ピンチ!逃亡?
登場人物
ライル:精霊使い。黒髪の華奢な男性
ユイナ:豹族の獣人。真紅の髪をなびかせ同色の瞳を持つ女性
シン :魔術学院の教授でライルの師
ゲンダラール:宮廷魔導士
精霊達
シズク:泉の妖精。分身なので力は0
ドモグ:土の精霊、モグラが2足歩行しているような姿
ミル,ミレ:水の精霊、水神竜ミラカナチの娘。蛇の身体に女の子の頭と両手がある
魔法が炸裂した瞬間、宮廷魔導士のゲンダラールは、(何だ?…威力が弱まっている?)と、自分の魔法の衝撃と爆風が小さくなっていると感じていた。
違和感を感じながら、吹き飛んでゴロゴロと転がるライルとユイナを見て、追撃をしようとしたが、連続で飛んでくる岩に「チッ」
と舌打ちして、岩の撃ち落としを優先した。そして
「副団長!あそこに転がっている者を捕らえてこい!あと投石機もな!」
と命じた。
ライルとユイナは吹き飛ばされて、ドモグ達がいる岩の方向に転がってきていた。シン教授にもらった盾が魔法を多少吸収してくれたので、重傷にはなっていなかった。
岩の陰に隠れていた泉の妖精のシズクが、隠れながら状況を確認すると、門の方から10人程度の魔術師団が出てくるのが見えた。
シズクが、ライルとユイナに、
「あと3mこちらに来れるか!?」
と呼びかけると、2人は何とか体を動かして後退し、ライルが自分とユイナに『ヒール』と回復魔法をかけた。
その様子を見て大丈夫だろうと判断したシズクが、
「ポイントは分かるか?」
と聞くと、ユイナが頷いたので、
「ジリジリと後退して、あの出てきた奴らを誘い込んでくれ」
と言った後、近くにいる土の精霊(絶賛投石中のドモグを除く)と水の精霊のミル、ミレを振り返り、
「さぁ出番だぞ!」
と声をかけた。すると、
「腕が鳴るわい」
「フフッ、どんな感じになるかな?楽しみー」
「あたいに任せな!」
と頼りになる?返事が聞こえたのだった。
副団長はゲンダラールに命じられた後、即座に門の近くにいた20名のうち8名を連れて、ユイナ達の捕縛に出撃した。(相手はやり手だし、岩陰に1人2人居るかもしれないが、俺がユイナ側について複数で囲めば問題ないだろう)と考え、相手が体勢を建て直す前に捕らえようと、急いでユイナの方に向かった。
ユイナ達が射程に入ると、副団長は魔道具で牽制しながら近づき、団員に半円で囲むように指示を出した。
魔道具の牽制をユイナは躱し、ライルは盾で防ぎながら、ジリジリと後退していたが、ついに足を止めた。
そこで副団長は一斉に打ちかかるよう団員に合図をした。そこで、団員達が息を合わせて(セイッ!)と踏み込むと、打ち込む寸前に足元の地面が急になくなり、
「うわっ!」
と団員全員が3,4m下に落ちていった。
副団長も地面がなくなる範囲にいたが、とっさに手に持っていた魔道具を斜め下に向けて発射すると、反動で多少浮き上がり、拠点側(ユイナ達とは反対側)の落とし穴の縁に剣を突き刺してとどまることができた。
そのまま何とか登ろうとすると、目の前に、蛇の身体に女の子の頭と両手が付いているような姿をした者が、2人現れ、
「お前やるな~。」「フフッ。でも残念☆」
と言葉を発したかと思うと、剣を刺していた縁が泥のようになり、為す術もなく落とされた。
副団長を含め全員が底につくと、今度は底が泥沼のようになり、身動きが取れなくなってしまうのだった。
ユイナとライル、それにミル、ミレと土の精霊が、作戦成功にニンマリしつつ、そのまま岩陰に撤退する一方、ゲンダラールは、副団長達が落ちて行ったのを訝しい目で見ていた。(あれだけ大規模な落とし穴を、拠点の目の前に気付かれずにどうやって設置したんだ?土の魔法か?しかしそんな大規模な魔法を使っているようには見えなかった。あと、副団長が落ちる時何か居たような…。これは切り札の存在を末端の団員達に知られても、出し惜しみしている時ではないな。)と考え、
「お前ら守りを固めておけ!」
と言い置いて、建物に戻っていった。
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