ユイナの部族への援軍準備
更新が遅くなりすみません。
これから前書きで登場人物の紹介をしていこうと思います。
ライル:精霊使い。黒髪の華奢な男性。称号『暴発乱舞』
ユイナ:豹族の獣人。真紅の髪と瞳を持つ女性。称号『紅』
フラウ:アルマジロ系獣人。金髪に緑色の瞳の女性。称号『月ノ環』
以上3人のパーティ名:『紅月の舞』
ポルゴ:タヌキ獣人の男性。美味しい食材を求めライル達に同行する料理人
ヒルド:ユイナの同族の戦士長
アスラ:デントナの街の受付嬢。青色の髪のショートカット
セト :デントナの街の門番、衛兵
セシル:デントナの街の宿屋『白い狐亭』の女将。セトの叔母
マシェリ:セトの妻
マルク:マシェリの弟
マーサ:マシェリの妹
「ギルドは争いには不可侵だけど、イタチ族の様子がおかしいというのなら、とりあえずアスラさんに伝えておこうか。」
「そうだね、街も出るしね。」
受付嬢のアスラに報告すると、親身になって聞いてくれ、
「そうですか。その様なことが……。すみません、冒険者ギルドは紛争に対してどちらかに助力するのは難しく……。ですが異常事態と判明したら直ぐに動けるよう、報告は上げておきますね。」
と言ってくれた。
「ありがとうございます。」
ライル達が感謝すると、
「後は……症状が漠然としているので確かなことは言えませんが、その様な状況ですと、状態を治す光属性の魔法や状態異常の耐性を上げる闇属性の魔法が有効そうですので、その魔法の使い手や各種ポーション、聖水や解毒薬などを準備された方が良さそうですね。」
と焦りから今にも飛び出しそうなユイナを見て、対策や準備の大切さを示唆しながら、アドバイスをしてくれた。
「ふぅ…。なるほどだにゃ。この街でポーションや解毒薬を頼むのに、お勧めの店はあるかにゃ?」
落ち着きを取り戻したユイナが聞くと、
「そうですね、凡庸性の高い一般的なものであれば、ギルドにも在庫があるのでお売りできますよ。専門店の中で扱う種類が多く評判の良いのは、広場に面した店ですね。……ただ、主人は王都の店に居ることが多いので、店員だけだった場合、症状や原因が漠然としているので判断が難しいかもしれませんね……。他には…ギルドにポーションを納めている人で、仕事が丁寧で品質が良く、判断が的確な方として、マシェリという方がおられるのですが、個人なので近場の素材しか扱っておらず、あと直ぐに連絡がつくかどうか…。」
とアスラが意外にも知り合いの名前を挙げてきた。
「えっ!そのマシェリって、最近結婚した人かにゃ?」
「あっそうです!ご存じですか!?その方の亡くなった両親が名の知れた薬剤師だったので、知識もあって頼りになるんですよ!」
「この前のアリゲーターの討伐で助けた兄妹がマシェリさんの弟と妹だったんですよ。あと旦那さんのセトさんとも面識があって。そういえばセトさんが、門の出入りで知り合って、門の近くで魔物から助けた時に仲良くなったって言ってたな〜薬草採取で街の外に行ってたのかな。とりあえず相談してみよう!」
と偶然に驚きつつ、方針が決まった。
ギルドで買えるポーションを一通り購入し、
「ありがとう。助かったにゃ。」
とユイナがアスラに感謝を伝えると、
「いえ、ギルドとして現時点では何もできないのが心苦しいですが、ご無事に戻られることを祈っております。皆様なら大丈夫と思いますが、お気をつけて。」
そう言って、それぞれの手を握って送り出してくれた。
まだ門番をしていたセトさんにマシェリさんの居場所を聞くと、今は『白い狐亭』にいるとのことであった。そこで『白い狐亭』に行き、女将さんのセシルさんとマシェリさん、マシェリの弟と妹のマルクとマーサに簡単に挨拶しつつ、お土産を渡した。
そして、マシェリさんにポーションのことで相談したいと伝えると、
「私で役に立つことがあれば、是非やらせて下さい。」
と快諾してくれたので、状況を説明した。
「まず今お持ちのポーションは、何を用意されていますか?」
「ギルドで売っていた一般的な状態異常を防止するポーションと、解毒薬、回復用のハイポーションだにゃ。エクスポーションはなかったけど、白透草は1つ持ってるにゃ。」
「白透草をお持ちなのですか!?もし私でよろしければ、小一時間頂ければ、ユイナさんのお父さん用にエクスポーションを作れますが、作りましょうか?」
「え、それは凄いにゃ!是非お願いするにゃ!」
部位欠損も治すようなエクスポーションを作れる者は少ないので、王都の薬剤師しか伝手がなく時間のない今回は諦めていたユイナ達は驚き、マシェリに感謝した。
マシェリは役に立てることに嬉しそうにしながら、
「はい、精一杯やらせて頂きます!あとは、状態異常についてですが…もう少し詳しく状況や症状をお聞きしても良いですか?」
と言うと、ユイナと同じ部族のヒルドに目を向けた。
