接近中!?
登場人物
ライル:精霊使い。黒髪の華奢な男性
ユイナ:豹族の獣人。真紅の髪をなびかせ同色の瞳を持つ女性
キラに匿われている魂:フェントール第2王子
ガルク:魔術師団団長
ゲンダラール:宮廷魔導士
精霊達
シズク:泉の妖精。分身なので力は0
キラ :光の精霊。黒髪を後ろに束ね腰から下が鐘のような姿の女性
水晶に封印されていた魂を匿っている
横穴を出てから2日後、ライル達は魔術師団と反目していると噂されるシメノ伯爵の屋敷近くまで来ていた。なお、ライルはあれから何度か召喚を試したが、残念ながら積極的に戦力になってくれる精霊には出会えていなかった。(周りに苦笑を含めて笑いが広がり多少明るい雰囲気になったので、ライルの苦労が全く報われなかった訳ではないが……(笑))
伯爵の屋敷が目視できるところまで来たので
「どうする?伯爵の屋敷に寄って行く?」
とライルが仲間に問いかけると、
「フェントール王子、シメノ伯爵とはどんな人物なのでしょうか?」
とキラが判断材料を得ようと王子に質問した。
王子はシメノ伯爵を思い浮かべ、肯定的な明るめの声で
「そうですね、彼は魔術師団の軍備増強に反対する穏健派の1人です。まだ若いのですが、父である国王の期待も高い方で、治めている領地は川を下った先の港のある所なのですが、首都の近くのこの位置に別邸を持つことを許されています。僕も何度かお会いした事があるのですが、本当に誠実な方ですね。ただ最近は魔術師団を推進する革新派の方が勢力を拡大しているので、立場は厳しくなっているようですが。」
と良い印象の人物であることを説明した。その話を聞いたキラが
「その方にお願いして、国王に状況を説明するのはどうでしょうか?…それが解決に繋がるのであれば私も人前に出ても構いませんよ。」
と王子に聞いていた。
王子は考え込んでう~んと少し唸ったあと、
「途中で邪魔をされないと良いのですが…。シメノ伯爵は信頼できたとしても、まだ若い方なので、革新派の重鎮の邪魔が色々な形で入る可能性があります。すり替えとかもないとは言えません。
そして更に問題なのは、魔術的な話ですと宮廷魔導士であるゲンダラールの意見に反論できる者が少ないことです。その場合誤魔化されたり、下手すると犯人にされたり、消されたりするかもしれません…。キラさんまでそんな危険に巻き込むことはできません。」
と答えていた。
「ふむ。預けて解決するほど甘くはないか。」
シズクの言葉にライルやユイナもまぁそうだよねと頷き、
「じゃあ、予定通り森の先端まで行って状況を確認するのを優先した方が良いかにゃ?」
「うん。そうしよう。」
とひとまず屋敷には寄らずに森の先端まで行き、魔術師団の拠点の様子を探ることにした。
森を進む途中、ライルが索敵魔法を使って調べてる時に、
「ちなみに王子が身体に戻った場合、魔術師団は王子の命令を聞くのか?」
とユイナの肩に乗っているシズクが質問した。
「確かに作戦を考える上で重要だにゃ。命令聞いてくれるなら、フェントール王子さえ身体に届ければ、こちらの勝ちにゃ。」
とユイナが受けて、逆の肩に乗っているキラの方を見た。これに対しキラの中に匿われている王子は、
「うーん。命令系統では僕の方が上なので、聞いてくれるかもしれませんが…現状ゲンダラールが支配している状態ですので、分が悪い賭けになると思います。…すいません。」
と答えた。
「そうなのにゃ。でも、混乱して止まってくれるだけでも大きいから、その時はよろしくにゃ。」
と、少しでも確率を高めるため、皆知恵を出し合うのだった。
・・・・・・
その頃、魔術師団の団長ガルクは、拠点まで戻ってきていた。
成果の上がらぬ報告をして、宮廷魔導士のゲンダラールにかなり激しく責められたあと、自室に戻ると、
「ゲンダラール殿はかなり焦っておられたな。ここまで神経質になるとは余程重要な事なのだろう。早く捕らえて差し上げないと。
しかし、まだ何も情報が入らないとは…。これは想定を変えねばならないな。周辺の警戒を高めるか…。」
と、眼光鋭く地図を見ながら思案していた。
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