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150回目 軽めの朝練

 ターミナルス辺境伯に面会する日の早朝。俺はアレスに起こされて早朝訓練をするために外に出ていた。


 空は明るくなり始めているが、いまだ太陽は姿を見せていない早朝だ。取り敢えず走ると聞いたので、俺は生活ガチャから出てきたジャージ姿である。


 ジャージは複数あったので、アレスとアルグレゴにも進めたら二人も気に入ったらしくジャージ姿だ。ちなみに俺は青でアレスは白、アルグレゴは黒を着ている。…………まぁ、色はどうでもいいか。


 俺達はまず、アルグレゴの指導の下でストレッチを行い、それから走る事になった。異世界でもストレッチはあるようだ。広めたのは『勇者』かも知れないが。



「ではまずは走ります。持久力を高めるのが目的なのでスピードはそれほど出す必要はありませんが、背筋だけは伸ばすように気をつけて下さい。では行きましょう。アレス、お前が先頭を走れ。私は後ろにつく」


「はい!」



 コースとしては貴族街を走る事になった。貴族街は丘に作られており、コースを工夫する事で緩やかだが起伏のあるコースになるからだそうだ。


 注意点は、アルグレゴの指定するコースを外れない事だ。これは、貴族街が万が一の敵襲に備えて複雑な道になっており、ここに慣れていない俺達が迷うのを防ぐ為の注意である。



 そして貴族街を走り、どこをどう通ったのかは分からないが再びカラーズカ侯爵家の屋敷へと着いたなら、次は軽い素振りとなった。


 二人は涼しい顔をしているが、俺は既にバテてきている。まだ大丈夫ではあるがターミナルス辺境伯との面会の予定があるのに、こんなに疲れてしまって大丈夫なのかと一応は抗議した。だが…………。



「なに、疲れなど後でポーションでも飲めば大丈夫ですよ」



 と、軽く笑い飛ばされた。いや、そうなのかも知れんけど、そうじゃない。



 しかしアルグレゴに訓練をつけて貰えるように頼んだのは俺であり、一緒に訓練をしているアレスが軽くこなしているのに俺だけギブアップってのはあまりに情けない。


 なのでしっかりと素振りをやるべく、スキルの倉庫から☆3装備『木刀』を取り出した。これは『木刀』のくせに意外と出ない俺的にレア装備である。その証拠に強化は+2に留まっている。


 その内包スキルは『崩し』であり、その効果は『相手の武器を木刀で受ける事により、6割の確率で相手の体勢を崩す。受け方が上手いほど、崩しは大きくなる』である。これも『ひのきの棒』と同じで+4まで強化できれば、確実に相手の体勢を崩せるのかも知れない。だとすれば☆3のチート枠の武器である。



「ではまずは素振りからですね。…………始め!!」


「やあっ!!」



 俺はこの訓練を通して『木刀』の熟練度も上げようと企んでいた。しかし何故か木刀を二十回ほど振った所で、アルグレゴに素振りを止められてしまった。



「…………ん?」


「ガモン殿、ちょっとその木刀を見せて貰ってもいいですか?」


「え? まぁ、どうぞ」



 俺が木刀を渡すと、アルグレゴを木刀を持ったものの、振ろうとして木刀を取り落とした。



「ん? なんだ? なぜ…………」


「あ、そうか! アルグレゴ殿、申し訳ないけど俺とフレンドになってないと、その『木刀』は装備出来ないんですよ」


「…………フム、昨日アレスから聞いたやつか。…………アレス、お前はフレンドだな? なら少し、この木刀を振ってみてくれ」


「わかりました」



 アルグレゴに言われてアレスが木刀を振るう。そして何回か振った後でアルグレゴと目を合わせ、首を横に振った。



「やはりそうか。ガモン殿、木刀はこちらを使って下さい」


「…………なんで?」


「ガモン殿の木刀は普通の物に比べて軽すぎるからですよ。武器としては優秀かも知れませんが、鍛練の道具としては向いていません。あまり軽くて優秀な武器ばかり使っているのも良し悪しです。少しはこういった普通の物にも慣れておいた方が良いでしょう」



 そう言われたので、素直に従って普通の木刀で素振りを始めたが、キツイぞコレ。アレスはなんであんなに振り下ろした木刀がピタッて止まるんだ? 俺はブレブレなのに。



「今日は軽めにするので百回程度にしておきましょう。ゆっくりでも構いませんが、しっかり振り下ろす事を意識して丁寧にやってください」



 素振りを百回。そのくらいなら出来そうだと俺も思っていたが、これが思ったよりもキツかった。素振りをしながら俺が考えていたのは、『絶対あした筋肉痛』という一文だった。


 そして素振りが終わったら最後にまた軽くストレッチをして、今日の鍛練は終わった。…………一日、って言うか朝練だけでめっちゃ疲れたんだけど。



「…………で、最後にポーションか。これはどうなんだろ。筋肉痛になる前にこんなの飲んで大丈夫なのか? これじゃあ筋肉育たないんじゃないの?」


「ええ、普通のポーションだとそうなので、正確にはポーションを薄めて作った特別なドリンクですよ」



 ふうん。スポーツドリンクみたいな物って事か。なるほど。


 しかし軽めの朝練だけでこれって、かなり鈍っているよな、俺。素振りとかは割とやっていたけど、ガチャ装備だと軽すぎて意味なかったとは、盲点だったな。

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