新たな始動!
まだ幕間のような感じですが、
とりあえずここから第3部という事で。
これからも、よろしくお願いします。
「お久しぶりです。アスラさん。」
「あ、戻ってきたんですね!おかえりなさい!」
そう言って、微笑むアスラ。ライル達はデントナの街に戻り、冒険者ギルドを訪れていた。
周りでは「おいっ、あれって」とか「あいつらだよな」とざわついていた。
「注目を集めてますので、ちょっと上に行きましょうか。」
そう言ってアスラはライル達を上の個室に連れて行ってくれた。
「最後にお別れした時に、魔術師団に上手く対応できなくて、心配していたんですけど、国からの発表を聞いてびっくりしました。何か凄いことに巻き込まれてたんですね。」
個室に入ってライル達に革張りのゆったりとした椅子をすすめ、お茶を出した後、アスラが申し訳ありませんでしたという気持ちを込めながら言った。
「いえいえ、この結果に繋がったのは、アスラさんがあの時、機転を利かして逃がしてくれたおかげです。その後は成り行きで。」
「そうにゃ。あそこで捕まってたら終わってたにゃ。ホントに助かったにゃ〜。あ、これお礼のお土産にゃ。」
「そう言って頂けると、少しは役に立てたようで嬉しいです。...これは!王都で有名なお店のお菓子じゃないですか!ありがとうございます!人気で直ぐ売り切れるとかで手に入らなくて、1度食べてみたかったんです。」
そう言って満面の笑みでお土産に頰ずりした後、我に返り、そそくさと鞄にしまうアスラ。
「あ、私としたことが、テンションが上がり過ぎてしまいました。それで、こちらの方が…」
「はい。はじめまして。フラウと言います。ユイナさん、ライルさんのパーティーメンバーになりました。よろしくお願いします。」
「はい、私はこの冒険者ギルドの受付をやっているアスラと言います。今後ともよろしくお願いします。えっと、パーティー名は『紅月の舞』でしたっけ?」
「そうにゃ。そして私は正式に『紅』のユイナにゃ~。」
そう言って、尻尾がぶんぶん揺れて嬉しさが隠し切れないユイナ。
「そうでした。おめでとうございます。そして『月ノ環』のフラウさんに、『暴発乱舞』(笑)のライルさんでしたっけ。」
「そうです。ひどいと思いません!?」
「ふふっ、確かに。でも3人合わせたパーティー名は凄く良いですよ。」
「それと同じことを、国王にも笑いをこらえながら言われたよ...」
「周りで聞いてた王子や宰相、ガルクまでこらえきれずに吹いてたにゃ~。」
あの堅物に見えた魔術師団団長のガルクが吹き出す光景を想像して、思わず笑ってしまうアスラ。
「ふー。あ、失礼しました。そういえば皆さん装備が凄く良くなってますね。」
笑いが収まり目尻の涙をぬぐいながらアスラが話題を変えた。
「もー!笑われるの慣れましたけど...そうなんです。僕は魔術師団の最新の魔道具と、急速充電の魔道具を頂きまして。」
「それなら普段は暴発を気にせずに、魔術師らしい戦い方ができそうですか?」
「うん。威力に上限はあるけど、中級ぐらいの威力は出せるし、火水風土の4種を扱えるから。普通だと中級を1発撃つ度にクリスタルを交換しないといけないんだけど、3発ぐらい連続で撃てるクリスタルも合わせて貰ったし。」
「それが通じないときは、回復に徹してもらうとか、素の魔法が暴発しないことに賭けるとか奥の手があるから良いにゃ~。」
「うーん。まぁそうだね、足引っ張らないように頑張るよ。」
「私はレッドドラゴンの防具を頂いたにゃ。髪の色と合ってて気に入ってるにゃ。」
「えっそれレッドドラゴンなんですか?凄い!初めて見ました。ちょっと触っても良いですか?ありがとうございます...あれっこれって、身体を覆ってる所は少ないけど、薄ーくマジックシールド発動してません?」
「うん。覆ってないとこも、なまくらなら通さないにゃ。」
「うゎー...。軽そうだし似合ってるし、凄い!良いですね。」
「私は恐れ多くも月華大蛇の防具を頂きました。状態異常に対して強い耐性が付くらしいです。」
