魔術師団拠点への帰還
帰るライル達にヴァルレオスが洞窟の出口までお見送りに来てくれた。
「此度は本当によく来てくれた。また何かあればエンヤ達や契約した精霊を使って連絡をくれれば良いし、ここにいるメンバーであれば何時でも来てくれて構わない。その時には、ヒーハ達を使いに寄越そう。」
「ハイ、ソノトキハ オマカセクダサイ。」
「ミリ、ミル、ミレよ。立派に成長した姿を見れて嬉しかったぞ。水神竜ミラカナチにもよろしくな。」
「「「うん!おっちゃんもお元気で!」」」
「アヴィとやらも精霊使いになったら、里の者と契約しに来ると良い。まぁ既に目星がついてるかもしれんが。」
「えへへ。ありがとうございます。」
そう言うアヴィの傍には、里にいる間に仲良くなった精霊がふわふわと漂っていた。
「あと、これをお土産に持っていくと良い。この里や火口で取れる鉱石だ。あと食材も探していると聞いたのでな、マグマを泳ぐ溶岩魚と火トカゲ(サラマンダー)も持っていくと良い。」
そう言ってヴァルレオスは、希少な鉱石とライル位の大きさの溶岩魚、体長3m位の火トカゲををいくつかライル達に渡していた。
「「「ありがとうございます!」」」
「では、またな。」
「「「はい、ヴァルレオス様もお元気で。お世話になりました!」」」
こうして別れの挨拶を交わして、カイルとミチルがヴァルレオスとの契約を解除した後、ライル達はヒーハ達ハーピーに乗って、北の山の火口から麓の魔術師団の拠点に向けて飛び立ったのだった。
ヒーハ達に拠点の手前まで送ってもらったライル達は、当初の予定よりかなり早く、魔術師団の拠点に帰ってきた。
拠点に不安を与えないためそれなりに離れた位置に降ろしてもらっていたが、拠点ではハーピーの集団の接近に気付いていたらしく、プチパニックになっていた。
魔術師団の総帥である王子の帰還の報を受けた副団長が大急ぎでやってきて、
「総帥!ご無事でしたか!良かったです!
ご存じかもしれませんが、今ハーピーの上位種と思われる個体に率いられた群れが近くに来ております!予定よりかなり早く戻って来られたということは、あの群れに邪魔をされたのでしょうか?現在迎撃準備をしておりますが、作戦がございましたら、ご指示下さい!」
と鬼気迫る表情で問いかけてきた。
「大丈夫だ。彼女たちは仲間だ。」
「えっ!それはどういう!?」
「山の中腹で出会って、仲良くなって、送ってもらったにゃ。だから早かったにゃ。」
「はぁっ!?……えっ、本当ですか?」
「あぁ、騎乗、いやっ、ハーピー乗させてもらった。空を飛ぶというなかなか得難い経験だったぞ。なので戦闘準備を解いてくれれば良い。」
「…そうなのですか。ふぅ…。信じられないような話ですが…良かったです。皆様がおられる山からの襲来で、状況が分からず一時はどうなるかと…。」
そうして、一息ついた副団長が部下に戦闘準備の解除を伝えたあと、
「では、順調に旅の目的を果たされたのですね?」
と話しかけてきた。
「あぁ。全て上手くいった。さらに先のハーピー達とも今後の協力関係を築くことができたし、想定以上の成果があった。」
「それは、素晴らしいですね。」
「うむ。団の運営上重要な事もあるので、副団長には後で説明しよう。それと…シメノ侯爵に無事帰ってきたと連絡を頼む。」
そうして、シメノ侯爵の屋敷に使いを出すと、シメノ侯爵とアヴィの両親、そしてフラウの兄のフルズが直ぐに駆けつけてきた。
アヴィの両親はアヴィの無事な姿を見て、ホッとして腰砕けの状態になり、その後アヴィに抱きついて喜んでいた。シメノ侯爵とフルズも笑顔でその様子を見て、皆の帰りを祝っていた。
シメノ侯爵やフルズに今回の旅の話をした後、滞在中のアヴィの両親の様子を聞いたところ、アヴィの父は漁師として北の森の獲物を数多く獲得し、母は薬草を採取して、シメノ侯爵邸の食事事情と備蓄に大いに貢献したとこ事だった。
そして、その日の晩は旅の成功を祝って、ジャイアントボアやエンペラーディアの肉、そしてヴァルレオスから貰った溶岩魚と火トカゲ(サラマンダー)を使って宴会が行われたのだった。(なお、ポルゴに渡す分は抜かりなく確保しておいた)
ここで焼き肉は各グループでそれぞれ焼いていたのだが、ライル達のグループではミチルがエンカを引き寄せて、
「エンカちゃん、焼き肉の火加減を調整して上手に焼くと、美味しいのが食べれるし、皆には感謝されるし、炎の繊細なコントロールが上達するし、良いこと尽くめよ~。」
と焼き肉の手伝いをさせていた。
「ぐぁっ!焦げた!!………確かに私は大火力で焼き尽くすのは得意だが、繊細なコントロールとか気にしたことないからな。まぁ見ておれ、直ぐに完璧な焼き肉を作ってやろうぞ!」
「そう!その調子~。良いよ~♪」
そうしてやる気を見せて取り組むエンカを、ミチルがサポートしながら温かく見守っていた。
その後、皆が珍しい食材を使った美味しい食事を楽しんで歓談している中、なんとか満足のいく焼き肉を焼き終えたエンカが、ライル達の美味しいとの言葉や感謝を聞いて、気を良くして、一番小さい状態になってテーブルの下に入り込み、食べ始めていた。そして満足感と美味しさに感激して食べ進めると止まらなくなり、先にテーブルの下に入っていたミリ達と張り合うように一気に食べ物を平らげていき、一般兵に存在をばれないように苦慮しているライル達を焦らせていた。
さらに競い合う内にヒートアップした4人が、
「どれだけ食べても大きくならないんだから寄越しなさい。」
とエンカが胸を見ながら言われた一言をきっかけに
「ぐぬーーー!そっちこそそれ以上はぜい肉になるから止めな!」
「あたいは研究肌のミルと違ってしっかり運動してるから大丈夫!」
「あ!?私はしっかり計算してるし、後から苦労するのは勢いだけのミレじゃないの?」
「あ!?」
「まぁまぁ、3人とも……」
「一番最初にたるむのは1番先に生まれたミリだよね。」
「うんうん。」
「何ですって!?私よりあなた達の方が、ほら、弾力が…」
「あんっ!そっちこそ、ほらここが…」
「ふはは、無駄にでかいと大変だな。」
「あうっ!エンカも立派な尻尾が付いてるお尻が垂れやすいんじゃ…」
「ひゃう!」
「そういえば、鱗の足との境目ってどうなってるの?」
「あぁん!やめーい!こうなったら…」
とキャットファイトを始めたため、ライル達に怒られ、食事を取り上げられて4人仲良く正座させられるという場面もあった。
そんなプチ騒動もあったが、終始和やかに宴会が進み、それぞれの友好を深めていった。そしてアヴィ一家はシメノ侯爵から、「このまま屋敷に来て貰っても全然構わない」と言って頂いたが、考えた末に一端村に帰ることにしたので、翌日ライル達と一緒に王都に行くことにしたのだった。
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