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初狩り!?

 ライルとユイナが街の門に到着し、外に出る手続きのために門番をしている衛兵にギルドカードを提示すると、

「そのピカピカの装備だと、初狩りかい?最初は1,2匹の少ない相手を探して、有利な条件で戦いなよ。危なかったら逃げるのも大事だぞ」

と衛兵が確認したカードを返しながらアドバイスをしてくれた。ライルが

「ありがとうございます。この近くで常設依頼の魔物が出るお勧めの場所はありますか?」

とお礼を言いながら尋ねると、衛兵は少し考え、

「そうだな。この街道を少し進むと右に林が見えてくるから、その近くをウロウロしているゴブリンが狙い目かな。ウルフより逃げ易いし。」

と教えてくれた。

「なるほど。じゃあそこに行ってみます。」

「ありがとにゃ~」

そうして、2人は親切な衛兵にお礼を言って門をくぐったのだった。


門を抜けた後、早速ユイナが「よ~し!」と駆け出しそうな雰囲気で意気揚々と出発しようとしたが、ライルが「あ、ユイナ!ちょっと待って。」と呼び止めた。

そして、

「そういえばユイナ、さっき言い忘れてたけど、僕、気配察知の魔法だけは、魔力量が多いからか得意なので、任せて。やり易い相手探すから。」

とライルはユイナに提案した。それを聞いたユイナが

「そうか、私も豹族の獣人だから気配には敏感だけど、任せるにゃ」

と了解して答えると、

「えっ!」

となぜかライルが固まっていた。

「どうしたにゃ?」

「豹族だったんだ、てっきり猫族かと。」

「猫じゃないにゃ!誉れ高い豹族にゃ!あんなのと一緒にするなにゃ!」

「でも、「にゃ」って言ってるし…」

「むー!そんなの関係にゃい、ヒョウ!」

「プッ、何その語尾。」

「うるさいヒョウ。早く行くヒョウ。」

「プッハハハッ!無理〜!腹筋が〜!」

「む〜!」

2人で騒いでいると、先程の親切な衛兵も聞こえていたらしく、衛兵の肩も震えていたのだった。


「じゃあ行ってきます。」

震える衛兵さんと目が合い、再度挨拶をして出発しようとすると

「ぶふっ。…あ〜気をつけて。暗くなる前に切り上げなよ」

と込み上げてくる笑いに耐え切れてない顔で送り出してくれた。

「はい」

「むー笑い過ぎだにゃ。ライル覚えておけよ」

こうして、まだちょっと顔の赤いユイナと一緒にライルは街道に沿って歩きだしたのだった。


しばらく進むと、右手に林が見えてきていた。ライルはそろそろ気配察知の魔法に適した距離かなと思い、立ち止まると

「ユイナ、そろそろ気配察知の魔法を使ってみるね。少し時間かかるけど」

とユイナに呼びかけた。

「了解にゃ」

ユイナが頷いて立ち止まると、ライルが魔法に集中し始めた。(見たことあるのは探しやすいけど、ゴブリンはないから…え~と、50cm以下は無視して広く探す感じに設定して…)

 そして、目標の設定が完了すると

『サーチ!』

とライルが呪文を唱えた。

するとライルは自分から放たれた魔力を通して、それらしい気配を3つ感じ取ることができた。そこでユイナに

「うん。あの辺の林の少し奥に120cmくらいのが3匹いるよ。近くには他にいないね。」

と告げると、

「へ〜私にはまだ感じられない距離だから凄いにゃ。じゃあ気付かれないように迂回して近づくにゃ。」

とユイナは感心して、迂回する方向を指し示し、2人は行動を開始した。


2人で近づいて行くと、ライルの言った通りの場所に3匹が固まって居るのが見えた。それを確認したユイナとライルは一旦頭を引っ込めて、林の影に隠れて打合せを始めた。

「3匹結構固まっていたにゃ。どうする(小声)」

「遠くから一撃で仕留められないし、1匹おびき出したいね。(小声)」

「こちらに小動物っぽい音出そうかにゃ?(小声)」

「じゃあ少し遅れて向こうの木の葉を揺らすように魔法で風を起こして、あちらにも注意を向けさせるね。ちょっと待ってね。…いいよ。(小声)」


 簡単な作戦が決まり、それに向けたライルの風の魔法の準備も整ったので、まずはユイナが少し離れた場所に石を投げて、カサカサッと音を出すと、ゴブリンが気づき、1番近くにいたやつがこちらに近づいてきた。

 作戦通りに1匹と残りが別れたので、あちらに残った2匹の気を引こうと、ライルが(よし、今だ。声出さないと失敗しやすいけど…『ウィンド!』)と無音で魔法を発動した。すると、

ドビューー!!ガササササッ!!!


 といきなり突風が木を大きく揺らし、ゴブリンは皆ビクッとして、向こうの木を見上げたのだった。

 ユイナもちょっとポカンとしたが、直ぐに飛び出し、斜め後ろを見上げる形の一匹目の喉をジャッと切り裂き、2匹目の背中に体ごとぶつかる様にドスっと深く短剣を突き刺した。

 ここで襲撃に気づいた3匹目が慌てて振り向き、棍棒を振り上げてくるが、ユイナは2匹目の背中を蹴って、短剣を抜くと同時に3匹目に勢い良くドカッとぶつけた。3匹目は体勢を崩し2匹目に乗りかかられ、身動きがままならないまま、ユイナに喉を切り裂かれた。


 3匹の討伐を慎重に確認してから、一息ついたユイナが、

「ライル、あんな大きな風だと思ってなくてびっくりしたにゃ。向こうに2匹を向かわせて分断するんだと思ってたにゃ。」

と言うと、

「ごめん。ユイナ。その予定だったんだけど、ちょっと暴走して……」

と魔法を放った本人が焦った顔で答えていた。

「やっぱり…。まぁ結果オーライにゃ!」

とユイナは言い(これからは暴走にも心構えしておくにゃ!と心に誓いながら)ライルの肩をバンバンと叩いて

「パーティーの初討伐にゃー!」

と歓喜の声を上げたのだった。


その後、

「ゴブリンの討伐証明部位は左耳だったよね。あとは…棍棒は使えなさそうだし置いていくかな。」

「突風で何か来るかもしれないから、移動するにゃ。一旦帰るにゃ?」

「うん。そうしよっか。」

と常設依頼のための証明部位を取って、初戦闘を終えた2人は街への帰路についたのだった。



お読み頂きありがとうございます。

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