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第五話(たちばなかえで)
046
私はあの世から見て知っていた。私の妹もみじが、らくようさんに恋をしていることを。
047
私はもうこの世にはいない。だから私のことは忘れて、もみじと仲良くなってほしい。私は願った。
048
共有夢を見なくなった。神様のいたずらが終わったらしい。
049
らくようさんがらくようさんの友達らしき人と話しているところを見た。こんな会話だった。
050
「らくよう知ってる?」
「何?」
「死んだ人と夢の中で会えるおまじないがあるらしいぜ。」
「……」
「……」
「そのおまじない、詳しく教えて。」
「どうしたんだ急に、なんか怖いぞ。」
051
私は彼氏がいるふりをすることにした。私を忘れてもみじと結ばれることを祈って。
052
彼氏のふりをしてくれる人を探した。案外簡単に見つかった。
053
らくようさんが言った。
「かえでさん、横にいる人は誰?」
私は答えた。
「ああ、この人は私の彼氏。」
「……」
「私のことは忘れて幸せになってね。」