「フラウさんはその両腕のガントレット?いや、盾?も変わってますよね。」
「そうなんです。私はアルマジロ獣人なので、元々硬い鱗に覆われた肘、膝、甲や脛を利用した打撃技が得意だったんですが、それを見たシン宮廷魔導士が拳闘用のガントレットと蹴脚用の具足に改造してくれたんです。でこのガントレットに付いている円盤状の盾ですが、こんな風に魔力を通すと、手の方にスライドして、刃が出てきてチャクラムとして使えるんです。」
「これは凄いですね・・・!刃も魔力で輝いて、『月ノ環』の称号通りで。投げることもできるんですか?」
「はい。投げれるし、魔力で戻って来るんですが...私ドジなので、変なとこに投げて迷惑をかけないように、通常は盾や、手に持って斬るのをメインに使おうと思ってます。」(刃やガントレットに魔法の属性が乗ることや、足のつま先に大蛇の毒牙が仕込まれてることは言わない方が良いですよね)
「へー、そんなドジそうには見えないですけど...そうなんですか?」
「うん。」
「間違いないにゃ。」
「ふぇぇ~。即答は自覚してても刺さるんですけど...。反論できないので気を付けます...。」
「フラウはそれも含めて親しみやすいフラウなので、そのままで良いにゃ。」
「うん。ちょっとしたドジくらいサポートできるし。」
「ありがとうございます...でも、できるだけ気を付けます...。」
「ふふっ。仲良さそうですしパーティーとしてバランスも良くなって、ギルドとしてもこの先期待が持てますね。でもこれだけの装備を貰ったとなると、実は公表されている以上の何かがありません?」
「アスラ、やっぱりそう思うかにゃ?実は、ギルド職員としての知識も踏まえた率直な感想も聞きたかったのにゃ。…それ聞いた感じだと何かと面倒そうなので、装備の詳細は秘密にしといて欲しいにゃ。」
「分かりました。国家機密もあるでしょうし、私個人やギルドとしても混乱や争いは望んでないので、秘密厳守は任せて下さい。また相談したいことや伝えても良いことがあれば、言って下さいね。とりあえずライルさんは魔術師団の最新の魔道具のみ、ユイナさんはサラマンダーの防具、フラウさんはラミアの防具をシン宮廷魔導士が改造ということにすれば、無理はないかと思います。シン宮廷魔導士の改造が少し凄いですが、シメノ侯爵から門出を祝う餞別として依頼されたとすれば、問題ないと思います。」
「助かるにゃ。さすがアスラにゃ。」
「いえいえ。お役に立てて何よりです。良いお土産も頂きましたし。ところで、この街の依頼を受ける余裕はありますか?」
「うん。今は特に予定はないから、しばらくこの街で依頼を受けようと思っているけど。」
「それでしたら、Cランクの皆様にお願いしたい依頼がありまして。」
「どんな依頼にゃ?」
「実はつい最近、川が一瞬真っ黒になったことがあったのですが、」
「・・・(あの時にゃ)」
「その時に深い本流から浅い支流に迷い込んだのか、街の近くの川に、巨大なアリゲーターが現れたのです。人にはまだ被害が出てないのですが、家畜の牛が何頭かやられたみたいで、討伐依頼が出てまして。Dランクのパーティーが討伐に向かったのですが、全然敵わなくて、命からがら逃げ帰ってきたそうです。それでCランクに依頼が格上げされたのですが、タイミングが悪く、今Cランク以上は他の依頼で街に居ないんですよ。できれば人的被害が出る前に何とかしたいのですが。」
「うーん、どうする?(あの時のせいみたいだけど)」
「アスラが困ってるならやっても良いかにゃ。アリゲーターなら戦えない相手じゃないし(ミラカナチやミリ、ミル、ミレには世話になったし、挨拶にも行きたいにゃ)」
「じゃあとりあえず受ける方向で考えたいと思いますので、依頼書を見せて貰って良いですか。」
「ホントですか!助かります。受けてもらえるなら、報酬をはずむように上と交渉しますよ!」
こうして報酬を上乗せして貰ったライル達は、『紅月の舞』として初のCランク討伐に向かうのだった。
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