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王都からデントナの街へ

 晩餐会が終わった後、料理の素晴らしさに感じ入った国王が、

「ポルゴと言ったか、余は大変満足したぞ!技術があるし、発想も面白い。もし良ければ王室の料理番として働いてみないかね?」

とポルゴを勧誘していた。ポルゴは、

「もももっ!!」

とびっくりした後しばらく固まっていたが、

「・・・・・・ありがたい話だも。でもあっしは世界一の料理人になるために、美味しい食材と美味しい料理を求めて修行の旅をしている最中なんだも。そしてまだ旅の成果に満足していないんだも。・・・だから今回は残念だけどお受けできないも。」

と断っていた。


 国王はそれを聞いて少し残念そうな顔をした後、

「そうか、残念であるが、その信念を貫く姿勢は見事である。ただ、余としては急な依頼に対してこれだけ見事な晩餐会をしてくれたことに、賛辞を送るだけというのは気が済まないのでな。料理番へのオファーが駄目となると、何か褒美を与えたいのだが、望みはないかな?」

と穏やかな口調で問いかけた。


 ポルゴが、

「・・・あっしは色々なところを巡って、珍しい食材に触れて料理してみたいと思っているので、何か移動が楽になるものがあると助かるも。」

と答えると、

「ふむ。それならば馬車などはどうであろうか。」

「そうですね、それでしたら調理器具のついた荷車などにカスタマイズできますので、ポルゴ氏が気に入るのであれば妙案かと思います。」

と国王と宰相が提案してきた。


 その提案を受けて、ポルゴは

「ありがとうございます!夢が膨らむも!!」

と感激しながら答えていた。

 その後ポルゴは、ライル達の方を向いて

「・・・あとこれは希望なんだけども、できれば珍しいところに顔を突っ込みそうな『紅月の舞』の皆さんに付いていきたいと思っているも。可能かも?」

と聞いてきた。


「えっと、パーティーに入りたいってこと?」

とライルが確認すると、

「いや、戦う力もないし、足引っ張るだろうから、目的地の最寄りの街とかの邪魔にならない所まで、ただ付いて行くだけだも。あっでもその場所まで荷物運びと食事係をするも。馬車を頂けるなら、多分足手まといにはならないと思うも。どうかも?」

との事だった。


 それを聞いたライル達3人とシズクをはじめとした精霊で少し話し合ったが、特に反対する意見は出なかった。というより、満場一致で賛成であった。

 ライル達は逆に、ポルゴが『紅月の舞』が派手に旅をし続けると勘違いしてないか、精霊との旅を甘く見てないか心配になり、

「僕たちは精霊の事を知っているポルゴが馬車で運んでくれるなら、()()()(隠れ続けるのに我慢できなくなったミリ達3姉妹とエンカが暴発したりするのがなくなったり)助かるし、食事も美味しくなって大賛成なんだけど、僕たちはデントナの街にまず戻るし、次行くとこも決まってないよ。ポルゴはそれで良いの?」

「そうだにゃ。こっちは助かるけど(精霊達に運ばれたり騒ぎに巻き込まれたりしないなら最高だにゃ)、場合によっては、しばらくデントナの街から出ないかもしれないにゃ。」

「私達は嬉しいけど、精霊もいるし(アルマジロ獣人は丸くなるのは得意だけど、ボールのように投げられたのは多分私だけだよね。…今でも時々夢に見るし)、ポルゴさんが期待してるような展開にならず、旅が滞るかもしれないですよ?」

と尋ねると、ポルゴは、

「ももも、その時には一人で行くかもしれないし、状況に応じて考えるも。それに、馬車を頂いても、あっしは護衛を雇わないと守れないので、皆さんが乗ってくれれば、安全に旅ができてあっしも得してるも。なにより、一人で旅してると皆さんのような信頼できる同行者は貴重なんだも。それが少し変わった伝手がある人達なら最高だも!」

