169回目 俺の部屋
…………ここに、白金板が三枚ある。
サリアナイトとの話し合いがまとまり、三人を雇う事に成功したゲンゴウが今回のお礼として置いていった金である。
俺はサリアナイトに、『俺達の事は気にしなくていい。ゲンゴウの所なら信用できるし、良い話だと思う。決めるのは君達だけど、悔いの無いように考えるといいよ』てな感じに話をしただけで、こんな大金を貰うような事はしていない。
サリアナイトの三人も、冒険者と違って安定した仕事につける上に化粧品も融通してもらえると言うので喜んでいた。
どうやらこの街は離れないといけないらしいのだが、この街に来た時には挨拶に来ると言っていた。この三人はフレンド・チャットも使えると言う事で、待遇も良いらしく、家族も一緒に引っ越すらしい。喜んでいるならなによりだ。
そんなこんなで、必要ないと金の受け取りは拒否したのだが、紹介料だの仲介料だのと名目をつけられて結局は押しきられてしまった。
受け取ってしまったし、あぶく銭だし、もう全部ガチャ回して使ってしまおうと思っている。
「白金板三枚か。…………三億円。ガチャ三千回分だな。うーーん。装備ガチャ・生活ガチャ・書籍ガチャって千回ずついくか? …………いや、そういや食品が少なくなってたな。書籍ガチャと食品ガチャは合わせて白金板一枚にするか。あ、ガチャチケットも使わないと」
…………部屋が無駄に広いと、独り言が寂しく響くな。
俺が今いるのは、俺の屋敷でもっとも大きな私室。そう、俺の部屋だ。
だが、まだ何も無い部屋でもある。ゲンゴウの所にいた時は寮だったし家具は備え付けだった。ベッドだけは生活ガチャの☆3『安眠ベッド』を使っていたのでそれはこの部屋にもあるが、部屋に置く物はガチャアイテムで統一しようとか思って何も買ってないのだ。
俺は今着ている物も全部ガチャ産だから、スキルに仕舞えちゃうんだよな。スキルの倉庫に入れると、どんなに汚れていても新品になって出てくるし、超便利なんだよ、洗濯いらず。
だもんで、クローゼットとかタンスとかも使わないっちゃ使わないんだけど、それだと部屋が恐ろしく殺風景だ。
…………うん。モンテナから依頼の詳細が来るまで何も出来ないし、取り敢えず部屋を作ろうかな。このままだと王都まで行って全部終わって帰って来たら、『ああ、そういやそうだった…………』とかって落ち込むのは目に見えてるし。家に帰って来てガッカリとか最悪だもんな。
と言う訳で、俺はまず生活ガチャを五百回まわした。部屋に使える物は既にあるが、選択肢は多い方がいいからだ。
ご多分にもれず九割超が☆3だ。トイレットペーパーティッシュとか洗剤とかの消耗品はマジで助かるので取って置くが、カラーボックスとかバスマットとか便座カバーとか、これは少し取っとけばいいやって物は即座にガチャ・ポイントにした。中には☆3『鉄骨』なんてのもあったが、どうしろってんだよ。これもポイントである。
そして約一割出てきた☆4だが、その中に幾つか無視出来ない物があった。
☆4 ホームシアターセット
☆4 燻製室
☆4 地下シェルター
☆4 小型クルーザー
☆4 ロードローラー(10t)
☆4 戦闘機
…………ヤバない? ホームシアターセットとか燻製室とかは普通に「良いなこれ」って思ったけど、地下シェルターと小型クルーザーで「お、おう」ってなり、ロードローラー(10t)と戦闘機で無言になったよね。
いや、ロードローラーは出て来るかもな、ぐらいには思ってたけど、戦闘機は流石に予想外だった。あとで人に見られない所で出してみようとは思うけど、絶っっっ対に動かせないって! 何で出て来たんだよこれ、操縦できる訳ないだろ!
まあ、もしこれが『クラッシュレア』で出て来たらと考えるとヤバイけどね。だって『◇キャンピングカー』みたいになるんでしょ? クソヤバイよね。
「…………よし、保留! 一旦忘れよう!!」
俺はヤバイ物の事を頭から追い出して、今は自分の部屋作りに集中する事にした。
安眠ベッドはそのままに、カーペットを敷いて大きなソファーを出して、大型のテレビを置いて、テーブルと椅子のセットとか本棚とかも置いて、クローゼットとかタンスとか…………いらないか?
一応、ティムに作ってもらった貴族が着るような礼服はあるんだけど、今は『◇キャンピングカー』に置いてキャンパーに管理して貰っている。…………俺が持つよりもその方がいい気がするな。
まあでも、クローゼットくらいは一応置いておこう。
と、こんな感じて部屋を作っていった訳だが…………。何だろ、なんか部屋が広すぎでガランとしている。
「ひ、広い部屋の使い方が分からない…………!」
観葉植物とかインテリアとかも、生活ガチャから出ていたので置いてみたが、全然しっくりこない。って言うか、俺はそもそも観葉植物を置くタイプでもない。よくてサボテンである。
その後も四苦八苦するが、どんどん心の迷子になっていき、最終的にはアレスとアレマーに相談に乗って貰いました。
元・貴族だけあって、アレマーはこういう部屋の使い方に慣れており、そのアドバイスに従ってなんとか俺の部屋が完成したのは、もう夜になってからだった。
何て言うか、俺は庶民ってのを痛感したよね。広い部屋落ち着かないもん。
俺は早くこの環境に慣れるのを期待して、とっとと寝る事にした。多分、起きたら「ここは何処だ!?」ってなるんだろうなぁ。
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