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142回目 ☆3『薄型テレビ』

 モンテナをフレンドに加えた俺は、一先ずその場を去り、寮へと向かった。モンテナにはまだ外せない仕事があるので、ドゥルクと引き合わせるのは明日の午後という事になったのだ。


 ティムの迎えの為に馬車を持って来たバルタがティムとアレスを連れて帰り、俺とシエラはタカーゲ商会の寮へと歩いた。


 そして寮に着いた俺達は何よりも先に風呂に向かって湯船にゆっくりと浸かり、気楽なスウェットに着替えてリビングへと戻って来た。


 生活ガチャから出て来たこのスウェット。色々なカラーバリエーションがあって上下セットで大量に出たからか、この寮の住人はだいたいこれを着こなしている。


 今もリビングに備え付けの簡易キッチンでは、スウェット姿の住人が魔力で動く『電気ケトル』でお湯を沸かし、インスタントコーヒーの準備をしていた。



「ガモンさん、シエラさん、帰って来てたのですね。おかえりなさいませ。よければ、コーヒーはどうですか?」


「あ、はい。お願いします」



 俺はコーヒーを淹れてくれた住人に礼を言ってコーヒーを受け取り、リビングのソファーへと沈み込んだ。



「…………ふぅ。なんか疲れてるけど、寝るにはもったいない時間なんだよな…………」


「では、読書をしますか? 本ならば、いっぱいあるじゃないですか」


「…………まぁ確かにそうなんだけど、本って言うよりもなぁ…………どっちかって言うと、『テレビ』?」


「…………『テレビ』…………ですか? なんですかそれは?」



 まあ知らないよね。いや、テレビ自体は既に生活ガチャから出てはいたのだ。でも、普通に考えて使えないだろ? と言うか、逆に日本の番組とかが普通に見れたら大変だろう。だから出てはいたのだがゲンゴウにも売ってないし検証もしていない。


 しかしだ。見てみろこの周りの光景を。ある者はコーヒー片手にライトノベルを読み、ある者はスウェット姿でカップラーメンをすすり、またある者は缶ビール片手にボードゲームに興じる。


 …………もう手遅れだろこれ。完全に日本の光景だもんこれ。ここに一人用ソファーに沈みながらテレビを見ている奴がいてもまったく違和感がない。ないったらない。


 と言う訳で、俺は壁際の良さげな所にスピーカー付きのテレビ台と、その上に薄型テレビを配置した。



「ガモン様、これは何をする物なのですか?」


「ああ、これは…………」



 テレビの設置が終わったのでシエラの質問に答えようと振り返ると、いつの間にかリビングにいた寮の住人が集まっていた。その手にはペンとメモ帳(どちらもガチャ産)が握られており、俺が説明をするのを待っていた。…………研究熱心なのは良いけど、やりづらいなぁ。



「えっと、これは映像を見る為の機械です。ガチャから出た☆3『デジタルカメラ』や『ハンディカム』を検証した人なら解ると思いますが、ようはあのように撮影した物を見る為の機械です。数を揃えて『放送』という形にすれば、テレビのある家庭で一つの映像を同時に共有する事もできます」



 俺の説明を聞いてザワザワとするリビング。まあ、見れるなら見せたほうが早いな。見れるなら、だけどな。


 俺はテレビとセットのリモコンを使い、テレビの電源を入れてみた。するとテレビに映し出されたのは番組などではなく、『G・TV』という動画配信サービスで、『500ガチャ・ポイントで30日間動画見放題!!』と書かれていた。ちなみに、最初の10日間はお試し期間で無料らしい。


 …………まさか動画配信サービスにつながっているとはな、恐れ入った。


 まぁ取り敢えず。このテレビを設置して点けた時点でサービスが始まり、動画を選んだ瞬間から無料期間がスタートするらしいので、俺は動画のジャンルから映画を選んで一覧を見てみた。


 するとそこに並んでいたのは、元の世界で有名な映画達だった。細かく年代別に選べるらしいが、白黒映画まであるとかどんだけ膨大な数を揃えているんだろう?


 ジャンルはドラマだのアニメだのバラエティだのあったし、二十四時間ずっと見ていても一生見終わらないだろこれ。流石に新しく更新されたりはしないと思うが…………しないよね?


 しかし月額制なのはいいとして、支払いがガチャ・ポイントだと俺しか払えなくね? 年間払いとかもあるのだろうか?


 などと調べてみると、年間払いこそ無かったが『フレンド登録』という物があった。これにフレンドを登録しておくと、俺がいなくてもフレンドが俺のガチャ・ポイントを消費して月額払いに充てられるらしい。


 ……………………フレンド特典的な事だろうか? 俺のフレンドになってると、こんな特典がありますよ的な? まぁ確かに『フレンド・チャット』と『動画見放題』ってそれっぽいよね。


 ただ、500ガチャ・ポイントかぁ。☆3装備五個分。金貨にすると五枚、日本円で五万円。…………人数が集まると、月額でヤバイ金額になりそうなんだけど。本当に金を食うよね、俺のスキル。



「…………えっと、どうやらもう見れるらしい。俺が元いた、こっちから見れば異世界の映像作品だけど、見てみるか?」


「「お願いします!!」」



 と言う訳で。今日は映画を見て終わりそうだ。まあ一番最初という事で、オススメ映画から『氷山にぶつかった豪華客船』の有名すぎる大作を選びましたよ。


 皆が喜んでくれたのはいいんだけど、見逃した奴らを含めての二回目は流石に見る気にならなくて俺は部屋に戻った。…………あれ徹夜する奴が出てくるかもな。ゲンゴウに報告入れて謝っておこう。

面白い。応援したい。など思われましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をお願い致します。


モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ゴジラとか上映したらどうなるのだろう。ラノベや漫画もガチャで出したから、これから文化的侵略もとい娯楽の普及が始まるのでしょうかね。
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