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135回目 幽霊でも大魔導師

 この世界の魔法とは、例えば『治癒魔法』や『火魔法』『土魔法』などと言う名のスキルである。


 魔法は生まれつきの素養として備わっている物もあるが、多くは『魔道書』などを使って後天的にも手に入れる事が出来る。


 ただし、素養の有る無しによって習得した魔法の威力は変わるし、魔道書で覚えられる魔法にも限界や制限がある。


 人によっては、誰でも習得できるとされる『生活魔法』を習得できない者もいる。ただ、そういう人は逆に『極大魔法』という習得できる者が極端に少ない魔法をすんなり覚えたりするのだ。



『これら魔法にまつわる現象の全ては、体に刻まれるスキルの回路に原因があるのだ。人の体にある回路を刻める容量には限りがあり、生まれ持った素養によっては他の回路が刻まれる道を妨害してしまうのじゃな。だが逆に回路の形が一部重なる物もあるため、それによって覚えやすかったり通常以上に高威力を出せたりもするのじゃよ』



 通常、魔道書とはとても貴重な物であり、大きな財産である。高位の魔法の魔道書などは貴族家の家宝の扱いであり、一般的には目にする事もない。目にしたとしても、一度で理解出来るほど優しくもないらしいが。


 だからこそ、多数の魔道回路をその体に刻んでいる者は少ない。ヘタをすれば一生涯において刻んだ魔道回路が『生活魔法』だけ、なんて事もまぁ有る話なのだ。


 だが、それほどに手に入り難い魔道書であっても、その効果は一緒である。『体にスキルの回路を刻む』この一点なのだ。



『逆に言えば、魔道回路の形状さえ解ってしまえば、魔道書は作れるのだ。そしてそこには大きなヒントもある』



 例えば『火魔法』の素養を持っている者は『水魔法』の習得が難しい。初級の物は覚えられるが中級が中々覚えられない。逆に水の中級魔法を覚えてしまうと、素養を持っていた筈の火魔法の中級以上を覚えられなかったりする。


 これは元々もっていた『火魔法』の魔道回路と、魔道書によって新たに刻んだ『水魔法』の魔道回路が互いにぶつかり合った結果である。一度刻んだ魔道回路はよほどの手段を使わない限り消す事も移動させる事も出来ない。


 ドゥルクはそれを、神話級の魔道具やら魔術やらを使って無理やり捻じ曲げ、すでに老体であるにも関わらず『不老不死』になるという常識外れの暴挙に出てまで、自身の体に知り得る全ての魔道回路を刻んでみせた。



『つまり儂は、魔道回路に関して言えば神より詳しい。安心して儂に任せるがよい』


「「よろしくお願いします!!」」



 大魔導師ドゥルク=マインドによる魔法授業。これを受けているのは、シエラ・ブームン・リナ・アナの魔法をメインに戦うメンバーである。


 数十万体のアンデッドを相手にする前に、魔法を使える者達の力を底上げすると、ドゥルクが提案した勉強会である。


 緊急クエストの残りの期限は、一晩休んで残り二日となっている。本当ならば授業どころでは無いのだが、魔法を使えるメンバーの強化は有難いし、俺もガチャを回す時間が必要だった事もあってドゥルクの提案を受けたのだ。


 ちなみに俺がいま回しているのは、倉庫の食料が心許なくなってきていたので『食品ガチャ』だ。


 そして皆に授業をしているドゥルクの前にある机の上には、『まるっとバナナ』や『プリンアラモード』が乗っている。『授業をすると小腹が減るからのぅ』なんて言いながら、ドゥルクが持っていった物だ。まぁ良いんだけどね。その程度の報酬で授業をしてくれるなら安い物である。


 残念な事に装備ガチャの方は、ほとんどダブりだった。弾丸シリーズは手に入ったし、いらない物はガチャ・ポイントに出来るからいいけどさ。


 ただ、☆4の装備で出た『獄炎の書』と『大瀑布の書』は嬉しかった。と言うか三百回まわして、たった二つの大当たりである。



『獄炎の書』

 ・獄炎の二つ名を持つ魔導師が編み出した秘技を纏めた魔術書。これを手にする者は『獄炎』の二つ名に相応しい程、炎の魔法を使いこなす事ができる。


『大瀑布の書』

 ・大瀑布の二つ名を持つ魔導師が編み出した秘技を纏めた魔術書。これを手にする者は『大瀑布』の二つ名に相応しい程、水の魔法を使いこなす事ができる。



 この二つに備わっているスキルは、それぞれ『火魔法』と『水魔法』。どちらも武器扱いの装備であり、試しに装備してみたら頭に呪文と言うか魔法の名前が浮かび、使う事が出来た。あまりに嬉しくてドゥルクの部屋で使ったら、速攻で魔法を打ち消されてドゥルクに怒られた。


 だが、これがあれば俺も魔法が使える訳だ。まぁ、魔法を使うには魔力がいるし、今の俺では大した魔法は使えない。その上で装備する必要まであるので現状では実用的ではないが、ただただ嬉しい。


 だって剣と魔法の異世界に来といて俺だけ魔法使えないとかどんな罰ゲームだ。俺がどれだけ魔法が使える奴とか『魔道書』で魔法が覚えられる奴が羨ましかった事か!!


 この魔術書シリーズは集めよう。種類もそうだが、早く五冊集めて合成して、魔術書無しでも魔法が使えるようになりたいのだ。


 ちなみにこの『魔術書』。実は前にも一冊だけ出ていた。その名も『解毒の書』。『解毒』だから医術書みたいなもんだと思ってスルーしてたけど、実際は『毒』に特化した魔術書でした。装備すれば『毒魔法』が使えたとか、だったら『猛毒の書』とかにしといて貰えれば…………。いや、それはそれで使わないか。なんか怖いもの。

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モチベーションが上がれば、続ける力になります! よろしくお願いします。

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