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ハーピーの皇女 現る!

「マテェェエェーーー!!」

叫び声と共に現れたエメラルドグリーンの一際輝く翼を持つハーピーを見て、

「言葉しゃべった!?」

とフラウは驚いて動きを止めていた。

ガルクは、王子やアヴィ達と離れている状況で、上位種と思われる個体と先程の倍の数のハーピーを前にして、

「ちっ...(不味い、王子とアヴィを守りきれるか?)」

と舌打ちしながら、急いで痺れているハーピーに剣を突き付けた。


すると、

「オマエタチ、ナカマカラ テヲヒケバ、ミノガシテヤロウ。シカシ、モシ ナカマヲ テニカケタナラ、ワガ イチゾクガ、カナラズ オマエタチヲコロス!」

とエメラルドグリーンの翼を大きく拡げたハーピーが、威圧感を放ちながら語り掛けてきた。


その言葉を聞いて、ガルクが剣を突きつけたまま、

「今こいつらを逃がした場合、全員で襲い掛かってくる可能性があるのに、担保もなく解放できる訳ないだろう…そちらが手を出さないと信じられるものは?」

と問いかけると、エメラルドグリーンの翼を持つハーピーが

「ワレ『ホムラヤマ(焔山)ヒスイハ(翡翠羽)』ノ ナ ニカケテ チカオウ!」

と胸(かなり立派な)を張って答えてきた。

(オイオイ...それを信じろってか...)

と絶句してしまったガルクに代わり、

「そんな口約束を信じろと言われても。」

とカイルが穏やかな口調で後を継いだ。(カイル達は全員で、ガルクとハーピーの話の間に、ハーピーを刺激しないようにガルクとフラウの方に向かって、少しずつ移動していた。)


「ワガ ホコリヲ、バカニスルノカ!」

「いや、手を出さないという信じれるものが欲しいんだけど...そもそもこちらの言葉をしゃべれるというだけで驚いてるのに、個人名称へのプライドがどれほどか分からないし。」

「グヌヌ!」


そうやって、問答をしていると、しびれていたハーピーが少しずつ動き始めていた。

(不味いな...。)そう思って、ガルクやカイルが少し焦り出すと、

「うにゃあーーーー!」

という声と共に、何かが『ヒスイハ(翡翠羽)』と名乗ったハーピーの方へ勢い良く突っ込んできた。

「ヘッ?」

振り向いたヒスイハと何かがぶつかり、

「「ぬえぇぇえぇぇーーーー!」」

ともつれ合いながら、ヒスイハはライル達の足元に墜落してきたのだった。


 足元に転がって来たのを見ると、やはりぶつかってきたのはユイナだった。

 そして、唖然としていたハーピー達が、一瞬ため息をついたような仕草を見せた後、ヒスイハを助けに来ようとしたので、ライル達が急いでヒスイハの身柄を確保して牽制すると、ハーピー達は動きを止めたのだった。


 ユイナを助け起こしつつ、改めてヒスイハの方を良く見ると、翼だけでなく髪も美しいエメラルドグリーンで、肌は白く細身の身体にかなり立派な胸を持ったスタイルの良い身体をしていた。そして、顔は凛々しく美しかったはずなのだが、 今はお目目をグルグルと回して残念な感じになっていた。


「さて、どうする?」

ガルクが周りに伺うと、ハーピー達の中から、疲れ切った表情の1匹が進み出てきた。

「ヒスイハヲ タスケテ モラエルナラ、ワタシタチハ コウサンシマス。」

そう言ってため息をついた後、

「ヒスイハ...ノウリョクハ タカクテ、カリスマ モアルンダケド、イツモ ナゼカ、ザンネンナカンジニ ナルノヨネ…。」

と呟いていた。


 どうやらハーピー達はヒスイハ(翡翠羽)のことを第一に考え、暴れてヒスイハを危険にさらす気は無いようであった。そこで、とりあえずヒスイハを縄で拘束し、更にユイナ達で即座に対応できる人数分のハーピー(さっき喋った者と強そうな者)を選んで、同じように縄で拘束し、残りは少し離れた場所にひと塊で居てもらった。そうしてライル達の安全を確保した上で、ヒスイハにヒールをかけて、目を覚まさせた。


