屋敷捜索!
登場人物
ライル:精霊使い。黒髪の華奢な男性
ユイナ:豹族の獣人。真紅の髪をなびかせ同色の瞳を持つ女性
キラに匿われている魂:フェントール第2王子
フラウ:アルマジロ系獣人。シメノ伯爵配下の騎士。金髪に緑の瞳の女性
シン :魔術学院の教授でライルの師
シメノ伯爵:魔術師団の軍備増強に反対する穏健派の伯爵
ガルク:魔術師団団長
ライル達が颯爽と(?)屋敷から抜け出した後の朝方に、シメノ伯爵が屋敷に戻ってきた。シン教授とフラウは、他の騎士と一緒にお出迎えをした。
「「「お帰りなさいませ。」」」
「お出迎えありがとう。お待たせ。」
シメノ伯爵は周囲に監視の目がある事を感じ取り、門から入った後、
「何やら外に物々しい雰囲気があるが、首尾良く進んでいるかな?」
と、シン教授に問いかけた。
「ああ。紹介してもらったフラウさんも尽力してくれて、上手くいっている。その活躍は後ほど。ただ時間がないんだ。頼んでいた物は手に入ったかい?」
「映像と音声を送れる魔道具か?それなら手に入ったぞ。」
「それは良かった。帰って来たところで申し訳ないのだが、直ぐに魔術師団が探りに来るだろうから、フラウさんに送る方を預けて、王都に走る予定なんだ。」
「なるほど、それは急展開だな。フラウ!」
シメノ伯爵がフラウを呼ぶと、フラウは直ぐに前に進み出た。
「はい!ここに!」
「期待に応えてくれたようだな。良くやった。」
「ありがたきお言葉を頂き、恐悦至極に存じます。」
フラウは頭を下げた後、そのままの姿勢で、
「シメノ様、たってのお願いがございます。私に引き続きあの冒険者達のご助力をさせて頂けないでしょうか!」
と頼み込んだ。
「うむ。勿論だ。それが君の大望なのだからな。兄の事が分かると良いな。さて、では助力に必要なこの道具の使い方を教えよう。」
と、シメノ伯爵とシン教授がフラウに使い方を説明し、今後の予定を打合せしていると、
「魔術師団団長のガルクである!シメノ伯爵が戻られたとお聞きした!面会をお願いしたい!」
と聞こえてきた。
「もうきたか。ではフラウ、後はよろしくな。」
シメノ伯爵はそう言って、残りの確認事項を素早く済ませ、ガルク団長との話し合いに向かった。
屋敷の応接室に通されたガルクは、
「シメノ伯爵、まずは面会をして頂きありがとうございます。」
と頭を下げた。そして、
「早速の要望で恐縮ですが、この屋敷に我々が追っている者達が居るのではないかとの疑いがあります。ついては屋敷を捜索させて頂けないでしょうか。」
と頼んできた。シメノ伯爵は、
「疑いをかけて、何も出てこなかったらどうするのだ?」
と低い声で凄んでみた。
「そ、それは…」
ガルクが言い淀むと、十分間をもたした後、
「まぁ良い。これは貸しだぞ。調べるのは許可するが、私はシン教授と出かける予定なのでな、騎士達を付けるから荒すんじゃないぞ。」
と言って騎士達を呼んで準備をさせるのだった。
準備が整うと、シメノ伯爵とシン教授が
「後は宜しく頼む」
と屋敷の騎士長と執事長に言って出ていった。
それを機にガルク達魔術師団は大捜索を開始した。
ガルクが地下の査察をしていると、前に見た金髪の騎士が、少し大き目の鎧を着て警備に立っているのに気が付いた。この前ライルの鎧からキラが出てきたのを思い出したガルクは、
「おい、お前!鎧との隙間に何か隠してないか!ちょっと鎧を外してくれ。」
とフラウに言ってきた。
フラウは少し顔を引きつらせると、鎧を外し始めた。そして鎧の中から現れたのは…包帯を巻いたフラウの姿であった。
それを見たガルクは、(傷にさわるから大き目の鎧を着てたのか…)とバツが悪い思いをし、
「すまなかった。もう良い」
と、フラウから離れて行き、他を探すのだった。
フラウは自分の立っていた近くの脱出路が見つからないように(もちろん土の精霊達にしっかり隠してもらっているが)、あえて鋭いガルクに対する注目ポイントを作って、注意を逸らすのに成功したのだった。
ガルクが去っていく後ろ姿を見て、ポーカーフェイスが苦手なフラウが、いたずらが成功したような気持ちで笑いが込み上げてくるのを必死に我慢していると、
「団長!!拠点が攻められてるとの連絡が入りました!!!」
と魔術師団の団員が血相を変えて飛び込んで来たのだった!
お読み頂きありがとうございます。
ご感想やブクマ等頂けると励みになります。




