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火の精霊との出会いと再会

 ハーピー達に連れられて火口付近に降り立つと、岩陰に2つの気配が現れた。


ヒスイハ(翡翠羽)よ、お主が背に乗せてこの場に連れてくるとは、その者達は何者だ?

 いや待て、それは水神竜の加護か?」


その言葉を聞いたライルが、

「私たちは、ヴァルレオス様に先日の魔族討伐のご助力へのお礼とお見舞いを兼ねて挨拶に訪れた者です。また、水神竜ミラカナチ様からご息女を預かり、連れて来ております。」

と気配に向かって呼びかけるように言った。


それに続いて水神竜の娘たち3姉妹が前に出てきて、ミリが

「ヤッホー。エンヤとエンカでしょ。久しぶり~。出ておいでよ。」

と声をかけると、気配の雰囲気が重苦しい感じから軽やかになったのが感じられた。


「確かに水神竜の娘たちだ。うむ、ミリ達が居るなら疑う余地はないな。…ならばそこの人間、姿を現してやるので、我らに呼びかけよ。」



 そこでライルが精霊召喚の呼びかけを行うと、気配の主が姿を現した。

 それは、火竜のような尻尾と、股から下に鱗のある足を持つ、半人半竜の少年と少女の姿をした火の精霊だった。背中には小さな翼も生えていた。

「我々はヴァルレオス様に仕える火の精霊で、私はエンヤ。これは妹のエンカという。」

「おやかた様の客人でもなければ人前に姿を現すことはないんだから、ありがたく思いなさい。」

 そう言って名乗ってくれたので、ライル達も自己紹介を行った。


 ミリ達3姉妹とエンカ達兄妹は、ミラカナチとヴァルレオスの関係から昔から面識があり、幼馴染みたいなものらしかった。一通り自己紹介が終わるとミリ達が、

「ほら見て~私たちも半人半竜の姿になったんだよ。どうこの姿?」

「エンヤどう似合ってる?」

「ふっふっふっ。エンカには今まで頭だけだったから、随分勝ち誇られてたけど、もう一緒だな。」

と言って人並みの身長まで大きくなって胸を張った。


兄のエンヤは美しくなったミリ達に顔を赤くしてそっぽを向きながら

「おっおう、似合ってるぞ。」

と答えたが、妹のエンカはミリ・ミル・ミレを見て、胸に視線を向けると目を見張り、さらにヒスイハ(翡翠羽)、ユイナ、フラウという妙齢のスタイルの良い面々の胸を素早く順番に見て、かなり焦った表情になった。(ミチルは大きくはないが、普通であった)

「ぐっ、そっそう、良かったわね…。ようやく追いついた訳ね」

そう言って、エンカがあさっての方を見て汗を垂らしながら答えると、その様子を見たミリ達がニヤリと笑って、

「おや~?、エンカはあまり成長していないようだな~。」

と胸をジロジロ見ながら言った。

そう、エンカはかなり小ぶりというか...絶壁だった。


(ボコッ!バコッ!ガンッ!)

「うっさいわね!これからよ!!というかヒスイハ達はともかく、ミリ達はもう少し隠しなさい!

 ったく少しは成長したかと思ったら内面は全然変わってないんだから。成長が全部胸に取られてるんじゃないの!!?」

エンカはニヤニヤしてたミリ・ミル・ミレを殴り飛ばした後で叫ぶと、胸を局所的に覆っていた炎のヴェールを大きくしながら、ぷりぷりしながら歩き出した。そしてしばらく進んだ後、後ろを振り返って、