「ハッ……マタシテモ…グヌヌ。」

ヒスイハは目を覚ました後、自分の状態と、周りで同じ様に捕まってる仲間とその視線を見て、状況を把握したようだった。

 そして固い言葉使いはやめたのか、

「ワタシタチヲ ドウスルツモリ?」

と聞いてきた。


 皆が目配せして王子に確認するように視線を向けた。すると王子は

「ふむ…。邪魔をしないなら何かする必要はない。」

と答えたので、それを受けてシンとガルクを中心に今後の進み方を話し合って

「どうこうするつもりはないが、また襲われないために、君にはそのまま付いてきて貰うしかないかな。」

とヒスイハに答えた。


「ムゥ。ショウガナイナ…アルカナイト イケナイノカ〜…ドコニイクノ?」

「北の山の火口までだな」

「エッ!ソンナトコマデ!?ニンゲンガ ナンノヨウデ!?…ハ!ワタシタチヲ ヘロヘロニシテ、カコウニ ステルタメ!?」


「違うにゃ。イフリートのヴァルレオスさんに会うためだにゃ。ヒーハのためにそんな手間かけないにゃ。」

「エ、イフリートッ!?ッテイウカ、ヒーハッテナニ!?」

「え、ヒスイハって言いにくいにゃ。ヒーハで良いにゃ?」

「…『ヒスイ』ハソノママ ツカッテヨ……イエ、ソンナコトヨリ、イフリートッテホント!?デモ、タシカニ ナマエ アッテルシ…」

「僕達精霊と触れ合えるのでヴァルレオスさんにも縁があって。今も周りに精霊が沢山いるでしょ。」


すると、水神竜の3姉妹や光精霊のキラをはじめとした精霊が、もう隠れてなくて良いのか?とばかりににぎやかに現れた。

「ウワッ!?エッモシカシテ、コノマエ、ヴァルレオスサマガ タスケラレタト オッシャラレタ ヒトタチ!?」

「うーん、助けたかは微妙だけど、一緒に戦ったよ。」

それを聞いたヒスイハ達は絶句した後、

「マジカ……スイマセンデシター!」

と言うと、縄で翼を縛られた状態のまま、頭を地面に擦り付けるように、ひれ伏したのだった。


「ヒーハちゃん、どうしたの?」

「イエ、ヴァルレオスサマノ オキャクサマニ、テヲ アゲタ トアッテハ、コノヤマヲ オイダサレルカモ……」

そう言って震えだしたヒスイハは、

「ナンデモスルカラ、タスケテ!」

と芋虫のようにすり寄って来ながら懇願したのだった。



 結局、話し合った結果、ヒスイハ達に山の火口まで空を飛んで運んでもらう事になった。そして、それだけでは気が済まないから何かないか?としつこく聞かれたので、ハーピー達の羽根をそれぞれから2,3枚貰い、無精卵の卵もいくつか貰うことになった。特に上位種のヒスイハの羽根は貴重なものであった。

 

「うわ〜!高い!気持ちいい!」

「ヒーハちゃん、いつもこうやって飛んでるんだ良いなぁ!」

「ヨビカタ、ヒーハニキマッタノネ…。」

「嫌かな?」

「…イエ、ムシロ、トモダチッポクテ イイカンジデス!

 トコロデ、ドウシテユイナハ、サッキソラカラフッテキタノ?」

「あーそれは、空にいるハーピーさん達に届くように、水神竜の娘のミルに、水流のジェット噴射で空に飛ばされたにゃ。

 その後何とか制御できるようになって戻ってきたら、ミルがあの場面を見て『突撃だー!』とヒーハ目がけて勝手にフル加速したにゃ…」

「ナルホド…ソッチモタイヘンダッタノネ」

 ヒスイハは、ユイナの肩の上であさっての方を向いて口笛を吹いているミルを見て、苦笑しつつ、結果的に上手く収まったことに安堵していた。

 こうした話をしつつ、友好的になったハーピー達に送られて、ライル達は一気に火口まで辿り着いたのだった。


 ちなみに、ハーピーの背に乗ってしがみつく時に、鼻の下を伸ばしたカイルは、気づいたミチルにボコボコにされたのだった(笑)


お読み頂きありがとうございます。

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