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182回目 斥候スキル

 王都から南へと進む道は、森の中を切り開いて作られた道だ。南には数多くの小国郡があり、国境を接する所にある大きな街と王都をつなぐ、流通の為の道路だ。


 南の小国郡には、かつては『ガンガルド王国』と言う大きな国があったのだが、それが滅びて分裂していき、今は小さな国の集まりとなっている。


 …………実態としては、その地を治めていた領主が国王を名乗って他の領主と小競り合いをしている訳だが。一応は小康状態を保っている。


 まぁともかく、この道はまだガンガルド王国が健在で、ジョルダン王国とも関係が良好だった時に作られた道であり、今は使う頻度が落ちた道という訳だ。


 そんな道を、俺は軽トラで進んでいる。モンスターが出た時の為に、シエラとアレスは荷台である。それでも軽トラの窓は全開にしているので、二人との会話に支障はない。



「…………なるほどねぇ、道理で荒れてる訳だ」


「あまり使われなくなった道は整備も荒くなりますからね。それでもこの道を使う商人はそれなりにいますから、現状を保たれる位にはなるでしょう」


「しかし森を棲みかにしているモンスターは放置されぎみのようですね。この道からでも、モンスターの気配が分かるくらいには増えているようです」



 アレスが言うように、森の気配を探るとモンスターの気配はいっぱいだった。ただしそのほとんどがスライムやら虫やらの小動物で、ゴブリンなんかはまだ警戒して森の奥に引っ込んでいるようだ。このままだと、それらが道まで出てくるのも時間の問題だとは思うが。



「…………『索敵』っと。…………うん、まだ猿はいないな。もうちょっと進むぞ」


「「はい!」」



 今回の依頼を、俺達は『◇キャンピングカー』とかには頼らないで行う事にしている。そりゃキャンパーがいれば、ドローンを飛ばして索敵も出来るし、なんなら戦闘も出来る。それにドゥルクがいれば、この依頼は正しく赤子の手を捻るような難易度になるだろう。


 でもそれじゃあ、俺達は強くならない。なので今回は出来るだけ自分達の力で依頼をこなすのだ。


 …………とは言っても、バフはもちろん掛けて来たし、スキルも盛り盛りだけどな。これは俺のスキルなのでセーフなのだ。…………セーフと言ったらセーフなのだ。



「それにしても、斥候役のスキルって凄いんだな。初めての感覚でちょっと戸惑うけど」



 今の俺のスキル構成は。


 《盗賊の心得》

 ・ある程度場数を踏んだ盗賊の心得。気配を消しての移動に優れる。鍵の解錠が得意。

 《見習いレンジャーの心得》

 ・自然の中での任務を得意とする見習いレンジャーの心得。戦闘技能は低いが、索敵や捜索を得意とする。

 《罠士の心得》

 ・罠を張る罠士の心得。罠を張るのはもちろんだが、その発見や解除も得意とする。

 《見習いテイマーの心得》

 ・小動物しかテイム出来ない見習いテイマーの心得。小型動物を二匹までテイム出来る。動物やモンスターの仕草から、その心を読み取る事にも長ける。



 と、なっている。シエラは武闘派の治癒師だし、アレスは生粋の剣士だから、今回は俺が斥候役をやってみよう、というスキル構成だ。


 いやでも、実際凄いんだよ斥候スキル。こう、頭の中に入ってくる情報が異次元って言うか、例えばそこにある木を見るじゃん? すると普通なら「ああ木だなーー」くらいの感想しか生まれない訳だが、こんだけ斥候スキルが盛り盛りだと、まず木とその周囲の情報が頭に浮かび、その木の状態が解る。


 木の状態ってのは、例えば折れた枝があるとか傷があるとか、そんな感じだ。そしてその木におびただしい虫が住んでいる事がわかり鳥が作った巣がもう空っぽの状態である事も解るわけだ。もっと言えば、あの木が地面でモグラかネズミみたいなモンスターに根っこを食われているのも解るな。


 とにかく、普通では得られない情報が多く入って来ては自動的に整理されていく感覚がある。車の運転をしていても問題ないくらいには入ってくる情報が邪魔にならないのだ。


 一つ難点があるとすれば、斥候系のスキルって便利な能力は使えるけど身体能力は少し下がるのだ。器用さとか運とかは上がるけど、体力とか腕力が下がるのだ。



「…………この『軽トラ』はすごく便利だけど、すれ違う馬車からの視線に晒されるのが気になりますね」


「私達は荷台に乗っているから特に目立つのでしょうね。ガモン様、あまりスピードを上げないのは索敵のためですか?」


「いや、普通に危ないからだよ。この道はわりとデコボコだし、二人が荷台に乗ってる状態じゃ危なくてスピードを出せないんだよ」



 日本なら普通に法律違反である。まあ、異世界に交通ルールとか無いけど、あれは安全の為にあるものだから、守れるものは守ったほうが良いもんな。


 などと、わりとのんびりした感じて軽トラを進めていると、俺の索敵に引っ掛かるものがあった。


 森の奥にモンスターの集団がいる。それも今は戦闘中のようだ。



「見つけたぞ二人とも。降りろ」


「はい! …………ガモン様、ドランクモンキーがいたのですか?」


「ああ、こっちの森の奥の方だな。いま、別のモンスターの群れと戦っているみたいだ。相手はゴブリンだな」



 索敵で見つけたドランクモンキーの群れは、縄張り争いでもしているのかゴブリンの群れと争っている最中だった。ちなみに優勢なのはドランクモンキー側である。

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