのだろうが、アルグレゴ小隊が装備しているのは、ターミナルス辺境伯の家紋が描かれたマント以外はガチャ装備だ。ちょっと敵の数が多いくらいではそう簡単にやられはしない。ガチャ装備は普通の装備に比べて格段に性能が良いのだ。



「ガモン殿! ここは我らだけで十分です! ですが中にも敵がいます! どうかそちらを!!」


「わかった!!」



 屋敷の外での戦いは兵士が押しているので、俺達は急いで屋敷の中へと入った。すると直ぐに、壁を背にして床に座り込んでいるモンテナを発見した。その周囲には敵と思われる死体がいくつか転がっている。モンテナが倒したものだろう。


 俺はまさか相討ちになったのかと思い、慌ててモンテナに駆け寄った。



「モンテナ!?」


「…………んん? おう、ガモン。アレスなら上に行ったぞ。お前さんも早く行け」


「なんだ無事なんだな?」



 心配して駆け寄ってみれば平然と声が反って来たので、肩から力が抜けてしまった。紛らわしい事をしやがって。



「随分な挨拶だが、まあ無事だ。ちょっと無茶してこの通りだがな」



 モンテナがヒョイッと左足を上げると、義足が折れて血もながれていた。どうやらこれのせいで座っていただけらしい。



「カーネリアとドゥルクはどこだ?」


「ドゥルク翁には『◇キャンピングカー』に引っ込んでもらっている。敵に死霊使いと神官がいたからな。この敵は、しっかり幽霊となったドゥルク翁の対策を立てて来てやがった」



 顎でしゃくるモンテナに倒れている敵を見ると、なるほどそれっぽい服装の奴らが死んでいた。


 ドゥルクがいるのになんでこんな事になっているのかと思っていたが、そのドゥルクを真っ先に封じに来てやがったのか。


 と、その時。上の階から爆発音が響いた。



「上ではまだ戦っているようだな。カーネリアもアレスも上だ。俺は大丈夫だから早く行け」



 モンテナにも促され、俺とシエラは上の階を目指して走った。


 所々ガラスが割れて焦げた匂いがただよう屋敷の中には、敵の死体と共に屋敷で働く使用人の死体もあった。


 俺達はその光景に顔をしかめながら、さらに上を目指して走ると、四階に着いた辺りで爆発音がまた響いた。どうやら今の戦場はここらしいと、俺達は戦闘音のする場所を目指した。



「アレス! カーネリア!」



 戦闘が行われている部屋に辿り着くと、アレスが敵の一人を斬り捨てた所だった。その近くにはカーネリアが血溜まりの中で座り込んでおり、その腕の中には白狐族の少年ダッカが、血濡れの状態で抱かれていた。



「カーネリア! ダッカ! 無事なのか!?」



 俺の声にダッカはハッとして涙で濡れている顔を上げたが、カーネリアはピクリとも動かなかった。



「申し訳ない、ガモン殿! 一歩及ばず、ニッカを拐われてしまった!」



 アレスの言う通り、壁に大きな穴が空いた部屋の中には確かに白狐族の少女ニッカの姿が無く、賊が鳴らした退く為の合図なのか、甲高い笛の音が外で響いていた。

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