「そうですね……。イタチ族の族長が自在に変化する漆黒の武器を使っていたのを除くと、イタチ族と戦っている時は、体が重く感じました。体が痺れている者もいたようでした。あとは、幻覚も見えましたね。」
戦闘を思い出しながら答えるヒルドの言葉を、マシェリは頷きながら聞くと、
「その変わった武器に触れました?それと症状は族長に近づく程酷かったですか?後は、今は体は大丈夫ですか?痛みや腫れ、かぶれなどはあります?」
と問いかけた。
「族長からは離れていたので触れてないですね。そういえば症状は別の場所、林の近くの方が酷かったかな。体は今は大丈夫ですね。痛みや腫れも特にないですね。」
それを聞いたマシェリは、
「なるほど…そうすると、族長の武器は一旦除外しますか…。外傷や腫れ、後遺症がないということは虫系の魔物や毒ではなさそうですね。複合的なその症状からすると、魔法の重ねがけでなければ、植物系半精霊のドリアードか、アルラウネやマンドラゴラなどの植物系魔物の可能性が高そうですが……」
と答えた。
「にゃ?半精霊のドリアードなら確かに部落の近くに居たけど…温厚な種族だし、お互いに尊重してたから関係は良好だったはずにゃ。ヒルド、何か変わったにゃ?」
「いえ、特に何も変わりはないはずなのですが……我らの部落にドリアードが欲しがるような物もないですし。」
マシェリの話にユイナとヒルドが相談するが、ドリアードだとすると理由が分からなかった。ただ植物系の相手への対策はしておこうと話がまとまった。
「そうですね。できれば強力なドリアードでない方が良いのですが……どちらにしても植物系の相手への対抗薬としては、いくつかベースとなる材料に、霊木かそれこそドリアードの新鮮な樹液を混ぜるのが1番効果的となります。なければその相手と同じ水源の、できるだけ樹齢を重ねた木の樹液でも効果は見込めます。ただベースとなる材料はあるのですが……。私が現地で調合すれば…。」
マシェリが恩に報いるために付いて行こうと考え始めたのを見て、フラウが手を振って止めながら話しかけた。
「マシェリさん、危険過ぎます。あと、その調合は難しいものですか?実は私、薬剤師の心得が少しあるんです。」
それを聞いたマシェリは、
「いえ、調合自体は難しくないです。えっとレシピとしてはこうなるんですけど。」
と言ってフラウに、素材と加工の仕方、調合順序や時間など、一般人にとっては暗号のような式を書いて見せた。
「これなら、何とかなりそうです。任せて下さい!あとは、私のドジが起こらなければ大丈夫。」
と何か過去の失敗を思い出したのか、フラウが少し表情を引きつらせて、不安になる言葉が付け加えられたが、フラウが調合を担当することでいけそうな見通しがついた。
すると、それまで黙って聞いていたポルゴが(挨拶したあとマシェリさんとの相談が始まるまでは、女将のセシルさんと料理談義をしていたが)、
「もし、加熱や加工、混ぜ合わせなどの手作業が不安なら、指示してくれたら、あっしがやろうかも?手先の器用さには自信があるも。」
と緊張気味なフラウに助け舟を出した。それを聞いてフラウが嬉しそうな様子なので、とりあえず樹液なしで試してみることにした。
そこで、マシェリさんの家にフラウとポルゴが一緒に付いて行き、マシェリさんはエクスポーションの作成を、フラウの指示でポルゴが樹液以外のベース素材を使った作成を試行することになった。そして余ったメンバーは、旅と部落での活動および部族に必要な食料や資材などを、買い出しすることになった。
買い出し組が若干早く終わり、『白い狐亭』でマシェリの弟と妹のマルクとマーサに、北の山での冒険のお話などをしていると、マシェリさんとフラウとポルゴが戻ってきた。その三人の顔は晴れやかだった。
「上手く行ったようだにゃ?」
ユイナが聞くと、
「うん、バッチリだよ!」
「問題ないも!」
とフラウとポルゴが答え、
「お二人の作業は太鼓判を押せます。あとこちらがエクスポーションになります。あと、私の家に備蓄してあったハイポーションもいくつか持ってきました。」
とマシェリさんが笑顔で話し、ポーションを渡してくれた。
「ありがとうございます。助かりました。お代は…」
とライルがお金を払おうとすると、
「要りません。」
と微笑みながら断られてしまった。
「いえ、しかし…」
とライルが食い下がろうとすると、
「マルクとマーサを助けて頂いた時に、返せないくらい頂いておりますので。さらに翡翠の宝石も頂いておりますし。それに、エクスポーションの調合の経験もなかなか出来ることではないので、私が貴重な素材を扱わせてくれた事にお礼をしたいくらいなんです。」
とマシェリさんに言われたので、感謝しながらありがたく頂くことにした。
その後女将さんのセシルさん、マシェリさん、マルクとマーサに別れを惜しまれつつ見送られ、宿を後にしたのだった。
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