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112回目 新たなフレンドはお嬢様

 俺の迂闊な行動のせいで騒然となったタミナルの街の南門だったが、この街の領主であるターミナルス辺境伯家のご令嬢、金髪縦ロールのザ・お嬢様『リメイア=ターミナルス』が登場したお陰で事なきを得た。


 リメイアの口利きで、『◇キャンピングカー』も普通に中に入れる事になったのは本当にありがたい。


 っていうか、色々あったせいで俺はだいぶ気持ちが浮わついていたらしい。マジで気をつけよう。



「あなたがガモン=センバですわね? 私はリメイア=ターミナルスと言いますわ! ティムの友人なら私の友人も同然です、友人なのですから、気軽にリメイアと呼んで貰って結構ですわ!」



 俺の前に立ち、胸を張ってそう言うリメイアお嬢様。金髪縦ロールの見た目通りの豪快さ。きっと笑う時は左手を腰に置き、右手は口許に持って来て胸を張って「オホホホホッ!」と笑うに違いない(偏見)。



「えっと、助けてくれてありがとうございます。リメイアお嬢様。俺はガモンと言います」


「リメイアと呼び捨てでいいですわよ。お友達なのですから」


「え、いやでも…………」


「良いのです! 『お友達』ですから! 困っている時に助けるのは当然ですわ!! 『お友達』なんですから!!」


「は、はい」



 な、なに? 何なの? グイグイ来る。金髪縦ロールのザ・お嬢様が俺の手を握ってグイグイ迫って来る。しかも何か『お友達』を強調しながら来るんだけど。怖いんだけど。


 このリメイアの行動に俺は視線を彷徨わせ、バッチリ俺と目が合ったティムが、見かねて止めに入ってくれた。



「リメイア、ちょっとリメイア! 落ち着いて! みんな見てるから!!」


「あら、そうでしたわね。では、移動しましょうか。ねえガモン。私達をカラーズカ侯爵家の屋敷まで送ってくださる?」


「え、ええ。それはもちろん。…………あ、でもこの『◇キャンピングカー』には…………」



 この『◇キャンピングカー』には『フレンド』しか乗れない。そう言いかけて、俺は目の前のリメイアがやたらと『お友達』を連呼していた理由に気がついた。


 そういう事か? と思いつつリメイアとティムを見ると、リメイアはニッコリと笑い、ティムは額に手を置いて溜め息をついていた。


 …………うん。なんか嵌められた感があるが、助けて貰ったのは本当だし、ティムが信用を寄せている相手でもある。


 この街で色々と行動するのに助けになってくれそうだし、まだ知り合ったばかりだけど個人的に悪い印象も持ってない。


 …………それにいざとなれば、フレンドは解除も出来る。別に悪くはないか。



「えっと、リメイアさん…………」


「リメイアですわ。呼び捨てで呼んでくださいまし。ティムの事は呼び捨てで呼んでいるのでしょう?」


「…………リメイア。俺のフレンドになってくれるかな?」


「もちろんですわ! 私達はもう『お友達』ですから!」



 と言う訳で、金髪縦ロールのお嬢様がフレンドになりました。目的を達成したお嬢様は、早速ティムの手を取って『フレンド・チャット』について話しているようだ。まあ、良いけどね。


 そして『◇キャンピングカー』にお嬢様を乗せてみると、お嬢様は目をキラキラさせながら「どうしてこんなに広いんですの?」とか「あれは何ですの?」とか大興奮で聞いてくるものだから、俺はサッと『キャンパー』を生け贄に差し出した。


 すると今度はキャンパーを見て、「カワイイですわ!!」と始まった。もうこれはしばらく治まらないな。と、俺は後をティムとシエラにお任せして『◇キャンピングカー』を降りて、ティム達が乗って来たカラーズカ侯爵家の馬車を操るバルタの隣に移動した。



「久し振り、バルタ」


「そう久しくもねぇでしょう。良かったんですかい? 若様達を置いてきて」


「大丈夫だろ。お嬢様の相手はキャンパーがしてくれるし、ティムにはシエラがいる。この馬車が進めば、『◇キャンピングカー』は後をついて来るから、屋敷に向かおうぜ」


「そうですかい。それなら馬車を出しやすが…………。旦那、ちょっと見ねぇ間に強くなりやしたね。道すがら、どんな依頼をこなして来たのか、聞かせてくだせぇ」


「今回の依頼の事なら。…………凄く色々あった」


「でしょうね。楽しみでさぁ」



 バルタが操る馬車に揺られながら、今回の依頼で起きたアレコレを話してバルタをドン引きさせつつ。俺達はティムとお嬢様を無事にカラーズカ侯爵家の屋敷へと送り届けた。



「ティムから、いずれ私の屋敷に挨拶に来てくれると聞いていますわ! その日を楽しみにしていますわ!」


「ガモンの服はそろそろ出来るから、また依頼で街を離れたりする時は連絡してくれ。でも、出来ればターミナルス辺境伯に挨拶に行くまでは避けて欲しいかな」


「解ったよ。二人ともまたな。バルタもな」


「旦那もあまり無茶はしねぇようにお願いしやすぜ」


「…………したくて無茶してる訳じゃないからね?」



 そんなこんなで、俺達は無事にタミナルの街に入り、ティム達も送り届ける事が出来た。次は冒険者ギルドだな。

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