一章3『入れ替え戦ってなんですか?』
入れ替え戦…。なんだそれ?初耳だ。
横を見ると鼬もキョトンとしている。
「あなたたちもしかして聞いてないの?」
「はい、初耳です。」
「入れ替え戦っていうのは、簡単に言えばクラス替えかな?自分と違うクラスの人と対戦して下のクラスが勝てばクラスを交換できるの。だからD組の人も一回勝利するだけで…」
「A組にいけるんですか!」
「そういうことよ」
「基本は下のクラスの人が上のクラスに対戦を申し込む。断ることは禁止されてるわ」
「対戦はどんなルールで?」
「一対一。まぁ妖怪入れたら二対ニだけどね。降参または戦闘不能になったら負け。武器はなし!拳と妖怪だけで闘うの」
それ無理ゲーじゃね?
「最初から辞退することってできるの?」
鼬が口を開く。
「できるけどおすすめはしないわ」
「なんで?」
「二年からはD組がないのは知ってるよね、なぜかわかる?」
まさか…。
「D組はニ年から全員退学になるの」
まじかよ。
「じゃあ、入れ替え戦って何回あるんですか?」
「2回。前期と後期に一回ずつ。期末テストの次の週から第一回の入れ替え戦がはじまるわ」
まったく、鬼畜だ。
「それにしても、2人ともなぜ知らなかったの?実行委員から連絡がクラスに行くはずなのだけれど…」
俺は全てを察した。
「…D組だからですかね」
それを聞いて白さんは気まずそうに頭を下げる。
「暁くん、ほんとごめんね!実行委員長の私の責任だわ」
「謝らないでください。取り憑かれてない俺が悪いんですよ」
「え?」
「驚きますよね。俺、取り憑かれてないんですよ」
そりゃ驚くよな。自分の他に取り憑かれてないやつなんて聞いたことないし。
「お詫びに入れ替え戦の修行、私に手伝わせてくれない?」
「いいんですか?俺なんかに時間使っちゃって」
「いいの。じゃあ明日また会おうね!暁くん。D組にはちゃんと連絡しておくわ」
「ありがとうございました」
入れ替え戦。D組のままでいたら退学。どうしよう?取り憑かれてない俺に勝ち目はあるのか? そのまえになんで俺は取り憑かれていないんだ?
今そんなこと考えている暇はない。期末だってあるんだ。帰ったら勉強しよう。
「鼬、今何時だ?」
鼬は腕時計を見る。
「7時くらい」
「もう7時!?どんだけ寝てんだよ俺!」
早く帰ろう。
「鼬!帰って勉強するぞ!」
「うん!」
その頃、火置とその仲間ははまだ目を覚ましていなかった。
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