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水神竜の精霊の里

「まずは、水の中で呼吸できるようにしてやろう。」

そう言うと、ミラカナチからふわりと放たれた光が、ライル達に吸い込まれていった。

「では、娘たちに乗って付いて参れ。」

そう言うと、水神竜ミラカナチは、川の本流深くに潜って行った。

 ライル、ユイナ、フラウはそれぞれ、ミリ、ミル、ミレの下半身の竜の部分に乗せてもらい、上半身の腰の部分にしがみつくような形をとらせてもらった。そしてカマチがライルに、シズクがユイナにしがみついた後、ミラカナチの後ろに付いて潜って行った。


 水の中に潜る瞬間、ライル達は思わず息を止めたが、恐る恐るという感じで呼吸をすると、空気中と変わりなく呼吸することができた。落ち着きを取り戻して周りを見渡すと、様々な川の生き物がミラカナチに敬意を表し、道を開けて、大人は目礼するように、子供はキラキラした目を向けて、たたずんでいるのが見えた。

 その中をミラカナチはグングン潜っていくと、川底近くの側面の岩肌に近づいて行った。そして手をかざすと、岩がうっすらとぼやけ、ミラカナチがそこに突っ込むと、岩を貫通して向こう側に消えていった。続いてライル達を乗せた3姉妹も岩に突っ込むと、岩を貫通して通り過ぎ、奥に続いていた洞窟に抜けたのだった。


 水が満たされた洞窟を今度は上へ上へと上がっていくと、大きな地下空洞にある湖に辿り着いた。湖面から顔を出すと、天井には多数の水晶が鍾乳石のように突出しており、光の精霊の光を受けて虹色に輝いていた。湖は半径が100mぐらいあり、底は中央ではかなり深くなっているが、底の色が白くて水が非常に澄んでいるため、湖の色は湖岸から中央に向けて、白色から青色の非常に綺麗な吸い込まれるようなグラデーションとなっていた。湖の周りには湖と同じくらいの広さの平地があり、色鮮やかな花が咲いていた。

 そして、湖には水の精霊、平地・壁・天井には土の精霊、空中には光の精霊と風の精霊、壁と天井の境目などには闇の精霊の楽しそうな気配が感じられた。特に水の精霊が数多く感じられた。


 ミラカナチが現れたことに気付くと、精霊たちは更に楽しそうに動き回り、その後ろに3姉妹に連れられたライル達を見ると、興味深そうに寄ってきた。そして、目が回るくらいのハイテンションでライル達の周りを飛び回った。

「こら、お前たち。歓迎は良いが、ほどほどにな。さて、ここがわらわの精霊の里だ。この里に精霊以外の者が入ったのは初めてだからな。精霊たちが騒ぐのも多少は勘弁してやってくれ。」

「すごい!これが精霊の里、何かふんわりと心地いいですね。精霊さんたちでちょっと視界が落ち着かないですけど(笑)。でも悪気が無いのは分かるので大丈夫です。」

「うん、すごいにゃ。綺麗だにゃー。これだけの精霊さんたちが、こんな近くで激しく動いてるのも初めての経験にゃ。精霊さんたちよろしくにゃ。」

「温かく包まれているみたいな感じがしますね。よろしくお願いします~。」


そうして佇んでいると、光の精霊の集団が近づいてくるのが分かった。それを見たミラカナチが、

「近づいてきたのは、今ちょうど里にいた、魔族との戦いに駆けつけた者たちの一部だな。話をしたければ、呼びかけると良いぞ。」

と言った。そこでライルが

「僕はライル、力を貸して。」

と呼びかけると、光の精霊だけでなく、たくさんの精霊が待ってましたとばかりに現界した。精霊たちが楽しそうに現界した喜びを爆発させている中、

「こんにちは、この前はありがとうございました。」

と、一際輝く天使のような女性型の光の精霊が話しかけてきた。

「あ、この前魔族との戦いで、魔族にとどめを刺してくれた方ですよね。」

「はい私はシャーリと言います。あの時現界させて頂いたおかげで、役目を果たせました。」

「いえいえ、こちらこそご助力ありがとうございました。」

「あの投槍ジャベリン凄かったにゃ~。」

「そういえば魔族討伐の勲章をもらったのですが、このデザインってシャーリさんがモデルっぽいですよ。」

「うわっホントだ、恥ずかし!っていうか良いとこだけ持ってってすいません。」

「どれどれ!?あ~いいな、くそ~、ランクが上がるほどの私たちの活躍も凄かったんだからな!」

「へ~俺たちも行きたかったなぁ」

と3姉妹やその他の精霊も交えて、この前の戦いや旅の話でしばらく盛り上がっていた。


 思い出話が一息ついたところで、ミラカナチが湖のほとりにある大きな丸い瑠璃色るりいろの石のところにライル達を呼んだ。そして瑠璃色の石を指さし、

「あれが、妾の里の要石かなめいしだ。ライル、ユイナ、フラウはあれに触れると良い。さすれば、お主たちが妾とのきずなを持つ者だということが、これから会う精霊たちに伝わるであろう。効果としては、妾の里の精霊たちとのつながりが良くなり、力も引き出しやすくなるだろう。その武器にも娘たちの力をより多く乗せれるようになるぞ。旅に連れて行く時に、娘たちがより力になれるであろう。あとは妾の多少の加護が得られるかの。…カマチは別に属しているから何もしてやれんくてすまんの。まぁ楽しんでいってくれ。シズクはどうでも良いが、場所が分かれば便利じゃろ。」

