167回目 指名依頼
誤字報告をいただきました。本当にありがとうございます。そして申し訳ありませんでした。
無いように気をつけてはいるし、自分でも直してはいるんですが、やっぱりありますね。頑張っていきますので、これからも応援よろしくお願い致します。
アレスと共に冒険者ギルドに着いた俺は、取り敢えずクランを作る為の条件を聞こうと、顔見知りのミミナが座る受付に向かったのだが、まず先にギルドマスターの元へ向かってほしいと言われ、ミミナが呼んだ職員によって応接室へと通された。
そして少し待つと、義足を使う独特な足音を響かせてギルドマスターであるモンテナが現れた。
「やっと来たか。朝来いってチャットを送っただろ? 待ちくたびれたぞ」
「え? いや、そんなに急いでいるなら、そう言ってくれればいいのに」
「お前の近くには誰がいるか解らんからな。お前を緊急で呼び出したら領主様まで一緒に現れたとかになるとシャレにならん」
いや、流石にノルドは無いな。一緒に飲みに行く事はあるかも知れないけどギルドには来ないだろ。
「それで要件なんだが、お前達に指名依頼を出したい。内容は護衛だ。ここと王都の往復分の護衛依頼を受けて貰いたい」
「おおっ、護衛依頼か…………」
何か凄く冒険者っほい依頼内容に俺は思わずワクワクしてしまう。俺はそのワクワクに負けて思わず軽く引き受けそうになったが、それはすんでのところでアレスに止められた。
「ちょっと待って下さい。経験の無い俺達に護衛依頼って本気ですか?」
「確かにお前達には護衛の経験は無いな。しかしそんなの関係ないだろ、コイツがいれば。ちなみに護衛対象は俺とターミナルス辺境伯だ。護衛としてアルグレゴ小隊もついて来る」
「アルグレゴ小隊がいるのに、俺いりますか?」
「お前がいれば、あの快適な『◇キャンピングカー』が使えるだろ。あの『キャンパー』って奴のドローンもあるし、ドゥルク翁まで乗っているんだ。早くて安全で快適な旅を約束されるんだぞ? 使わない手は無いだろ」
おもクソぶっちゃけやがったな。まあ確かに、今さら馬車での移動なんてしたくないしする意味もない。馬車で数日の距離が車なら一日でいいのだ。わざわざ馬車とか使わないよね。馬の世話とか大変だし。
それに『◇キャンピングカー』なら家ごとの移動だ。しかも今は温泉付き。運転も周囲の警戒もキャンパーに任せられるし、これだけ揃えば確かに『◇キャンピングカー』以外の移動は考えられない。
「それに、受付に行ったんだろ? 仕事を探してるならちょうどいいだろ。護衛依頼は実入りがいいぞ? お前の場合は特にな。あんなもん使わせる以上、コチラも金を弾まないといけないからな」
「あぁいや、仕事はしないといけないけど、今回は聞きたい事があったんですよ。ちょっと『クラン』を作りたいので、その条件なんかを…………」
「『クラン』だと? なら尚更ちょうどいいな。冒険者ギルドが定めるクラン設立の条件は、まず設立者のランクが『C』以上である事と、街とギルドの評価が高い事、それと領主の許可かあることだ」
ほうほう。それならランクさえ上げれば大丈夫そうだな。俺が今『D』ランクだから、あとひとつだ。
「知ってるかガモン。Cランクに上がるにはな、護衛依頼の実績が必要なんだぞ? それも複数回だ。今ならそれが、俺達の護衛依頼で一回で済むぞ。お得だろ?」
「…………確かにお得だな」
その、してやったりって顔はムカつくけどな。護衛依頼の間、モンテナだけ外でテントにしてやろうか。
でもだ。複数回こなさないといけない護衛依頼を一回で済ませられるのは確かに良い。普通に護衛依頼を受けたりしたら、『◇キャンピングカー』は使えないからな。あれ、フレンドしか乗れないし。それが今回はフレンドだけの移動になるから、まったく気にしなくていい訳だ。
「わかった、引き受ける。いいよな? アレス」
「そうですね。本当なら護衛依頼は初めてなので不安がある所ですが、ガモン殿の『◇キャンピングカー』が使えるなら、何も不安は無いですね。…………冒険者としてこれでいいのか、とは思いますが」
アレスは真面目だよな。そこが良い所だけど。
「ところで、ギルドマスターと領主が王都に向かうってのは、やっぱり魔王関係の話ですか?」
「そうだ。ようやく資料作りが終わったからな。俺は王都の冒険者ギルドに、ターミナルス辺境伯は王城に報告に向かう。ほぼ確実にそうなるだろうが、ガモン、お前にも顔を出して貰う事になるだろう。両方ともな」
「マジですか。…………いやまぁ、そうなるだろうけど」
「安心しろ、どの貴族が『郷愁の禍津像』を持っているか解らないからな、大勢と会う事にはならない。だが、王都冒険者ギルドのギルマスと、王様には直接会う事にはなるだろうな」
それが一番緊張するやつだろうが! 何を安心すればいいんだよ!
と言う心の声を飲み込んで、俺は依頼を引き受けた。ちなみに依頼の詳細はあとでフレンド・チャットにて通達するそうな。
そしてギルドからの帰り道。そう言えば領主のノルドに見映えの良いガチャ装備を頼まれていたな、と思い出し。ガチャチケット溜まっているから、この機会に全部使ってしまおうかな。などと考えていると、フレンド・チャットに着信があった。
チャットを開くと送り主はゲンゴウで、何やら話があるらしい。これから屋敷を訪ねてもいいかどうかのお伺いだった。
俺はそれに了承の返事を出して、アレスにゲンゴウが来る事を伝えると、少し急いで屋敷へと戻る事にした。
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