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155回目 『魔王』

『…………なるほどのぅ。お主のスキルがメチャクチャなのは解っておったつもりじゃったが、まだ認識が甘かったようじゃの。まさかスキルを掛け合わせて新たなスキルを産み出せるとは、そんなもん聞いた事も無いわい』


「俺もこんな事になるとは思ってませんでしたよ」



 困った時の大魔導師ドゥルク=マインド。


 と言う訳で、俺は寮の庭に『◇キャンピングカー』を出してドゥルクに相談していた。だって一人だとどうしていいか分からないもの。ちなみにシエラにも一緒に来て貰っていた。


 相談の内容は、シンプルに『どうしたらいいか』である。いやだって、『ガチャ・マイスター』で出来る事があとどれ程あるのか知らないけど、これを全力で取り組んでいたら俺が『魔王』って言われてもおかしくないと思うのだ。


 仲間どうしでノーリスク・ノータイムで長距離連絡が取れる『フレンド・チャット』。


 必ずスキルが付いている『ガチャ装備』。


 料理をする事で長い時間バフがつく『ガチャ食材』。


 読むだけで僅かにステータスがアップする『ガチャ書籍』。


 各種スキルを合成して新たなスキルを生み出す『スキル合成』と、クランに加入する事でそれらのスキルを四つまで付けれる『クラン作成』。これについては更に何かありそうでもある。


 そしてその仲間達どころか世界をより便利に導きそうな『生活ガチャ』…………と。


 いやもう俺が『神』じゃん。あらためて見ると何これ、ヤバイじゃん。ああ、さらにガチャ・ポイントもあるな。ポーションやエリクサーを金にあかせて取り放題だ。



『…………フム。どうしたら良いか…………か。まあ、全力で取り組むのが一番なのじゃろうが、それをするとお主を巡って戦争が起きるじゃろうなぁ。魔王以前にそっちで世界が滅びそうじゃな。フォッフォッフォッ!!』


「いや笑い事か。まぁ俺もそんな気がするけど」


『しかしこれは、…………いよいよ『神』が本腰を入れたって事じゃろうなぁ』


「…………? どういう意味です?」


『もちろん『魔王』の話じゃよ。魔王の兆候も出始めておるしのう』



 その兆候とは、俺がもう三度も出くわしている『ダンジョン・コア』の事だそうだ。あんなのがヒョイヒョイ現れてたまるかと。普通なら年に数回しか出て来ないのがダンジョン・コアという物だそうだ。つまり今は異常事態な訳だ。


 …………うん、それはそんな気がしていた。



「魔王、魔王かぁ…………。そう言えば、ドゥルク達が倒した魔王ってどんなヤツだったんだ?」


『ワシらが倒した魔王は、『ヤギ』と『イモリ』と『タヌキ』じゃな。南の海に出た『海ヘビ』は、ゲンゴウの先祖の勇者が他の勇者と協力して倒した筈じゃ。街にその偉業を残した噴水があったじゃろ? それに比べれば、ワシらが倒した三体は魔王としてはそれほどでも無かったかの』


「……………………俺が思ってた『魔王』と違うんだけど。動物の名前しか出て来てないよ?」


『なんじゃ知らなかったのか。『魔王』とは全て獣じゃぞ? どれだけの数がいるのかは把握しきれておらんが、放っておけばその種だけで世界を埋めつくそうとする、知能も魔力もスキルも化物な獣じゃ』



 ……………………えぇっ!? 何それ!?



『…………シエラよ。何も教えておらなんだか? 全体ではないのは予想つくが、お主を派遣した以上、教会もガモンを『勇者』だと認識しておるのだろう?』


「はい。ですが、教会は今回の『勇者』の出現が『魔王』に関わる事なのか判断がついていません。この数百年もの間、我々は『魔王』に対処出来ていますから。その証拠として『勇者』も長い間この世界には呼ばれていませんでした。ですから今回の『勇者』の出現は、魔王関連ではない可能性を捨てきれていないのです」



 そんな風に言うシエラに、そう言えばシエラと最初にあった時、俺がこの世界に来た目的を探るとか言っていたなと思い出した。



『なら当然、あの事も教えておらんのか…………。フム。シエラよ、ガモンには教えるべきじゃ。どうもガモンは、魔王に関する全てに決着をつける為にここにおる気がする』


「…………確かに、これまでの『勇者』と比べてもガモン様は異質ですからね…………」


「うえぇっ!?」



 …………何だろう。何だかとんでもない重荷を背負わされそうな気がする。正直に言えば、聞きたくない。


 でも多分、ここで聞かなくても同じ道を進みそうな気はする。何せ俺には『ストーリークエスト』なんて物があるからな。



『よいかガモンよ。これから話す事は一般には知られておらん事じゃ。貴族の中でも下位の者は知らん可能性が高い。口外すると不安が広がり様々な影響が出ると口止めされておる事じゃ。軽々しく語ってはならない。場合によっては国家反逆罪と同じ罪を問われる場合もある、と覚悟せよ』


「…………そういうのは言わないのが一番だと思うけど。まぁ、聞きますよ」


『ウム。…………実はの、ワシらだけでなく、他の勇者もそうなんじゃが。…………まだ誰も、『魔王』を討伐出来た者はおらんのだ』


「……………………はい?」


『魔王の持つ特性での、魔王は倒せん。どんなに頑張って倒してもチリ一つからでも復活してしまうんじゃよ。だからのぅ、ワシらが出来たのは『魔王を封印する』これだけだったんじゃ』


「魔王を倒してない? 封印してるだけ? え、全部そうなの!?」


「はい。知っている人は知っている事実ですが、広めてはいません。不安を煽るだけですので」



 …………えっと、異世界に現れる『魔王』は、その全てが『封印』されているだけでした。

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[一言] 本腰をいれた結果がガチャとは……現状うまくいってるけど、やべー神では?
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