「ほらっ!お館様の所に案内するから早く付いて来なさい!」

と怒鳴っていた。


「なんかすまんな。…いつもはもう少しちゃんとしてるんだが…。」

と兄のエンヤが、エンカの態度に少し申し訳なさそうにしていた。

「いえ、大丈夫ですよ。ミリ達が調子に乗ったせいですし。」

「...今はあんな事したけど、本来は優しい子なんだ。ちょっと行動が直情径行なだけで...。

 この前の魔族との戦いの時も、ヴァルレオス様が瀕死で戻って来た時に、その場にミリ達が居たと聞いて、どうしても助けに行くと言って、暴れ回って大変だったんだ。岩型の火の精霊が戻ってきてから状況を把握したから、直ぐに折り返して向かっても既に間に合わないような状況だったんだけどね。結局周りに取り押さえられた後、しばらく拘束部屋に入れられてたんだけど。まぁそれぐらいミリ達のことを心配してたし大事に思ってて、仲間のために動ける子なんだ。」

「うん分かるにゃ。さっきミリ達を殴り飛ばす時に、目が優しげで嬉しそうだったにゃ。」

「久しぶりに会って勢いがつき過ぎてるだけですよね。」

「そうなんだ、それに後から魔族を退け無事だったと聞いて、喜びまくって......」

と兄のエンヤがエンカへのフォローと愚痴が混じったような話をユイナ達としゃべってると、

「こら兄貴!いらんこと喋ってるだろ!自分だって喜んで泣いてたくせに!」

とエンカが駆け戻ってきて、エンヤの暴露を阻止しようと、逆にばらしていた。

「なっ、それは...!」

 思わぬ反撃を受け、焦りながらもエンカに対して強硬手段に出れないエンヤ。

 どうやらこの兄妹は、猪突猛進な妹と、それに振り回されながらも妹が大事な、苦労性の兄のようであった。



 色々と打ち解けた後、火口近くの洞窟に入っていきヴァルレオスのいる空間に辿り着くと、前回の戦いの時に一緒に戦った岩をまとった火の精霊も側に控えていた。ヴァルレオスの傷も現界できるくらいには回復したとのことなので、カイルとミチルが召喚を行った。

 現界したヴァルレオスは、カイルとミチルが氷漬け状態から回復して元気にしている姿を見て感激していた。そしてミリ・ミル・ミレの成長した姿を見て我が子のことのように喜んでいた。

「本当にありがとう。お主らには感謝してもしきれない。まさかこの様な素晴らしい状況を迎えられるとは。」

 ヴァルレオスが感慨深げにライル達を歓待し、岩をまとった火の精霊やエンヤとエンカ、ハーピーの代表として付いてきたヒスイハと共に、ここに集ったライル達と話に花を咲かせた。

 カイルとミチルとヴァルレオスの邂逅かいこうの話では、ライルは勿論、この山の者達やシンやガルクが興味深く聞いていた。

 王子とキラの話では、ミチルやアヴィといった女性陣が身を乗り出し、目を輝かせて食いついていた(王子は針のむしろ状態だったが笑)。

 デントナの街から魔術師団の拠点までの話では、水神竜やミリ達との出会いについて、ヴァルレオスとエンヤ、エンカ、ヒスイハといった面々が興味津々で聞いていた。その経路やシメノ侯爵の館での話では、その破天荒さや、事実を知ったガルクの再三にわたるのけぞりが笑いを誘っていた。

 魔族や操られていた宮廷魔導士ゲンダラールとの戦いは、参加した者がそれぞれの視点で語り、大いに盛り上がった。特に岩をまとった火の精霊が離れてから魔族アグロスを討伐するまでの話は、この山の者達には詳しくは伝わっていなかったので、ヴァルレオスをはじめとした面々が興味深く聞いていた。


 話が一段落した後、ヴァルレオスがライル、ユイナ、フラウが水神竜の加護を得ているのを見て、3人が水神竜の里を訪れたことを聞くと、

「そうか、ならば、わしの里にも招待しよう。水神竜の里ほどたいしたことはないので見劣りするだろうが、是非来てくれ。」

と言って、イフリートの里に招待すべく立ち上がったのだった。



お読み頂きありがとうございます。

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