と答えたのだった。


 そうしてライル達は、

「そうか、Win-Winの関係なら僕たちも大歓迎だよ。(やったね!)」

「これからもよろしくにゃ。(やったにゃ!)」

「お世話になります。(やった~!)」

「こちらこそ、よろしくも!」

とがっちり握手を交わしたのだった。


 それを見ていたグントール国王が微笑みながら、

「ふむ。話が上手くまとまったみたいなので、適した馬車を授けるとしよう。」

と仰った。


 ポルゴは改めて姿勢を正し、片膝をついた正式な礼をして、

「ありがたき幸せに存じますも。」

と感謝を述べた。

 国王は頷きながら、カッセル宰相に、

「では人数と用途と希望がおおよそ把握できたと思うので、あとは細かい点も抜かりないようにな。・・・食べた分しっかり気を配るように。任せたぞ。」

と一言付け足してニヤリと笑いながら命じたのだった。

 カッセルは国王の言葉に苦笑しながら、

「ハッ、お任せあれ。このカッセル、最高の馬車を用意致します。」

と答え、ポルゴと詳細を確認しながら、早速動き出したのだった。




「・・・・・・すっすごいも!」

「これは立派だにゃー。」

 2日後、馬車が完成したとの連絡があったので見に行くと、カッセル宰相の側に立派な馬車が置かれていた。


「うむ。精霊が多少無茶しても大丈夫なようにしとこうと思ってな、時間がないこともあって、最も頑丈な王族用の馬車が予備にあったので、それをベースに改造したのだ。まぁ装飾は外したし、改造といっても調理用のコンロ,シンク,調理台を取り付けただけであるが。」

 そう言いながら、カッセル宰相が馬車の細部や設備などを説明してくれた。


「えっ!そんな凄い馬車を!良いのかも!?・・・改造もコンロ一つとっても魔道具も直火もいけるように考え抜かれてるも!」

 ポルゴは最初恐縮し、圧倒されていたが、次第に目を輝かせて興味津々で聞き入っていた。


「ふぇぇ~馬も立派です~。」

「うむ。馬も何があっても動じなく、馬力のあるようにと、軍馬の中から2頭選んどいた。だから騎馬にも対応できるぞ。馬の名前はそれぞれ黒い牡馬がバロで、茶色の牝馬がカロだ。」

「良い顔してるにゃ。バロ、カロ、よろしくにゃ~。」

 フラウとユイナが撫でながら声をかけると、2頭の馬は

「「ヴルルルゥ~」」

と期限良さそうに応えていた。


「ここまでして頂けるとは、ありがとうございました!晩餐会、受けて良かったも!」

 ポルゴが感極まった感じで、お礼を述べた。その後、ポルゴが御者席にライル達が荷車に乗り込み、

「じゃあ、出発も〜!」

とポルゴが掛け声をかけ、

「「「お世話になりました〜!お元気で!」」」

「気をつけて、また来いよー!」

と挨拶を交わして、早速デントナに向けて出発したのだった。




 力強いバロとカロに引かれたポルゴの馬車は快適で、精霊達も新しい馬車とポルゴの料理にご機嫌であったため(料理の取り合いで多少騒ぎはあったが)、順調にデントナの街に着くことができた。


 デントナの門ではセトさんが門番をしていたので挨拶をしてお土産を渡した。

「おっ、ありがとう!しかし、凄い馬車だな。ここまでガッシリした造りはなかなか見ないぞ。馬も凄いし。街の厩舎に預けるなら、入って左な。」

「案内ありがとうございます。」

「しかし、ちょっと前にはピカピカの装備をして、ヒョゥ…!じゃなくて、面白おかしく騒いでた新人だったのになぁ。やるねぇ。」

「何を言おうとしたのかにゃ〜?」

何か言おうとして、ユイナの視線に踏みとどまったセトさんが、乾いた笑いをしながら、

「あ、それで思い出したけど、ユイナを訪ねて同じような猫系の獣人が昨日来たぞ。まだ街にいるはず。冒険者ギルドかな?」

と急いで話題を変えつつ、情報を伝えてくれたのだった。


 そこでライル達は、早速冒険者ギルドに顔を出し、受付嬢のアスラの所に向かった。

「アスラ〜、ただいま帰ったにゃー。」

「あっ、ユイナさん、ライルさん、フラウさん!お帰りなさい!」

「えーと、これが頼まれてた素材です。あとコレ、王都ギルドのリルネットさんお勧めのお土産です。」

と満面の笑みで迎えてくれたアスラに、ライルが素材と共に、王都のお洒落なお菓子を渡した。アスラは、

「ありがとうございます!あっこれ話題の…!嬉しいです!」

と喜んでくれたあと、

「あ〜、北の山の冒険や素材の話、あと私を育ててくれた王都ギルドのリル姉の話とか、じっくりしたいのですけど……」

と言いながら、何かガタタッ!と音がしたギルドに併設された食堂の方に目を向けた。


 アスラに釣られるようにそちらに目を向けると、食堂の椅子を蹴倒しながら、

「ユイナ!待っていたぞ!!」

と大声を出してこちらに向かってくる獣人の姿か見えたのだった。


お読み頂きありがとうございます。

最近更新が遅くてすみません。

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