と言った。カマチが、

「いえいえ、他の里に入るなんて滅多にできないし、色んな精霊との交流も楽しいので、満足です。」

と答え、シズクはもうちょっとだな…とかブツブツ言う中、ライル達は目を白黒させて驚いていた。

「僕たちみたいなのが、そこまでして貰ってホントに良いのですか?」

「うむ。遠慮するでない。」

「ありがとうございます。ちなみにミラカナチ様の加護ってどんな効果があるのでしょう?」

「そうさな、水への親和性が上がるので、水属性の魔法の威力向上や、水属性に対する耐性が向上するの。あとは…水神竜の感覚が多少備わるので、泳ぎが上手くなるだろうし、先程かけてやった水中呼吸の精霊魔法が使えるようにしてやろうかの。」

「えっ!水中呼吸の魔法ってそんな簡単に!?魔術学院でも聞いたことなかったのですが。」

「元素魔法では水と風など色々組み合わせる必要があるので難しいだろうが、妾の感覚があれば、コツさえ掴めば行えるのでな。」

「すごいにゃ。魔法の才能の全くない、私でもできるのかにゃ?」

「あぁ、大丈夫だ。魔力が少ないと持続時間は短くなるがな。ユイナやフラウだと1~2時間ぐらいもつのではないかの。それ以上必要であればライルにかけてもらえば良い。ライルなら1日ぐらいもつだろうしな。まぁ考えるより試してみるのが早いの。いきなりの話で判断がつかんかもしれんが、問題がなければ石に触れると良い。」


ライル、ユイナ、フラウの3人が顔を見合わせ、「問題ないよね」とうなづいていると、

「うむ。デメリットは何もないと思うぞ。泉の妖精の我も保証しよう。」

とシズクにも太鼓判を押されたので、

「では、お願いします。」

と言って、大きな丸い瑠璃色の要石に順番に触れていった。すると、要石から青色の光がライル達の体を包み込むように流れていった。


「うむ。うまくいったようだの。では、水中呼吸の伝授をしてやろう。まずは一旦妾がかけた技を解除するぞ。それでは…」

と、ミラカナチが3人にコツを教えていった。そして少し練習した結果、ユイナ、フラウは直ぐにできるようになった。しかし、ライルは

「あれ~!?また失敗…。」

と5回に1回ぐらいしか成功しなかった。

「ふはは、ライルはホントに制御が上手くないんだな。ここまでとは妾も驚きだ。まぁでも気にすることはない。時間がある時は成功するまで試せば良いし、緊急を要する時はユイナやフラウに頼めば良いだろう。長時間潜る場面ではライルの魔力量が必要になるしの。状況に応じてお互いに助け合っていけば上手くいくであろう。」

「はい。」


「では、他は良いかの?」

とミラカナチが確認すると、

「あの~すいません。私泳ぎの練習しても良いですか?実は今まで泳いだ経験がなくて。」

とフラウがおずおずと言ってきた。それを耳ざとく聞いていた3姉妹が、

「では、私たちが教えてあげる~。」

と身を乗り出してきた。

「ふむ。お前たち、人にちゃんと教えられるのか?」

「母上、泳ぎの感覚なら大丈夫です。任せて。」

「と言っているがどうする?妾はユイナが良さそうな気がするが。」

とミラカナチがフラウに聞くと

「いえ折角ですし、ミリさん、ミルさん、ミレさんにお任せします。よろしくお願いします。」

と答えていた。


それを受けて3姉妹は嬉々として教え始めた。

「じゃあまずは、っとその前に、鎧付けたまま泳ぐのはハードル高いから、それ脱いどこっか。」

「はい。」

「ついでに服も濡れちゃうから脱いじゃえ。」

「ふえぇぇっ!ライルさんもいるしダメです!」

「ふむふむ、大丈夫、私たちみたいに水のヴェールを着けとくから。ほら、これでどう?しかし私たちと変わらぬぐらいスタイル良いね。」

「あ、これなら大丈夫です。スタイルはそんなことないです~。」

「じゃあ、始めるぞー!」

「はい~。」

と泳ぎの練習を始めた。最初はライルたちも心持ち不安だったが、さすが水神竜の娘だけあって、3姉妹は水の扱いや泳ぎは一級品であり、フラウの運動神経の良さや、ユイナや周りの水の精霊たちも付き添っていることもあって、直ぐに泳げるようになった。そして泳げるようになってしまえば、水神竜の加護の力もあるので、一流スイマーの様なスピードも出せるようになった。


「うわー楽しい!ミリさん、ミルさん、ミレさん、皆さん、ありがとうございました。」

フラウが3姉妹や皆に感謝を述べて練習が終わり、皆がにこやかに解散する中、3姉妹は、

「うんうん。私のコーチのおかげね。」

「ふむふむ、私の的確な指示のおかげだね。」

「このスピードの出し方は私譲りだよな。」

「…え?」「…ん?」「…お?」

となぜかヒートアップして水泳の競争が始まっていた。

「ほらーライルさん、こんなに泳げるようになりましたよ~」

とフラウが満足して、湖岸で水魔法の威力の変化を確認しながら待っていたライルの方へ上がって来ようとした時、後ろでは競争が激化して3姉妹がもつれるように絡みながら、要石の方へ暴走して行った。このままでは要石にぶつかると皆が感じた瞬間、それを見たミラカナチが

「お前ら、いい加減にしろー!!」

と3人まとめて水の魔法で打ち上げた。

あとには、気を失った3姉妹がぷかーっと浮かんでいた。なお気絶したので、魔力を使って胸を覆っていた水のヴェールは無くなっていた。

「えっ?」

「ふぇ?」

当然、フラウの水のヴェールもなくなっており…

「きゃーーー!!!」

湖岸に出かけていたフラウは急いで水に飛び込むのだった。

お読み頂きありがとうございます。

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今後とも、よろしくお願いします。

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