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夢の中の君に恋をした  作者: 万年光一
第一章
1/9

第一話(おおもりらくよう)

どこにでもいる平凡な彼に訪れた運命的な出会いと悲しい現実。

二人の思いが交錯するどこか懐かしい純愛物語がここに始まる。

001

僕はおおもりらくよう、地元の大学に通っている。勉強はそこそこ出来るが彼女はいない。これはそんな僕に起こった不思議な出来事である。

002

僕は布団に入って今日も夢を見る。ここ最近、公園のベンチに座っている女性をよく見かける。これは夢の話だ。

003

僕は次第にその子のことが気になりだした。僕は思いきって声をかけた。

「最近よく見かけるけど、お名前は?」

「私の名前を聞く前に自分の名前を名乗るべきでは?」

「失礼、僕はらくよう。」

「私はかえで。」

004

僕はかえでさんに会うたびに、ぎこちない会話をした。そして次第にかえでさんのことが好きになった。

005

ある日、かえでさんはこんなことを話した。

「共有夢って知ってる?」

「何それ。」

「らくようさんが私と会う夢を見てるように、私もらくようさんと会う夢を見てるということ。」

「なんかロマンチックだね。」

「疑ってる?」

「疑っているわけではないけど。」

「じゃあ実際に会ってみる?」

僕はかえでさんと実際に会う約束をした。

006

僕は約束した日時に約束した場所に行った。そしてかえでさんが来るのを待った。

しかし、かえでさんは現れなかった。

007

やっぱり共有夢じゃなかったんだ。僕は落ち込んだ。

008

その日の夜、テレビをつけるとニュースが流れた。

たちばなかえでさん、21歳、横断歩道で信号無視の乗用車にはねられて死亡。

「たちばなかえでさん、まさか。」

009

僕はテレビ局に電話をした。

しかし、取り合ってくれなかった。

010

その日以来、夢の中でかえでさんと会わなくなった。

011

僕は信じたくなかった。でも知りたかった。僕はネットにこの出来事を投稿した。

すると瞬く間に拡散され、テレビ局が協力してくれることになった。

僕はかえでさんの家族に会うことになった。

012

「お姉ちゃんの日記を見たんです。本当は見てはいけないものかもしれないと思ったけど。最後のページに『らくようさんと明日会う』って書いてありました。」

013

共有夢だったんだ。僕はそのあと、仏壇に手を合わせて家に帰った。

014

その日の夜、夢を見た。

すると、見覚えのある人が木の下に立っていた。

かえでさんだった。

015

「もう会えないんじゃなかったの?」

「これは夢なんだよ。体がなくなっても魂は消えないわ。本当は会いたくなかったの、私のことを忘れてもらうために。でも、らくようさんたら私のこと探そうとするから。」

「忘れるなんてできないよ。僕はかえでさんが大好きだから。」

「私はもうこの世にはいないの。結婚もできなければ家庭を持つこともできない。だから……」

「それでもいい、僕は夢の中で君に会える、それだけでいい。」

016

僕は約束した。もうこの世にはいない夢の中だけの君と。


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