171回目 食品ガチャから……☆5!?
ゴウンゴウンと回るドラム式洗濯機を、アレスの弟であるアラムがじーっと見ている。
異世界でもあの年頃の子供がやる事は変わらないな。などと思いながら、俺はアレマーに☆4ドラム式洗濯機の説明書を渡した。
このドラム式洗濯機自体はカラーズカ侯爵家にも売っていたので、アレマーも見た事はあるらしいが、お客様として扱われていたので、使う機会はなかったのだと言う。
アラムもカラーズカ侯爵家では子供なりに遠慮していたらしく、こんなに近づいて見ているのは初めての事だとアレマーは言っていた。
「これを使えば、服でも布団でも鎧でも丸洗いできるので、活用してください」
「…………ガモンさんの持つ道具は不思議な物ばかりですね。それに、随分と便利です。水魔法と風魔法を組み合わせれば同じ事は出来るかも知れませんが、これを魔法なしで行っていると言うのは、信じがたいです。『カガク』と言うのは凄いのですね」
「いや、これどこからともなく水とか洗剤が出て来るから『科学』かって言われるとちょっと自信ないですね。☆4のアイテムは非常識過ぎるので…………」
「そうなんですか? あ、それとですが、洗濯物は基本的には外に干そうと思うんです。やはり日の光と風に当てるのは大切だと思うので。乾燥機は、雨の日に使わせて貰いますね」
「そうですね、それでいいと思います。じゃ、風呂も使えるようにしちゃいますね」
俺はアレマーにそう言うと、今度はただデカイだけの浴槽しかない風呂に、☆4給湯器を取り付けに向かった。とは言っても、難しい事は何もない。取り付けたい風呂に重ねて置いて「設置」と言うだけで、簡単に設置される親切仕様だ。
この世界の風呂は、水魔法が使える者が浴槽を水で満たし火魔法で適温まで温める、という非常に手間の掛かるものだった。
それが、このアイテムがあればボタン一つですむ訳だ。これは凄いアイテムだと、風呂の準備が大変だと知る者達は絶賛してくれた。
取り敢えずこれで一通りは設置が終わった。台所とトイレに関しては一日目にすでに終わらせてあるので、これで全部だ。風呂場の隣に作った休憩室には、☆4マッサージチェアも二つ設置したし、マッサージしながら見れるようにテレビも漫画も置いてある。もちろん、小型冷蔵庫にはコーヒー牛乳やフルーツ牛乳も入っているし抜かりはない。フッ、当然だが瓶のやつだ。
「さてと、あとは食品だな」
「ガモン様、何をしているのですか?」
「こ、こんにちは」
風呂場から出て調理場に向かう途中でシエラとアリアに出会った。シエラはアルグレゴのところで訓練をした後、教会に寄ると言っていたので、いま帰ってきた所みたいだ。アリアも一緒にいるって事は、外に出ていたのかも知れない。
「ああ、ちょっと食料のストックを作りに行く所だ。食品ガチャを回しながら整理もしてしまおうかと思ってな」
「そうですか。なら、お手伝いしますわ」
「私もやります!」
二人が手伝ってくれると言うので、俺達は三人で調理場へと向かった。
調理場は調理台もステンレスだし、包丁にまな板にボウルに鍋にと、全てが生活ガチャから出た物で揃えられている。
この世界にはまだないラップやらクッキングシートなんかもあるし、業務用冷蔵庫やレンジにオーブンと、完全にここは日本である。
違和感ないどころか、日本の俺の実家よりも物が揃ってるまである。ちなみに、棚の中にはカップラーメンや缶詰めもギッシリ詰まっていたりする。俺がいなくても、ここの食料だけでしばらくは食っていけるようにしてあるのだ。
「よーし、じゃあガチャ回して出た物を並べていくから、業務用冷蔵庫に入れていってくれ。五千回回すからな? 気合い入れていこう!」
「「はい!!」」
普通のガチャが一回金貨一枚(十万円)なのに対して、食品ガチャは一回銀貨一枚(一万円)だ。十倍回せるのはありがたいが、その実、出て来るのはほとんどが☆2の野菜や果物である。しかも一個ずつ。
なので野菜は段ボール箱(これもガチャ産)にある程度つめ込んでから中にいれる。冷蔵庫の中に既にいっぱい入っているやつは俺のスキルの倉庫行きにして、後でゲンゴウに売る。
と言う訳で回しまくりの五千回。シエラは手際よく作業をしつつ、ケーキなどをこっそり脇に置き、アリアは仕分けをしながら、冷凍のグラタンやインスタントのココアなどの好物を手に取ると、顔をほころばせていた。
「…………はぁ!? 嘘だろオイ!?」
順調に作業をしていて、あと少しで終わりだと言う所で、俺に最大の衝撃が襲って来た。なんと、ガチャのコインが虹色に輝いているのである。
「マジか☆5だ!! 食品で出るなよーーっ!!」
確率にして一万分の一。いや、確率的にはむしろ遅いくらいかも知れないけど。いま出るか!?
って言うか何だよ食品の☆5って!? 食ったら終わりのもんで出てどうすんだよブッ壊れ性能!?
「☆5!? ☆5が出たのですか!?」
「え? え?」
俺の叫びにシエラが反応し、よく分かってないアリアがオロオロしている。
…………あーー、まぁ出ちゃった物は仕方がない。せめて良い物が出て来る事を願おう。
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