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初報酬!

 街の門に帰ってくると、行く時と同じ衛兵が、まだ門番の任務についていた。

「帰ってきました〜。はいギルドカードです。」

「おかえり。上手く行ったかい?」

「はい。おかげさまで。」

ライル達がお礼を言ってギルドカードを受け取ろうとすると、衛兵さんが、

「良かった。冒険者として確かな一歩だね。これからも着実にな。…応援してるヒョウ〜。」

と、ノリよくさっきの語尾でいじってきた。

「ぐぬぬ!殴って良いかにゃ!?」

ユイナが拳をにぎって唸ると、

「ごめん、ごめん、冗談だ。さっき微笑ましかったから、つい。本当に応援してるから。」

と笑いながら手を振って謝っていた。


「むぅ。それなら罪滅ぼしに泊まる場所紹介してくれにゃ。」

「うん?宿決まってないのかい?」

「昨日この街に来たところにゃ。テントを使える場所ならそれでも良いにゃ。」

「あっ、僕も寮を出ないといけないので、教えて貰って良いですか?」

ユイナとライルが衛兵さんに宿泊先を聞くと、

「そうだなぁ。テントならこの道を真っ直ぐ行った広場の一部が、冒険者に開放されているから使えるよ。衛兵が管理してるし、見回りもするからそこそこ安心かな。

 宿だと俺の親戚の店で良ければ、その広場の前の道を右に曲がると、『白い狐亭』という宿があるよ。ちょっと古いけど、値段も安めで、料理も美味しいと思う。俺の名前のセトの紹介って言えば、少しはサービスしてくれるかも。」

とテントが使える広場と良さそうな宿をお得な情報と共に教えてくれた。

「ありがとうございます。参考にさせてもらいます。」

「助かったにゃ。ありがとにゃ〜。」

「あぁ、またなー。」

ライルとユイナは衛兵のセトさんに挨拶をして、門をくぐり街へ入っていった。



「さてまずはギルドに報告かな。」

「うん。そうするにゃ。」

と2人は宿を決める前に、冒険者ギルドに常設依頼達成の報酬を貰いに行くことにした。


ギルドに入ると、受付カウンターにアスラさんがいたので、アスラさんの列に並んで順番を待った。


「あ、ライルさん、ユイナさん、おかえりなさい」

受付嬢のアスラはライルとユイナに気付くと笑顔で迎えてくれた。

「アスラさん、常設依頼のゴブリンを倒してきたので、納品お願いします。」

とライルがゴブリンの討伐証明部位を取り出すと、

「お!やりましたね。初依頼達成、おめでとうございます!!」

と言って、アスラは満面の笑みで手を叩いて祝ってくれた。その心遣いに2人も

「ありがとうございます!」「ありがとにゃ~」

と返し、依頼達成を実感し笑顔になっていた。


ゴブリンの討伐証明部位を確認したアスラが、

「おっ、3匹分ですね。1匹3銀貨ですので、9銀貨となります。」

と報酬を渡してくれた。

それを見て

「9銀貨、ちょっと宿に泊まるのは厳しそうにゃ~」

と尻尾とケモミミをへにゃっとしながらつぶやくユイナに対し、ちょっと可哀想な気がしたライルが

「1人分なら大丈夫だよ。今日はユイナが1人で倒したから、全部持ってったら良いよ。僕はまだ寮を使えるし。」

と譲ろうとしたが、

「それはダメにゃ!パーティーは平等に分けるにゃ。それに怪我なく倒せたのは、ライルが索敵して注意を引いてくれたからにゃ。」

とこれは大事なことと、ユイナは頑として受け入れなかったので、

「分かったよ。じゃあ4銀貨ずつで。残りは共同にしよっか。」

と平等に分けることになった。


報酬の分け方が決まると、ユイナが

「それより、ライルも近接用の武器がいるにゃ。守りやすさが全然違うにゃ。」

とライルに戦闘してみて気になってることを伝えた。ライルもそれは感じていたので近接用の武器を持つ自分を思い描いてみたが、

「うーん。でも何ができるのか…アスラさんお勧めってあります?」

といまいちピンとこなかったので、アドバイスを求め受付嬢のアスラに聞いてみた。すると、

「扱い易さなら短剣や、メイスや棍棒などの打撃武器、両手が塞がっても良いなら棍や槍でしょうか。牽制と手数を増やすという意味でなら弓もありますが。」

とアスラは様々な冒険者を見聞きした経験を元に、可能性がありそうなのを挙げてくれた。

「弓は嫌な予感がするからやめてくれにゃ。」

それを聞いてライルが弓を後ろから撃ってくる姿を想像し、表情が引きつるユイナだった。

「不器用さには自信があるから分かってるよ…棍棒拾っておけば良かったかな…」

と思わずつぶやくライルに、

「ゴブリンのですか?あれは粗悪品だからあまりお勧めしませんよ。」

とアスラは渋い顔で答えていた。

「ですよね〜。少し考えてみます。ありがとうございました。」


お礼を言って、出て行こうとするライル達に、アスラは

「いえいえ、またいらして下さい。

 あっそうだ、報酬を効率よく稼ぐなら、討伐のついでに薬草とかを採取するのも良いですよ。判別するのに慣れが必要ですが。」

と報酬を増やすためのアドバイスもしてくれた。するとユイナが

「それなら私が判るから任せるにゃ。またよろしくにゃ〜。」

と薬草の知識があるらしく胸をドンと叩き、(ライルは意外だと感じて少しびっくりしていたが)2人はアスラに手を振って、ギルドを後にしたのだった。


お読み頂きありがとうございます。

ご感想やご意見を書いて頂けると嬉しいです。

メンタル激弱なのでお手柔らかにお願いします。

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