表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/100

なすべきこと

 少し前、王城では、フェントール王子の復活の様子に拍手喝采が起こっていた。

 そして、炎の巨人とゲンダラールという障害を乗り越えて、これを成しえた者への称賛の声も上がっていた。

 シン教授とシメノ伯爵もそれぞれ、ライル,ユイナとフラウの活躍と目的達成に、我が子のことの様に嬉しい気持ちであったが、同時に炎の巨人とゲンダラールの問題が片付いていないにも関わらず、貴族の間に少し緩んだ空気が広がっていることに危機感を覚えていた。

 それは、国王や宰相、将軍達も同じだったようで、革新派の者が失点を取り返そうと「これからできるだけひそやかに処理をして、民に混乱を生じさせないことが重要です。」と、既に終わったかのように述べるに至ると、国王や将軍がにらみ、カッセル宰相が

「まだ終わっていない!」

と一喝した。

そして、

「王子が元に戻ったのであれば、あの若き英雄達にこれ以上無理をさせる必要はない。彼等を失わないために、先に向かわせた精鋭の斥候に彼等を確保させろ!その後、速度を重視し、騎馬隊で突撃する。騎馬隊の指揮はドゥガート将軍任せたぞ。」

と、進軍を提案していた武闘派の将軍を指揮官に任命した。


 将軍が先行する斥候兵に持たせている双方向の音声伝魔道具を用いて、確保救出の指示を出し、火耐性の装備を準備させていると、現地の映像を映す魔道具からは、王子が重い足取りをおして装備を整え、仲間を助けようと屋敷を出る様子が送られてきていた。

 王城にいる面々が、早く斥候が到着し、王子を危険な場所から救ってくれと思っていると、映像を映す魔道具は王子を離れ、戦闘中の場所を映しながら、戦場に近づいていった。

 これは、魔道具を持つカマチが少し先行して偵察しながら移動していたからだった。それ故、ライル(&ミリとミル)が『アクアストリーム』を放ったのを遠目に見て取れ、その後カマチが急いでユイナ達の方へ向かったので、王城にいる面々は、ユイナがゲンダラールへ突貫した後、移り変わる状況を大まかに把握できたのだった。

 そして、近づいたことで、氷漬けの中に何があるのかよく見えた。更にゲンダラールがそれを使って炎の巨人を操っていたこと、離されるとファイアボールを放ち壊そうとし、炎の巨人がそれを阻止したことも分かった。


 シン教授は、氷漬けの中を見て、震える声で

「カイルとミチル!こんな事になっているなんて…!」

と呟いていた。

 それを聞きつけた国王が、

「あの氷漬け状態の者を知っているのか?」

と聞くと、

「はい私の古くからの友人で…数年前に魔術師団から依頼された仕事先で事故があり、2人は亡くなったと聞いておりました。あの2人には子供がおり、仕事に危険性を感じて、あらかじめ私に託していたのですが、その子供が今戦っている少年です。」

と伝えたのだった。



・・・・・

 氷漬けの2つの人型の破壊を命じられた魔術師団の団員達は、攻撃対象が人に見えることや、その扱い方、そしてゲンダラールの様子に不穏なものを感じ、攻撃をためらっていた。

「ゲンダラール様、破壊と申されましたが、あの氷漬けは人ではないのですか?」

「大丈夫だ、あれは既に魂が抜けておる。人形だと思えば良い。」

「はっ、それならば…」

魔術師団の団員はに落ちないながらも、命令に従い、徐々に包囲を形成していった。



 魔術師団の団員が攻撃を躊躇ちゅうちょしている間に、ライルは氷漬けの両親の前にたどり着いていた。そして、

[ヴァルレオスさん、ゲンダラールからの魔力供給がなくなったら、魔力きついでしょうから、僕の召喚に応じて下さい。]

[かたじけない。カイルとミチルに負担かける訳にもいかなかったので、助かった。]

と、ライルはヴァルレオスと契約を交わした。

 そのままライルは、氷漬けの両親を挟んでヴァルレオスの反対側で盾を構えようとしたが、

[ライルよ、カイルとミチルはワシに任せて、ユイナの方の助太刀に行ってくれ。あちらの方が厳しい。両親を放ってはいけないのは重々承知だが、こちらはワシが何があっても守る。なに、巨体を利用して覆いかぶさるようにすれば、攻撃は通さぬよ。]

[それでは、ヴァルレオスさんは攻撃を受け続けることになってしまいます!]

[フフッ。ワシを誰だと思っている。大丈夫だ。]

と短い問答の末、ヴァルレオスから慈愛に満ちた目を向けられてさとされると、少しためらった後

[よろしくお願いします。]

と頭を下げて、ユイナの方へ向かった。



 魔術師団の団員が今まさに、攻撃しようとした時、

 倒れこむような感じで何とかたどり着いた王子が、

「フェントール王子が命ずる!攻撃止めろ!」

と叫ぶ声が、辺りに響き渡った!

 突然の王子の登場と命令に、団員達は混乱し、攻撃に躊躇していたこともあり、動きを止めた。


 王子の声を聞いた魔術師団団長ガルクは、その王子の周りに光の精霊キラとフラウが居ることや、今までの状況、氷漬けの人と炎の巨人を巡るゲンダラールの行動や言動、さらに前回の王子の言葉から、自分がすべきことを理解した。そして、

「御免!」

と言うと、魔力を練り上げ始めていたゲンダラールに向けて、ドスッ!と拳を鳩尾みぞおちにめり込ませて息を詰まらせた。そして続けて手刀を首筋に打ち込み意識を刈り取って、ゲンダラールを制圧したのだった。

お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