ドリアード救出!?
登場人物
ライル:精霊使い。黒髪の華奢な男性。称号『暴発乱舞』
ユイナ:豹族の獣人。真紅の髪と瞳を持つ女性。称号『紅』
フラウ:アルマジロ系獣人。金髪に緑の瞳の女性。体の一部に鱗。称号『月ノ環』
以上3人のパーティ名:『紅月の舞』
ヒルド:ユイナの同族の戦士長
パキュルー:部落に来る途中の森の中で出会ったドリアード
精霊達
ミル,ミレ:水神竜ミラカナチの娘。上半身が少女で下半身が龍。水の精霊
エンヤ:火竜の尻尾と股下に鱗のある足を持つ火の精霊。兄の方
プーカ:闇の精霊、黒山羊の可愛い姿
ユイナの部落は、池のほとりの森を切り開いて作られていた。そのため背面に池があるため、敵は部落を半円状に囲むような形で展開しているようだった。
ユイナが柵の隙間から相手を窺うと、部落の幅一杯に広がって射かけてきている相手の中で、正面にある門から繋がる道を塞ぐように相手の配置が厚くなり、そこから指示が伝えられているように感じ取れた。
ユイナが相手を窺っている間に、フラウが見張り番達の様子を見ると、右側面の見張り番達の方が幻覚や体のしびれの症状が酷いように感じられた。
ユイナとフラウに一緒に付いて来ていたミルとミレはフラウに「池の中ちょっと見てくるわ~」と言って池に相手が潜んでないか調べてきて、
「池の中には何もいなかったよ~。あと、道の向こうに気持ち悪い気配のが来たから逃げてきたっていう精霊がいたよ~」
と情報を集めてきてくれた。
「どうやらイタチ族の族長は道の奥、ドリアードは右方向の森の中に居る可能性が高そうだにゃ。じゃあどうやってドリアードに近づくかだけど……」
「うーん、水神竜の加護で水の中で呼吸できるようになったから、池を潜って近づくのはどうかな?」
フラウが提案すると、ミルとミレは自分たちが活躍できそうな展開に「それならサポート任せて」と胸を張っていた。
「あっ、それは良さそうにゃ。ミルとミレも一緒に来て貰うとして、エンヤはどうするにゃ?」
「それが、相手から火の気配がするからここに残ろうと思う。もし火で攻撃されたら火をコントロールして被害が出ないようにしとくよ」
「にゃ!?森の住む者にとって争いに火を使うのは禁忌にゃ!!まさか……でも今のイタチ族なら…備えてくれるなら助かるにゃ」
「じゃあ、エンヤはヒルドに付いてて貰うのが良さそうですね。ライルにも池に向かう途中で伝えよっか」
「うん、それでいくにゃ!」
そうして、ユイナとフラウはヒルドとライルに状況と作戦を説明してから、池に向かったのだった。
・・・・・
池の手前でミラカナチから教えて貰った水中呼吸の精霊魔法を発動したユイナとフラウは、ミルとミレと共に静かに池の中に潜り、ドリアードの居ると思われる右側の森の方へ潜行していった。ミルとミレのサポートもあり恐ろしい程のスピードで部落から離れ(ユイナとフラウからは「うにゃっ……!!」「ふぇぇっ……!!」と思わず声が出ていたが、水中深くのため地上に声は漏れなかった)、敵の裏側に回りこむ位置まで進んだあと上陸したユイナ達は、引き続きミルとミレに流水による移動補助魔法をかけて貰い森の中を流れるように素早く音もなく移動していった。(最初慣れてないフラウが顔面を木に強打したのは内緒である)
そうしてユイナとフラウが細心の注意を払いながら急いで相手を探っていると、取り囲んでいる敵の部隊の気配がかろうじて感じられるぐらいの離れた森の中に、担ぎやすいように御輿状になった檻の中に黒い靄に覆われたドリアードが入れられているのを発見した。
周りには担いで来たのであろう4名が少し離れた位置で休憩して座り込んでおり、護衛役の隊長と思われる装備の良い兵士が檻の前面に、隊員と思われる兵士が左右に1名ずつ分かれて配置していた。
(フラウ、気付かれる前に護衛を一気に行くにゃ!ミルとミレは休憩中の奴らを逃がさないように頼むにゃ!)
(分かりました!)
((任せな!))
