情報収集!
早朝、街の門が開く前に、封印が解かれたことで何かが動き出しているかもしれないので、シズクとキラには荷物を検査される危険性を考え、小さくなって服と革鎧の隙間に隠れて貰った。
「そういえば、白透草は3個売って、2個は手元に残しておこうと思うんだけど、いいかにゃ?」
「うん。それは構わないよ。でも、何で?」
「白透草はエクスポーションの素材として以外にも様々な効果があるにゃ。持ってて損はないにゃ。」
「我もそれが良いと思うぞ。」
「そうですね、私の回復で対応できない事もあるかもしれませんし。」
鎧の間からも賛成の声が聞こえてきた。
「うん、分かった。そうしよう。」
そんなことを相談しながら待っていると、開門の時間となった。
今朝の衛兵の中にはセトさんは居なかったので、特に喋ることもなく、ギルドカードを提示して街に入った。
「特に変わった様子はないし、検問もされていなかったね。」
いつもと変わらぬ街の様子にホッとしながらライルが呟くと、
「うん。でもすぐにギルドに行くにゃ。相談までの流れは私に任せるにゃー。」
とユイナが時間の問題かもしれないので今のうちに情報収集しておこうと、若干早足でギルドに向かいながら、話の持って行き方に良い考えがあるらしく自信満々に胸を叩いたのだった。
ギルドに入ると、運の良いことに、受付カウンターにアスラさんがいたので、列に並んで順番を待った。
「あ、ライルさん、ユイナさんおかえりなさい。上手くいきました?」
アスラが無事に戻ってきたライルとユイナを見て、満面の笑みで迎えてくれた。
「うん、おかげさまで。」
アスラの歓待にライルとユイナも笑顔になりながら、
「えーと、これが納品するジャイアントボアの牙と皮、あとウルフの牙だにゃ」
とユイナが魔の森で手に入れた素材を取り出した。
「あ、ジャイアントボア狩れたんですね!どうです?美味しかったですか!?」
「うん、美味しくて最高だったにゃー!」
「それは良かったです。お伝えした甲斐がありました。」
「お礼に少しだけアスラへのお土産もあるにゃ。」
「えっ!やったー!ありがとうございます!」
ジャイアントボアのお肉をお土産に持ってきたことを告げると、かなり嬉しかったらしくアスラは手を打ち合わせ、テンションがアゲアゲになって喜んでいた。
「あとアスラ、頼まれたヤツも見つけてきたから渡したいんだけど…ここじゃなんだし、違うところで話できるかにゃ?」
さらにユイナが白透草を取ってきたことを匂わせると、
アスラは、
「え、ホントですか!?」
と言うと、カウンターの後ろを振り返り、
「貴重な素材を受け取るから、2階の応接室行ってくる。悪いんだけど、しばらくの間、受付変わってくれないー?」
と奥に話しかけ、
「了解〜」
という声と共に現れた受付嬢に、ありがと とお礼を言いつつ、
「こちらへどうぞ〜」
と笑顔でカウンターを出て、弾むような足取りで2階の個室に連れて行ってくれた。
個室に入ると、期待に目をキラキラさせているアスラに対し、
「これがお土産のジャイアントボア肉で、ジャーン!はい、白透草にゃ!」
と言って小さめの肉の塊と、白透草を3つ渡した。
受け取ったアスラは
「わっ!3つも!凄いですね!早速鑑定させて頂きますね!」
と言って丁寧に保管箱に入れて、部屋に備え付けの鑑定の魔道具を用いて調べ、
「保存方法もばっちりですし、品質も高品質ってなってますよ〜。」
と鑑定結果を伝えて、
「今、報酬持って来ますね。」
と上機嫌で立ち上がろうとした。
「あ、アスラ、その前にちょっと教えて欲しいことがあるんだけど、良いかにゃ?」
とユイナが待ったをかけるように伺うと、
「はい、何でしょう?」
とアスラは座り直し聞く体勢になってくれた。
そこで、ライルとユイナが
「ここ1年ぐらいで変わった事や、印象や評判の変わった人っていないかな?」
「今後の活動の参考にしようと思ってるにゃ。噂でも良いにゃ〜。」
と聞くと、
「それは、私の中では断トツで、討伐任せろと言って入ってきた人が、冒険者でもなく無一文だったコトでしょうか。でも腕は確かで薬草にも詳しいので印象がガラリと変わりました!(笑)」
とアスラが答え、
「それは忘れてくれにゃー!!」
とユイナが悶絶したのだった。
「フフフッ、
そうですね、他に最近の変わった事といえば、この国の第二王子が、騎士団とは別に、魔術師団を作ったことでしょうか。
魔術師の採用に加えて、魔道具の開発にも報奨を与えて募集したので、反響が大きかったですね。ライルさんもくわしいのでは?」
「いやー僕は魔道具の開発は全然駄目だったので…ハハハ…」
ライルがきまりが悪そうに詳しくないことを伝えると、
「まぁライルは兵器の開発とか関わらなくて良かったと思うにゃ。ちなみにその第二王子ってどんな人にゃ?」
とユイナが話の先を促した。
アスラは昔と今の噂話を思い出し、
「昔は優しくて周りに気を使う感じだったらしいけど、今は魔術師団の強化に傾倒していて、何をするつもりか少し恐れられているみたいですね。」
と答えた。
「へー、そうなんだ。何かあったのかな?何歳ぐらいですか?」
「確か13〜14歳くらいですよ。継承争いとかも特に起こってなかったので、不思議なんですよね~。」
「あまり近づかない方が良さそうにゃ。どこら辺にいそうかにゃ?」
「王宮から少し離れた山の方に、別荘と魔術師団の拠点があるから、そこにいるみたいですね。」
アスラは噂話とギルドに伝わる情報を元に、ライルとユイナの質問に答えてくれた。
とりあえず関係ありそうな情報が手に入ったので、
「分かりました。ありがとうございます。」
とアスラに礼を言って、切り上げることにした。
「役に立ちました?」
「そこら辺に関わらないほうが良いってことだけは分かりました。」
ライルは(僕達は全力で関わることになりそうだけど、こう言っとかないと)と思って答え、
「アハハハ。そうですね。」
と笑うアスラに、
「アスラも気を付けるにゃ〜。」
とユイナが注意していた。
「?…はい、私には関係ない世界なので大丈夫と思いますけど、気を付けますね。」
アスラはユイナの言葉を少し不思議がりながら、心配してくれるのを嬉しく思い、
「じゃあ、報酬持って来ますね。」
と笑顔で席を立ち、白透草の報酬を取りに席を立ったのだった。
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