Side story 〜Enemy side〜
Character story 〜?〜
ある建物の奥深くにある、格式高い装飾が施された部屋のベッドに、人間のようであるが生気が感じられず、微動だにしない人型のものが横たわっていた。
そこに扉を荒々しく開けて黒ずくめの男が入ってきた。そして更に奥にある部屋の扉を魔術錠で開けて中に入ると、吐き捨てるようにつぶやき出した。
「くそっまさか水晶玉が発見され封印が解かれるとは。足がつかないように処分を任せたのが失敗だったか。
計画は順調だが、この国を発展させ悲願を達成するためには、もっともっと力が必要だ!まだ立ち止まる訳にはいかん!
魔術師団を総動員して探し出さなければならんな。しかし、あの封印を理解して解除するとは何者だ?……切り札の準備もしておかねばな。」
と言うと、部屋にある凍りついた何かを調整したあと、魔術錠をかけ指示を出すために部屋を出ていった。
Character story 〜魔術師団団長〜
ある日、魔術師団の実質的なトップであり、恩人である方から、魔の森に封印していたものが解除され持ち去られたので、犯人と封印されていたものを即座に捕らえて来いとの指令が出た。
封印されていたものの現状は分からないが、元は水晶玉ということだった。封印されていたものが病床の第二王子に近づくと災厄が起こるとの事なので、魔の森からこの別荘地までの守りを固めつつ、魔の森周辺を探さねばならない。
第二王子の状態や様変わりした雰囲気には疑問があるが、冒険者仲間が自分の失敗で亡くなったあと、酒に溺れて荒んでいた自分を、見出し、取り立ててくれた恩に報いるために、全身全霊をもって捜索を行おう。
捜索は時間が経つほど困難となるため、守りは副団長に任せ、魔の森に最も近いデントナの街まで道中の街に部下を配置しながら一気に向かうことにしよう。解除されたのが今朝で、魔の森を出るまでに1日はかかると想定される場所らしいから、明日の朝までに着けば包囲網が完成するな。よし、徹夜で馬を潰してでも向かうぞ!直ぐに出発だ!
翌朝デントナの街に辿り着いた私は、まずは情報収集に冒険者ギルドに向かったが…まさか既に犯人とおぼしき者がいるとは。あんな年若い善良そうな者が何故気になったのか自分でも不思議だが、逃したとはいえ、自分の直感が働いて助かった。ギルドはまだ犯罪者でもない者の情報を教えてはくれないだろうが、金を使えば情報は直ぐに集まるし、配置前に逃げられたのは痛いが、網の人手は十分なので、捕まえるのは時間の問題だろう。
直ぐに捕まえられると思っていたのだが……部下が見失ったと報告してきてから、進展がない。今回の逃げ足といい、魔の森からの到着時間といい、相手はどんな移動手段を使っているのだ…。思ったより手強いのかもしれんな。気を引き締めて当たらねば。
まぁでも情報は着実に集まっている。ここで懐かしい名前が出てくるとは。シンか久しいな。
「シン、今は教授か、邪魔するぞ」
シン教授の教授室にガルクが訪れていた。
「ん?お前はガルクか、久しぶりだな。…風の噂で魔術師団に入ったとは聞いていたが、本当だったのだな。」
「ああ。今は団長だ」
「そうか、一時は持ち崩していて心配だったが、良かった。あの頃は俺も余裕がなく手助け出来なくてすまなかった。とにかくおめでとう。」
「ああ。共に苦しかったからな、手助けできなかったのはお互い様だ。そちらこそ教授就任おめでとう。」
そうして二人は昔の話や近況の話でしばしの間盛り上がり、旧交を温めた。
「で、何の用だ?魔術師団に協力する気はないのは知ってるだろう?」
「ああ、兵器開発に興味ないのは知ってるし、そっちではない。人探しだ。ライルという者を知っているか?」
「ああ。教え子だが。先日卒業したところだ。」
「どんなやつだ?」
「どうと言っても…人畜無害な感じだな。魔術の腕は良くはないというか…そちらが推し進めている魔道具造りには全く向かないぞ。魔術師団が興味を持つとは思えないが…。何かしたのか?」
「追いかけているのだ。居場所が分かったら教えて欲しい。団員に捕まるよりは丁寧に扱うし、悪いようにならないよう力を尽くそう。」
その言葉にシン教授は心底驚いた様子で、
「何かの間違いではないのか?人に迷惑をかけるような者ではないぞ。どちらにせよ、冒険者になると出ていったあと、何処にいるのか知らないのでな。申し訳ないが。」
と答えていた。
「そうか、何か分かったら連絡をくれ。邪魔をしたな。」
ガルクは教授室を出て、手応えのなかった話とこれまでの情報を振り返りながら思案していた。
…シンも嘘をついていないし、心当たりも全くない様子だった。犯人の噂も悪いものは聞こえてこない。実力も大したことないというか、落ちこぼれ程度しかなさそうなのだが…一体何が起こっているのか。
この近辺には既に居ない気がするので、ここは部下に任せて一旦戻って捜索するか。
魔術師団団長ガルクはそう考え、拠点に向けて馬を走らせるのだった。
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