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132回目 サブクエストの報酬

 幽霊となって現れた英雄ドゥルク=マインドが、サブクエストの報酬を渡すと言うので、俺達は一旦『地下墓所ダンジョン』の外に出る事になった。


 そして再び来た一階層には、またアンデッドがリポップしていたが大した数ではなく、ドゥルクが自身の周囲に浮かべたビー玉くらいの魔力の玉でアッサリと殲滅していた。


 そんな事が出来るならノーバスナイトやサリアナイトも助け出せたんじゃないかと思ったが、それは魔力が足りなかったから無理だったそうだ。俺が出した食事で異様に魔力が高まったので、やっと戦える程度になったらしい。


 まあ、あれはガチャ食材だからな。バフも付くし、魔力が高まったと言うのも納得である。


 …………しかしそれなら、ちゃんと食事をしたこの爺さんがいれば、ダンジョンは楽勝では? と思い声をかけてみたのだが、『行っても良いが、儂もゴーストじゃからの。ダンジョンマスターの能力の強さ次第じゃが操られんとも限らんぞ? 儂まで敵に回ったら辛くないかの?』と言われたので断念した。一気に無理ゲーになっちゃうもの。



「でも、そう言うって事はダンジョンマスターの能力を知ってるんですか?」


『ウム。あれは『リッチ』じゃな。ただし、冒険者の遺骨に宿った怨念が固まって出来たもので、知識も人格も持ち合わせていない『レッサーリッチ』と言った所じゃがな』


「レッサーって事は、本物のリッチに比べてかなり劣っていると?」


『ウム。本物のリッチならば、生前に使えていた魔法に闇魔法や死霊魔法をかけ合わせてとんでもない威力の魔法を使うが、アレにそんな事は不可能じゃな』


「それなら楽勝なんじゃ…………」


『その変わりアンデッドを生み出す事とアンデッドを操る事に特化しておるようじゃ。ダンジョンマスターが今いるのは三階層じゃが、数十万体のアンデッドに埋めつくされとるぞ? 三階層がギチギチで溢れた分が、二階層に出現しておるからのぅ』



 …………数十万? え、いま数十万体のアンデッドって言った? そ、そんなにいるの? 弾丸持たなくない?



『さあ、外じゃぞ』


「外だーーーーっ!!」


「外に出たぞーーーーっ!!」


「リナ! アナ! 外に出たわ!!」


「生きて出られたわ!!」



 地下墓所ダンジョンから外に出た瞬間、ノーバスナイトとサリアナイトの六人が走って行き歓声を上げた。けっこう長いこと閉じ込められていたからな、平静を装ってはいたがギリギリだったんだろう。



「あーあー…………。共同墓地内にはアンデッドが出るって事を忘れてハシャイでますぜ。まぁ、しょうがねぇですがね」


「そうだね。しばらくは好きにさせてあげよう。周囲の警戒は僕達でやればいいさ」



 歓声を上げる六人を見ても、俺は少し呆れるだけだったのだが、ティムとバルタは既に周囲を警戒して何体かのアンデッドを仕留めていた。流石である。俺も見習わないと。


 それから少しして、気がすんだ六人が少し恥ずかしげに帰って来たので、俺達は先に進む事にした。行き先はドゥルクが埋葬されている墓である。


 ドゥルク=マインドの幽霊に連れられてドゥルク=マインドの遺体が埋葬されている石像へとやって来た。


 こう、本人の幽霊と石像を見比べてみると、やはりと言うか少し美化されているな。本人的には、どうなんだろうコレ。



『どうじゃ、よい男ぶりじゃろ。生前に死期を悟った折りに一流の石像職人に造らせたんじゃよ。墓も儂のデザインなんじゃよ? イケてるじゃろ』


「自分で造ってたのかよ」



 何百年も生きた大魔導師は、生きている内に墓を造ってたらしい。いわゆる『終活』か。ずいぶんと派手な終活だが、大魔導師としての威厳とかが必要だったのかも知れないな。何百年も生きる大魔導師が死期を悟った。これだけでかなりの大事だろうからな。



『死期を覚る度に造ってたから、実はこれ三体目なんじゃがな。だんだんと良い出来映えになっていったから、結果オーライと言うやつじゃ』


「死期、悟れてないじゃん」



 大魔導師ドゥルクは、凄い魔導師に見えて結構適当な爺さんである。



『まず裏に回るぞ』


「裏?」



 ドゥルクに案内され石像の裏側に回ると、かなりのデカさがある台座の裏には魔方陣が浮いていた。その奥に扉も見えることから、この魔方陣は扉を封印しているのだと解った。


 実際、それはその通りだったらしく、ドゥルクが何やら呪文を唱えると魔方陣は弾けるように消え去り、扉が開くようになった。



『ここじゃ、ついて参れ』



 ドゥルクの後について扉の中に進むと、そこには地下へと続く階段があった。階段の幅も高さも、大人一人分の広さしか無く、しかも少しカビ臭くて暗い。


 先に進んだドゥルクが途中にある燭台のような物に魔力の玉を乗せていき、その光が照らしてくれる階段を降りていくと、その先には少し広めのスペースがあり、その中心には豪華な装飾がされた柩が安置されていた。


 ドゥルクは自分の柩を当たり前の物としてスルーしたが、俺達は誰ともなく黙祷する。



『…………なにやら目の前でやられると気恥ずかしいのぅ。ホ、ホレ! そんなのいいから報酬を受け取れ!!』



 そう言ってドゥルクが指し示した物は、…………何と言うか、宙に浮かぶ鍵穴だった。なんだコレ?

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