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11回目 ☆3リベンジ

 初めてモンスターを倒し、再び馬車に揺られる中で、俺はスキルの画面を開き、クエストのアイコンをタップした。



「よしよし。やっぱりあったか」



 そこに表示されていたのは、『モンスターを一体倒す』と『モンスターを三体倒す』というクエストだった。もちろん両方ともクリアしてあるので、報酬を受け取った。


 報酬は『ガチャストーン10個』と『☆3以上確定! ガチャチケット』だ。そう、もうお分かりだろう。リベンジの時間である。


 だって無いよ! ひのきの棒二本目は無い! あれを素直に受け止められる人間なんて、いるわけが無いのだ。


 だからリベンジである。もう贅沢は言わない。ただ、ひのきの棒さえ回避してくれるならば何でもいい。


 確かにひのきの棒は二本目を合成した事で強くなったし、スライムではあったが三匹をまとめて相手をしても余裕の強さではあった。熟練度も一気に18まで上がったしな。


 でもやはり! ひのきの棒はひのきの棒なのだ。端的に言って格好良くない。俺だって格好いい武器が欲しい!



「と、言う訳で今からガチャを引きます」


「う、うん。頑張って」



 多少、ひきつり気味の笑顔を向けてくる超絶イケメンにサムズアップで返し、俺は画面のコインを弾いた!


 先程と同じように右側にある銀色のガチャマシーンに吸い込まれるコイン。真ん中にある金のガチャマシーンや、左にある虹色のガチャマシーンに入れば高ランクレアが確定する気もするが、☆3でも格好いい武器が出ればいいのだ!!


 俺の願いを一身に受けて排出される赤いカプセル。いやいや、勝負はこれからだ! さぁ! 出ませい!!



「……………………は? えっ! いや嘘。…………あれ? ☆3、☆3だったよね?」



 画面に表示されるリザルト画面を見て、俺は固まった。


 そこにあったのは…………『ピノン』。日本では中々に有名なアイスで、一箱に六粒のチョコレートでコーティングされたアイスが入っている物である。それが、リザルト画面の画像で見るかぎりでは二個セットで出て来るらしい。


 なんで二個なのか? 知らんよそんなの。☆3だからじゃないの? 知らんけど(やさぐれ)。



「……………………ウゥン…………」



 現実を受け止め切れない俺は、ピノンを出してみた。


 うん。まごうことなきピノンである。俺も何度も見た事のあるパッケージだ。…………うぁあ、…………マジかぁ、マジで☆3でもこういうの出て来るのかぁ。



「えっと? ガモン、それは?」


「…………食い物だよ。食ってみるか? うまいぞ」


「う、うん」



 ピノンの箱を包んでいるビニールを剥がすと、ビニールは溶けるように消えた。このゴミが出ない仕様はとても良いと思う。さすがに異世界に、存在しないであろうビニールゴミは出したくないしな。


 俺はビニールを剥いだピノンをティムに渡し、俺の手にあるピノンのビニールも剥いで箱を開けた。ティムもそれに倣い、箱を開けていた。



「な、なんか凄いね、コレ。こんな入れ物に入った食べ物は見た事ないよ。それに、なんか冷たいし」


「まあアイス…………氷菓子だからな」


「氷? 氷のお菓子なんてあるの?」


「うん。あ、そうだ。バルタ! ちょっと馬車を止めて一緒に食べよう!」



 俺がそう声をかけると、馬車はすぐに止められ、箱馬車の扉を開けてバルタが顔を見せた。



「へへっ、待ってやした。もしかしたら声が掛からないかもとヒヤヒヤしやしたぜ」


「ゴメンゴメン。俺のが六個あるから、これを半分にしようか」


「そうですね」


「えっ? 僕のも六個あるから、ちょうど分けられるよ?」


「若様、あっしらにも立場ってもんがありまさぁ。流石にお貴族様の食膳に手を出す真似は出来やせんぜ」



 と言う訳で、ティムは一箱、俺とバルタは一箱を半分にして食べる事になった。


 俺とティムは付属の串を使い、バルタはやたらと細いナイフを出して使っていた。



「美味しい!!」


「これはうまいですぜ!! それにスゲェ甘い! こりゃあ女性にウケやすぜ!」


「ああ。俺の世界じゃ男女問わずにウケてたよ。でもそうか、この世界にアイスは無いのか」


「うーん、果物を魔法で凍らせた物は夏に食べる事があるけど、こういうのは初めてかな」


「あっしは雹なら食った事がありやすが、これとは全然違いやすね」


「雹を食うんだ。でもあれなら魔法で再現できるだろ?」


「わかってやせんね。それじゃあ、ありがたみってもんがねぇでしょう」


「あぁ、それは何か分かる」



 と、三個ずつ分けあった俺達は早々に食い終わった。そしてふとティムを見ると、ティムは実に嬉しそうに、ピノンを大事に食べていた。


 嬉しそうにピノンを口に入れて、蕩けるような笑顔を見せるティムは、どっからどう見ても可愛い少女で、あんまり見ているとウッカリ好きになってしまいそうなので俺は目を反らした。その様子を見て、バルタが苦笑している。



「うーーん、美味しーーい! それに可愛いよね。見てガモン、これ一個だけハートなの。食べるのがもったいないよ」


「ハート? あれ? そんなのありやしたか?」


「ああ、たまに入ってるレアなやつだ。他に星とかもあったぞ。出ると良い事があるとか。まあ、占い要素だな」



 みんなそうすると思うが、ティムもやはりハートは最後に残して、大事に食べていた。ティムは確か十六才だと言っていた。だが、普段の凛々しい感じだともっと大人っぽい、成人したての超絶イケメン貴族って感じだったのだが、ピノンを食べている時はまるで可愛い少女のようだった。イケメンって何か凄いね。

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[一言] ヒロイン、見っけー
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