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プロローグ『俺は妖怪に取り憑かれていなかった』
この世界では人間と妖怪が共存している。人間は生まれた時に必ず妖怪に取り憑かれ、盟友となり、共に戦い、共に生きる…はずだった。
『暁帆村』は妖怪に取り憑かれていなかった。
俺は妖怪に取り憑かれていない人間など聞いたこともない。インターネットで調べても出てこない。つまり、俺は唯一の取り憑かれていない人間である。
この世界では力がない奴は塵扱い。妖怪がいないとなれば塵以下だ。そのため俺は16年生きてきて何度も虐められたことがある。
頭のいい学校に行けば虐められることはないと思った。中学三の一年間、死ぬ気で勉強して入学した偏差値78の西境高校。有名なエリート校だ。そこでは妖怪の強さによってクラス分けが行われる。もちろん俺は1番下のD組!これは予想ができた。問題なのはここからだ。
D組に人権なんてなかった。
廊下で他の組の奴らと会えば殴られ、校舎の掃除などはすべてD組に任されていた。だか、奴らの強さに抗える奴はD組にはいなかった。
そんなわけで俺は奴らに怯えながらD組の仲間と静かな学校生活を送っていた。
だか、こんな日々も続きはしなかった。