拠点の動きと副団長
登場人物
ガルク:魔術師団団長
ゲンダラール:宮廷魔導士
魔術師団の拠点の防御と捜索の人員配置を任されている副団長は、堅実で現実的な男だった。
拠点の東にある森で捜索している者を見つけたとの報告を聞いた時は、そこに居た事に驚き、見つけた団長の洞察力に舌を巻いたが、相手が2人組で1人が手傷を負ったと聞いて、最早脅威はなく、捜索隊を派遣して森を探し続ければその内捕らえられると思っていた。
王都から西に向けて派遣していた団員にも帰還命令を出したので、今は帰ってくる団員も含めて、いかに効率良く捜索をするかに全力を傾けていた。
(突発的な対応は団長に任せて、私は地道な活動をしっかり行わなければな。)と考え、今朝も追加の捜索隊を編成して派遣した後、実質的なトップであるゲンダラール宮廷魔導士への報告をまとめているところだった。
そんな中、ドォーン!と凄まじい音と振動が起き、思わず身を固くして机にしがみついた副団長だったが、(今の音の方向は保管倉庫の辺りか?暴発でもしたか?)と思い、直ぐに異変を確かめるため建物から出て、音がした方に向かいながら、周りにいた団員に状況を確認しようとした。
すると、もう一度ドドォーン!!と爆音と振動が襲ってきた。思わずよろけた副団長だったが、何かが起き続けていると感じ取り、1つ目の音と振動がした方に駆け出すと、クリスタルや武器の保管倉庫が崩壊して、瓦礫の山となっているのを見たのだった。
2つ目の音と振動が他の保管倉庫の方だと感じた副団長が、慌てて残りの3つ目の保管倉庫を見た時には、何か火をまとった岩のような物が飛んできて、炸裂し、保管倉庫が爆破されるのを目の当たりにしたのだった。
あまりの出来事に呆然とした副団長だったが、攻撃を受けていることを悟り、敵襲に対する迎撃の命令を即座に行ったが、続けて門を爆破されて、相手はもう脅威でないと甘い判断をしていたことを後悔するのだった。
認識を改めた副団長は、ゲンダラール宮廷魔導士への伝令と、ガルク団長をはじめとした捜索隊への魔道具での伝達を行い、爆破された門の方へ対処に向かった。
(保管倉庫が全てあの状態だと、掘り起こすまでクリスタルは補充できないから、魔道具は今持っている分だけしか使えないな…無駄撃ちはできない)と思いながら、門に近づくと、門の先に紅色の髪をなびかせた女性冒険者が、魔道具の射程ぎりぎりのところで突撃の機会を窺うように動いており、団員達がそれに向けて闇雲に魔道具を撃ち続けているのが見えた。
(あれが紅のユイナか!…素早い!わざと魔道具の乱射を誘発しているのか!)と見抜き、
「お前達、無闇に撃つのを止めろ!!」
と命じたが、既に遅く、あらかた撃ってしまった後なのだった。
お読み頂きありがとうございます。
今回は敵方の視点からの話です。
あまり進捗はなく、ちょっと固めの文章になったかもしれませんが、よろしくお願いします。




