ニアミス!
「じゃあ、報酬持って来ますね。」
アスラが席を外したあと、
「第二王子、かなり魂の持ち主っぽい感じにゃ。」
「でもその場合、入れ替わってから魔術師団を作ったっぽいから、魔術師団が敵ってことに……下手すると国が相手になるかも。」
とユイナとライルが話し合いながら予想以上の大きな敵に驚いていると、
「それでもやるしかありません!」
と言ってキラが飛び出してきた。
「うん…そうだね、キラ。しかし正面からは無理だから、何か良い手を探さないと…。」
「あ、アスラが戻ってきたにゃ」
部屋に近づいてくるアスラの気配に、シズクとキラにしっかり隠れてもらって状態を整えると、アスラがドアをカチャと開け戻ってきた。
「白透草、希少になってた上に、状態も良かったので高く買い取れますよ!なんと1つ15金貨!3つなので45金貨になります!」
「えっ!そこまで高いにゃ!?」
「あとジャイアントボアの牙が3金貨、皮が1金貨で、ウルフの牙が1つ3銀貨で、4匹分だから、全部の合計が50金貨と2銀貨になります!」
「凄い!」
「凄すぎにゃ!」
「フフフ、良かったですね。」
ユイナが(嬉しいけどヤバイ、白透草は魔の森でしか見つかりにくいらしいし、これ目立つかもしれないにゃ)と考えて、
「ふぇ〜…。アスラ、こんな大金持ってると狙われるの怖いから、自分たちが白透草採ってきたこと、黙ってて欲しいにゃ。」
とアスラにお願いした。
アスラは、
「あ、確かにそうですね。先程受付変わって貰った子とか、気付きそうな人にも話さないように口止めしときますね。」
と答え、情報が漏れないように対応してくれることになった。
「さて、そろそろ行くにゃ。」
ユイナがお礼を言って立ち上がろうとすると、
「そうそう、ついでに地図を持ってきたので…、さっき言ってた別荘と魔術師団の拠点は大体この辺りですよ。」
と言って、アスラは持ってきた地図を使っておおよその場所を教えてくれた。
「アスラさん、わざわざありがとう!」
「いえいえ、あまり今後の参考にはならないかもしれませんが。」
「いや、さすがアスラにゃ。助かるにゃ。」
「こちらこそ、白透草に加え、ジャイアントボアのお肉も頂きましたし、ありがとうございました。」
笑顔のアスラと一緒に部屋を出て、階段を降りて行くと、ギルドの入口から、真っ黒の鎧の上に同じく真っ黒のサーコートを着た3人の男達が現れた。サーコートには六角形の頂点に6種類の属性を表すようなマークが、デザインされていた。
アスラは(先程の話といい、もしかして何かに巻き込まれたのかも!?)と察して、あえてライルとユイナに聞こえるような小声で
「魔術師団のマークだ…」
とつぶやきながら、自然な感じで階段を降りた。
ユイナはアスラがつぶやいて知らせてくれた事に感謝しながら、アスラと同じく自然な感じで、
「じゃあまた落ち着いたら来るにゃ。」
とアスラに挨拶をした。
「はい、また来てください。ご武運を。」
と返すアスラに、手を振って、ユイナとライルはカウンターに向かってくる魔術師団の男達とすれ違った。
魔術師団の先頭に立つ男は、横を通り過ぎて行くユイナとライルを目で追いながら何か引っかかり、一緒に階段を降りてきたアスラに向かって威圧的な声で、
「そこの受付嬢、今一緒にいた者は、何者で何をしていた?」
と尋ねた。
アスラは(魔の森で何かあったかもしれないから、無難に答えよう)と考え、平静を装いながら
「冒険者に成りたての者で、今後の方針とか相談を受けてました。」
と答えた。
その答えを聞いた男は、少し威圧感を下げながら(気のせいか…しかし上の階から降りてきたぞ。新人がそんな所使うか?)と思案してアスラを見ると、その手元に保存箱を持っていることに気づいた。
そして、
「おい受付嬢、その箱の中身はなんだ?」
と詰問したのだった。
その問いに、アスラはしまった!と思いながら、少しでも時間を伸ばそうと、
「貴重なものですので、開けて見せて良いか上に確認してきますね。」
と言ったが、
「開けなくてもよい。ただし嘘はつかぬ方が身のためだ。分かるからな。」
と言われてしまった。
そこで、アスラは仕方なく、
「こちらは白透草でございます。」
と答えた。
その瞬間、男は後ろの2人に合図をしてライル達を追いかけさせ、
「邪魔をした。」
と一言残して去っていった。
アスラはその様子に(ごめんなさい、ライルさん、ユイナさん、上手く守れませんでした。どうかご無事で)と思いながら、立ち尽くしていた。
一方ライル達は、すれ違ったあと、不自然にならないように気を付けながら、できるだけ早く離脱しようと動いていた。
アスラの「冒険者に成りたての者で、今後の方針とか相談を受けてました。」の答えには2人とも(さすがアスラさん!アスラ、ナイスにゃ!)と思いながら、ギルドの入口を出ようとしていた。
そして、その後聞こえてきた「おい受付嬢、その箱の中身はなんだ?」の声に危機を感じた2人は、ギルドを出た瞬間、全力で走り出して街の外に向かったのである!
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