ユイナとフラウは簡単な打合せとジェスチャーで敵を左右から挟み込むような位置に移動すると、二人同時に一気に突っ込んだ。左右にいた兵士を体勢が整う前にそれぞれ倒すと、檻の前面にいる隊長格に向かって突っ込んだ。
スピードに勝るユイナが先に双剣で打ち込むと、3連撃目で相手の持つ剣を弾き飛ばしていた。
(さすがユイナ、手助け必要ないですね)
そう思いながらフラウが前面に向かうと、隊長格がニヤッと笑い、目の端に動きがあった。
「危ない!(ガキンッ!)くぅっ!」
叫びながらフラウは檻とユイナの間に体を入れ、檻の中から伸びてきたムチのような攻撃を盾で何とか弾いたのだった。
ドリアードからの攻撃を想定していなかったユイナは、フラウに弾かれた攻撃に驚きの表情を浮かべたが、攻撃を防がれたのを見た隊長格が「ちっ!」と舌打ちしながら飛ばされた剣の方に向かうのを見て、瞬時に駆け寄り倒した。そして、
「フラウありがとう!助かったにゃ!」
と振り向くと、フラウがドリアードの猛攻に押し出されるように檻の前から後退った所だった。
「いえっ、間に合って良かったです!……あれっ?」
ユイナに答えながら油断なく盾を構えていたフラウは、まだドリアードのリーチ内であるにも関わらず攻撃の手が止まったことに不思議そうな声を上げた。
怪訝な表情をしたフラウが一歩踏み出すと、即座にドリアードから攻撃が(フラウには効果がなかったが、何か唱えていたようなのでおそらく幻覚系の魔法も)飛んできた。
だが一歩足を引くと攻撃はピタッと止むのだった。
そこにユイナと、休憩して座り込んでいたイタチ族を水球の中に閉じ込め窒息・気絶させたミルとミレがドリアードを窺いながら集まってきた。
何度か試したフラウは、
「う~ん、前面に知らない相手が来たら攻撃するように暗示をかけられているのかな?」
と言って、石をひょいッと檻に向かって投げると、さっき踏み出した地点にきた石はベシッと叩き落されていた。
「そのムチみたいな攻撃って植物のツタっぽいけど、本体ではないのかにゃ?それに樹液かければOKなら楽なんだけどにゃ~」
ユイナはそう言って、懐からドリアードのパキュルーから貰った樹液を取り出すと一歩踏み出し、向かってきた攻撃を華麗にサイドステップで躱すと、樹液をツタのような部分に2,3滴降りかけた。しかし、ドリアードの様子に変化は見られなかった。
「やっぱそう甘くはないにゃ。近づいて本体にかけるしかないにゃ。」
「じゃあまず私が囮になって攻撃を引き付けましょうか。」
そうやってユイナとフラウが話していると
「その樹液、純粋な水じゃないから自由自在とはいかないけど、多少操ることはできるぞ」
とミルとミレも打合せに加わってきた。
「それなら……」
と4人で作戦を考えたのだった。
「じゃあ、行きますよ!」
フラウが掛け声をかけると、一歩踏み出した。
そしてミルの魔力をチャクラム状にした盾に注入して貰って水を纏わせると、伸びてきた攻撃にチャクラムを沿わせるようにして逸らし、さらに水流で巻き込むようにして引き込んだ。
フラウにツタのような武器を引っ張られドリアードの体勢が前のめりに倒れると、ユイナが瞬時に突撃した。
倒れたままユイナを迎撃しようとツタ状のものを伸ばしてくるが、ユイナが流れるように躱して接近し、樹液を入れた容れ物から樹液をドリアードに向けて飛ばした。
ドリアードは倒れた状態から樹液を避けようと身体を回転させるが、ミレが樹液を操作して飛んでいる方向を曲げると、見事にドリアードに樹液がかかったのだった。
樹液がかかるとドリアードは光輝き、ドリアードを覆っていた黒い靄が弾け飛んだ!
「やったにゃーー!!」
「やりましたね!」
「「ふふっ、私達のおかげだな!!」」
成功にユイナ達が歓声を上げると、まだ意識のなさそうなドリアードから魔法が放たれ、黒い靄がそれを吸収しユイナ達の部落の方へ広がりながら飛んでいったのだった!
「うわっ、何にゃ!?靄を解くと発動するようにされてたのかにゃ!?皆大丈夫かにゃ……」
・・・・・
まさにドリアードの魔法と黒い靄が放たれようとしている時、ライル(プーカ)は全員に闇属性の干渉を遮る魔法をかけ終わり、装備の準備を整えたところだった。
「ユイナとフラウは上手くドリアードを探せたかな?」
そう呟きながら、集会場をでると、黒い靄が部落全体に覆いかぶさってきていた!
それを見たプーカが
「あれは闇属性の精神支配の魔法だよ!あと何か混じってる?」
とライルに忠告してきた。
覆いかぶさる靄に対し、ライルも身体を固くして身構えたが、何ともないようだった。
同様に戦士達もポーションとプーカの魔法により影響を受けることなく耐えることができていた。
そう、戦士達は……。
次の瞬間、部落に居た戦士ではない女・子供や老齢な者達は、幻覚を見て、混乱したところを闇の魔法により精神支配を受け、周りの者を襲い始めた!
これにより戦士達は外の敵だけでなく、内の倒すことのできない仲間からも攻撃され、窮地に追い込まれたのだった!!
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