駆け引き!?
登場人物
ライル:精霊使い。黒髪の華奢な男性
ユイナ:豹族の獣人。真紅の髪をなびかせ同色の瞳を持つ女性
フラウ:シメノ伯爵配下の騎士。金髪に緑の瞳の女性
シメノ伯爵:魔術師団の軍備増強に反対する穏健派の伯爵
ガルク:魔術師団団長
シン :魔術学院の教授でライルの師
「ガルクよ、待て!!」
と言って、魔術学院のシン教授が、急ぎ足で屋敷の中から現れた。その後ろには、この屋敷の騎士と思われる者が2人付いてきていた。
シン教授がフラウの倒れているところまでやって来ると、
「この騎士は嘘をついてごまかした訳ではない。私がここに居ることを黙っておいてくれと頼んだから、意を酌んでそのような回答をしてくれたのだ。
まさか斬られるような事態になるとは、申し訳ないことをした...。
治療してあげて良いよな?」
そう言って、ガルクに目で確認すると、ガルクが思いがけない展開に絶句してる間に、屈みこんで『ヒール』と唱え、治療を開始した。
我に返ったガルクが
「なぜお前がここに居る?」
と聞くと、
「なぜも何も、シメノ伯爵とは気が合うので、時々こうやって会いに来て、友好を深めているだけだ。」
とシン教授は答え、フラウの治療が終わると、一緒に来た騎士の1人に応急処置は終わったので治療室に連れていくよう指示を出して、背負うのを手伝って見送った後、ガルクと向き合った。
ガルクは予想外の展開だが、ここで引き下がる訳にはいかないと、(嘘が判別できる魔道具を使い)質問を重ねて真実を見抜くことにした。
「ここに居るのを隠す必要はないだろ?」
「私もそれなりの立場なので、特定の貴族と親しくしていると噂が立つと何かと面倒なのだよ。」
「お前の元生徒のライルに会いに来たのではないのか?」
「ガルクとこの前会った後、ライルには会っていないぞ。」
ガルクは魔道具を確認したが反応はなかった。(くそっ反応なしだと!)と思いながら、
「ここら辺を探しに来たのではないのか?」
と質問すると、
「もう卒業して私の手からは離れているし、今は探してないぞ。(この屋敷にいるのを知ってるしな。)そもそもガルク達に追われていたら、魔術師団の拠点から遠ざかるのではないのか?おかしなことを言う…そう言うということは、この近辺にいるのか?」
とシン教授に逆に問い返されてしまった。
ガルクは、
「それに答える気はないが、そういえばお前が使っていた武器を使っていたぞ。あれで行方が分かるのではないか?」
とあがいたが、
「私の魔力が残っていれば探すこともできるだろうが、使っていたのだろう?もう私の魔力など残ってないぞ。無理だな。
それよりも先程の騎士が気になるし、明日にはシメノ伯爵も戻って来るだろうから、明日にしたらどうだ。さすがに今の状況で屋敷の者が捜査に協力するとは思えんぞ。」
と言われて、魔道具も反応しなければ、どうしようもなくなった。
シン教授に「じゃあ、またな。」と言われて、ガルクは門の外に締め出されたのだった。
・・・
ガルクを締め出した後、
「ふぅ~~~。」
と大きく息を吐いたのは、シン教授だった。
「やれやれ、何とか上手くいったか。」
元々シン教授は屋敷に到着した時に、シメノ伯爵の推薦したフラウにライル達の捜索を依頼していた。
そして、フラウが報告に来た時に、嘘を見破る魔道具をガルクが持っているのを知っていたため、わざとライル達に会わずに対応したのだった。
「フラウさんが斬られたのには焦ったが、良く頑張ってくれた。早く謝罪と感謝を伝えないとな。」
そう言って、シン教授は急いで治療室に向かったのだった。
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