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173回目 王都に向けて

「「「「ここまでとは…………」」」」


「ぉぉ…………、ぉおおオオッ!! 私は今!! スキルの無限の可能性を見ているっ!!!!」



 王都に向けて出発する日。俺の『◇キャンピングカー』に初めて乗り込んだアルグレゴ小隊の兵士達は、『◇キャンピングカー』の非常識さに絶句していた。


 約一名(副官イージド)のテンションが爆上がりで変な事になっている。


 だが、膝をつき両腕を上に伸ばして天を仰ぎつつ、滂沱の涙を流しているその姿は怖すぎるので、そっとしておこう。…………アイツ、あんなキャラだったのか。


 ともかく皆、俺の☆3や☆4の装備の熟練度上げに協力してくれているので、俺のスキルから出て来た乗り物にもある程度の想像を働かせていたらしいが、『◇キャンピングカー』はその想像を容易く上回ったようだ。


 フフッ、そうだろうそうだろう。☆4クラッシュレアは伊達ではないのだ。ブッ壊れ性能の規格外っぷりを堪能するがいい。


 そして驚愕する兵達と別の場所では、領主のノルドとギルドマスターのモンテナがアルグレゴと話をしていた。



「アルグレゴ、それは本当か!?」


「はい。確かにドゥルク翁はそう言われました。馬はドゥルク翁が用意してくれるそうです」


「ドゥルク翁が用意するって事は『霊獣』を貸してくれるって事か!? ノルド様、それなら馬を用意する必要がなくなりますな!」


「ウム。それならば王都に近づいた所で馬車に乗り換えるだけで済むか。さすがにこの『◇キャンピングカー』で王都に入る訳にはいかんからな」


「いえ、それもドゥルク翁の『幻術』で馬車に見せるから問題ないと聞いています。『◇キャンピングカー』を仕舞われては『霊獣』を維持出来ないからと」


「「おお…………」」



 アルグレゴが説明しているのは、ラーメン屋で話していたヤツだな。極上の喜多方ラーメンに満足して餃子やワンタンをつまみながらビールを飲んでたドゥルクが約束していたやつだ。



 ◇



 《喜多方ラーメンの店にて》



「…………と、そのようになっております。ドゥルク翁にはご迷惑をおかけするかも知れませんが、よろしくお願いします」


『ホウホウ。なるほど、そういう日程で行くのか。ガモンよ、こういう事はワシにも言っとくべきじゃろ。『◇キャンピングカー』が行くのならば、ワシも行く事になるんじゃぞ?』


「ゴメンて。すっかり話したつもりになってたんだよ」



 食事の席の雑談で今度の王都行きの話になり、俺はそこで初めて、ちゃんとした日程をドゥルクに伝えてなかった事に気がついた。そんな俺に代わって、アルグレゴがドゥルクに日程の説明をしてくれた訳だ。



『(ゴクゴク)…………プハーーッ! まぁええわい。しかしそうじゃな。そういう事ならば、馬はワシが『霊獣』で用意してやるかの。ワシが死んでから魔力が足りとらんで、あやつらをコチラに呼んどらんからのぅ。魔力が十分ある今なら呼べる筈じゃ』


「そ、それは本当ですか!?」


「…………なぁ、『霊獣』って?」


『精霊の力を宿した獣の事じゃよ。見た目は美しく魔力には長けておるが物理的な攻撃に弱くての、よく乱獲の対象になっとったんじゃ。その何種類かを、ワシの造り出した亜空間で保護しておる。まぁ、ワシの『書庫』に似た空間じゃよ』


「へぇ、そりゃ凄いな。でも、無理じゃないか?」


『うん? 何故じゃ』


「いやだって、馬車に乗り換えてからは俺達も『◇キャンピングカー』から馬車に乗り換えるんだぞ? そうなれば当然『◇キャンピングカー』は仕舞うんだぞ? そしたらドゥルクも外には居ないだろ」


『なに、『◇キャンピングカー』自体をワシの幻術で馬車に見せればよいだけの事じゃよ。そのまま王都に入りゃええわい』


「マジかよ。そんな事まで出来るのか…………」


『ワシを誰だと思っとるんじゃ。大魔導師ドゥルク=マインドじゃぞ? 大概の事は出来るわい』



 ◇



 なんて頼りになる幽霊爺さんだと、俺は思ったのを思い出した。



「ところで、そのドゥルクはどうしたんだ? 姿が見えないけど」


『ドゥルクならば例の壺を持って研究室に入っております。僅かですが、さっそく研究物が手に入ったと喜んでおりました』



 …………ああ、☆5『霊酒の壺』か。そういや酒の成分や効能を研究したいとか言うから許可を出したな。ちなみに飲むのは許可していない。飲む時は俺も一緒に飲むと約束しているのだ。



「…………大丈夫か?」


『はい。現在研究室の扉は消してあります。ドゥルクならば問題なく通り抜けられますが、他の者は立ち入り出来ません。ドゥルクに用があれば、ワタクシが伝えます』


「なるほど、万全だな」



 出入りする扉自体を無くすとか、完璧なセキュリティーだな。キャンパー、グッジョブ!!



『では、そろそろ出発致します。予定としては三日程で王都へ到着します』


「ああ、よろしく頼むよキャンパー」


『お任せ下さい』



 こうして俺達はタミナルの街から王都に向けて旅立った。普通の馬車で行くと早くて十日の道程らしいが、『◇キャンピングカー』ならば三日で済む。


 と言うか『◇キャンピングカー』なら、どんだけ時間が掛かっても快適な旅にしかならないに違いない。

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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